あなたへ
この世界とそちら側の間の世界が存在するのかも知れないと、
先日の私は、新たにこんな視点を見つけました。
新たな視点から、改めて、あの夏の出来事や、
あなたを見送ってからの私に見えるようになったものについてを、
振り返っていた私の中へと不意に蘇ったのは、
橋のたもとに座っていたおばあさんの姿でした。
思えば、あれは、何だったのだろう。
蘇った記憶を辿れば、なんだか不自然な気がしたあの日ことを、
今日は、あなたにも話してみたいと思います。
そう。あれは、まだあなたと出会う前の頃のことでした。
あの日は、友人の車でお出掛けをした日。
時間帯は、夕方から夜へと移行したばかりの頃だったと記憶しています。
ねぇ、ねぇ、なんであんなところに、
おばあさんが座っているんだろうね
私がこう口に出したのは、間も無く橋を渡り終える頃のことでした。
友人の車の助手席に座っていたあの時の私が見つけたのは、
橋のたもとに座っていたおばあさんの姿でした。
何気なく口にした言葉でしたが、友人は、そんな人は見ていないと言いました。
は?人なんていた?
え?いたじゃん
おばあさんが座っていたよ
変なこと言うなよ!え?マジで?人?人なの?
私も怖がりですが、この友人もまた、超絶怖がり。
だからこそ、ことの真意を確かめたくなってしまうものなのかも知れません。
友人は、私の言葉を信じられないとばかりUターンすると、
橋のたもとを確かめに行こうと言い出しました。
私がおばあさんを見たのは、丁度、橋を渡り始める側。
Uターンして、もう一度、橋を渡ったのですが、
先ほど私が見た場所には、やはり、おばあさんが座っていたのでした。
ほらね?いたでしょう?
本当だ!うわー!!なんで?なんでおばあさんがいるの?
あの時の友人は、何故だか怖がっていたけれど、
あの時の私は、あのおばあさんは、きっと、
誰かのお迎えを待っているのだろうと思っていました。
どうしてこんなところに人がいるのだろうかと、
思うような場所で人を見つけたにも関わらず、
あの時の私が然程、大きな疑問を持つことがなかったのは、
そこに見つけたのが、紛れもなく、
私たちと同じ人間であると認識したからだったのかも知れません。
あの出来事は、あの頃の私のいつもの日常の中のほんの一コマでしたが、
こうして改めて思い返してみると、
なんだか不可解でもあるようにも思えて来たのは、
今の私が新たな視点を持ったからなのでしょうか。
思えばあの橋は、車通りが激しく、停車することは出来ません。
よく考えてみれば、あんな場所で誰かと待ち合わせることなど、
あり得ないような気もします。
あの日、そこに座っていたのが人であると認識しながらも、
何故だか怖がっていた友人の感覚が実は正しかったのかも知れないと、
今更ながら、こんなふうにも思えて来ました。
あの日の私たちが見たのは、本当に、この世界に生のある人だったのでしょうか。
例えばですが、
この世界とそちら側の世界の間の世界があるとして、
なんらかの拍子に、
はっきりと、その姿が見えてしまうという可能性もまた、あるのかも知れません。
一見すれば、人だけれど、
何故こんなところに人が?という場面で見かけた人というのは・・・
という考え方も出来るのかも知れませんね。
さて。それならばと、私の中へ蘇ってしまったのは、
胸の奥深くへと仕舞い込んだ筈の、あの、お墓に佇む人の話です。
あの声の主が見た人というのもまた、本当に人だったのかしらね。
いえ。そもそも、あの日の私は、
どこの世界に存在している人の声を聞いていたのかしらねと、
色々と疑問が湧いてしまったところで、これ以上の考察は辞めにして、
もう一度、しっかりと、
胸の奥の奥の、更に隅っこに、仕舞い直しておこうと思います。
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