あなたへ
先日見たあの夢を反芻してみるのは、これで何度目になるだろう。
何度、考えてみても、あの夜の私は、
そちら側の世界にいたのではないかと、そんな気がしてしまうのは、
この世界を去った父と、あなたに逢うことが出来たからなのかも知れません。
夢の中の私は、父が運転する車で、
とても大きなお祭りの場所へ連れて行って貰いました。
そこはなんだか賑やかで、とても楽しそうで。
私はワクワクとしながら、窓の外を見つめていたのでした。
やがて、車を停める場所が見つかると、私は車を降りて、お祭りへと出掛けました。
色々な出店がある中で、私が見つけたのは、綺麗な鳥の羽が並ぶお店。
私はそこで、真っ白な鳥の羽を買いました。
どうやらそのお店では、この世界で言うところの神社の絵馬のようなものとして、
鳥の羽を売っているようでした。
お願いごとをして、板の上に鳥の羽を並べる。
通常は、そのような使い方をするようでしたが、
私は単純に、その綺麗な鳥の羽が欲しかったのでした。
普通はさ、あんなふうに、買った羽を並べるんだけれど、
中には、ただ買って行く人もいるんだよね
何に使うの?
店主からは、こんなふうに声を掛けられて。
私は、とても綺麗だからただ欲しかったのだと返事をしたのでした。
鳥の羽を買い終えると、いつの間にかあなたが隣にいて、
私はあなたの腰に手を回しながら、買ったばかりの綺麗な鳥の羽を見つめたのでした。
綺麗だねって。
とても短い夢でしたが、あの羽を持った指先の感触も、
そして、あなたに触れた感触も、とてもリアルなものでした。
この世界と同じように、そちら側にもまた、
お祭りなどのイベントごとがあるとして、あの夜は、
父が、私のことを迎えに来てくれたのかも知れませんね。
お祭りがあるから、あなたと2人で行ってきなさい、と。
幼かった頃の私が、
夢の中のものを持って来ることが出来なかったように、
今回もまた、あの綺麗な鳥の羽を、
この世界に持って来ることは出来なかったけれど、
この手の中には、夢の中で感じていた感触だけが、はっきりと残りました。
あの羽、綺麗だったな。
夢の中を反芻すれば、綺麗な鳥の羽を持って来ることが出来なかったことが、
なんだか少しだけ悔しいけれど、
あの夜に買った鳥の羽は、あなたが持ってくれているのかしらね。
1ページ目はこちらより↓↓