あなたへ
あなたを見送ってからの私は、龍となったあなたの姿を、
何度、思い描いて来たでしょうか。
楽しげに、この広い空を飛び回るあなたの姿。
龍仲間と、言葉を交わし合うあなたの姿。
空を見上げながら、何度でも、
龍になったあなたの姿を思い描いて来た私ですが、昨夜の私は、ふと思ったのです。
龍になったあなたって、実は、米粒くらいの大きさだったりしてね、と。
よく考えてみれば、私は何故、
あなたを大きな存在として思い描き続けていたのでしょうか。
龍、と聞くと、数メール、いえ、数十メートルくらいの、
とてつもなく大きな形を想像してしまうのは、思えば何故なのでしょうか。
龍など見たこともないものであるにも関わらず、
何故だかこれまでの私はずっと、とても大きな存在として思い描いて来ましたが、
もしかしたら、米粒ほどの大きさ、ということもあるのかも知れません。
例えば、米粒ほどの大きさであったとしたのなら、
その姿を隠す必要は全くなくて、視力が悪い私には、
尚更に、その姿を見つけることは出来ません。
実はあなたは、その姿を隠すこともなく、とても小さな姿で、
この空の何処かを、優雅に飛び回っているのではないかと、
不意にこんなことを考えて、笑ってしまいました。
小さな小さなあなた龍が、例えこの地上へと降り立っても、誰も気付かない。
時々には、私が家の中で過ごす様子を眺めながら、
柵の上で、ゆっくりと休んでいたりしてね。
龍は、火を吹くイメージもあるけれど、米粒ほどの大きさの龍であるのなら、
火を吹いても、
ライターの炎にも満たない、とても小さな炎だったりするのかしらね。
やだ!可愛い!
凄く可愛い!
ふと見つけてしまった新たな視点からあなた龍を思い描けば、
私の妄想は、どんどん膨らみ続けて、
眠る前だと言うのに、お布団の中で笑ってしまった昨夜の私は、
眠りに就くのが、すっかり遅くなってしまいました。
今日の私は、なんだか寝不足気味ではありますが、でも、と思いました。
あなたを見送ってからの私には、いつまで経っても眠ることが出来ないままに、
お布団の中で泣いていた幾つもの夜がありました。
あなたがいない現実になど、もう、戻りたくはないと思いながら、
目を閉じた幾つもの夜がありました。
そんなふうに過ごすしかなかった幾つもの夜があった筈なのに、
あれから先へと歩んだ私は、こんなふうに、
あなたの姿を思い描きながら、
笑ってしまう夜を迎えられるようにもなったんだなって、こんなふうにも思えました。
温かなその手を離さなければならなくなってから、
私は、それだけの時間を歩み続けたのだと思えば、
やはりなんだか胸が痛むけれど、
でも、今日の私が感じる寝不足の方が、なんだかずっと楽しいなって。
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