あなたへ
此処までの道のりを振り返り、これから先の歩み方を考えて。
不意に立ち止まって、考えごとをしていたのは、昨夜のことでした。
今の自分自身を見つめてみれば、
今の私には、また新たな壁を乗り越える段階がやって来たのかも知れないと、
こんなふうにも感じましたが、
特に気持ちが堕ちることも、
胸の中に重いものを見つけることもないままに、
これまでの私がそうであったように、此処から先もきっと大丈夫。
必ず上手く行くからと、しっかりと前を向き直したのでした。
よし!此処からまた頑張って壁を乗り越えて、先に歩んで行こう!
しっかりと、気合いを入れ直したところで、あなたに手を合わせれば、
この瞳には、映らなくなってしまった筈のあなたに、
優しく抱き締められたような気がして。
あなたにしか作り出すことの出来ない空気感に身を委ねてみれば、
私の中へと蘇ったのは、
私を褒めてくれた時に聞こえていたあなたの笑い声でした。
ねぇ、あなたは知ってた?
面白いものを見た時や、恥ずかしい失敗をしてしまった時。
様々な瞬間に、あなたの笑い声が聞こえていたけれど、
私を褒めてくれた時にだけ聞こえて来た笑い声があったのよ。
それは、とても穏やかで、深い愛が籠った優しい笑い声で。
あぁ、そうだった。
あの頃の私は、こんなあなたの笑い声を聞きながら、
あなたのすぐ側で、成長していたんだった。
本当は、そんなあなたの笑い声を直ぐ側で聞きながら、
ずっとずっと、あなたの隣で成長し続けていたかった筈なのに、
それなのに私は、この人生でなければ、
集めることの出来なかった大切なものを、たくさん見つけてしまったの。
本当は、あなたに逢いたいのに、
あなたがいないこの世界で、私はまだまだ、挑戦してみたいんだ。
相反する気持ちでありながら、どちらも今の私の本当の気持ち。
どうすることも出来ないふたつの気持ちは、
いつの間にか涙となって、いっぱいに溢れ出していました。
溢れた涙を拭うことも、涙を流したことに言い訳をすることもせず、
私はただ、そこに見つけた気持ちを、しっかりと、感じ切ったのでした。
あぁ、泣いてしまったな。
あなたよりも、8つも年上になった筈なのにな。
青く穏やかな空を見上げながら、
今日の私は、昨夜の私の中へと蘇ったあなたの笑い声と、
いつの間にか流していた涙を反芻していました。
どうすることも出来ない苦しさの中で、あなたに頼りたかった私に届いたのは、
あなたからの厳しいお告げであった筈なのに、
自分で自分を奮い立たせて、しっかりと前を向けば、不意にあなたは、優しい。
あなたって、いつもそう。
あなたって人は、いつでも不意を突いてくる。
もう!なによ!って、今更ながら、
涙を流してしまったことが、なんだか悔しくも思えて来たけれど、
昨夜のあれはさ、きっと、あなたからの大きな飴だったんだね。
あの頃の私は、あなたのあの笑い声が聞こえると、とても嬉しかったんだ。
あなたは時々、とても不器用で、
スマートな言葉で想いを伝えてくれる人ではなかったけれど、
でも、あの笑い声には、
言葉だけでは伝わらないあなたの本当の気持ちが、たくさん詰まっていて。
だから私は、あなたのあの笑い声が、とても好きだったんだ。
昨夜のあなたはきっと、あの頃と同じように、私を褒めてくれていたんだね。
ため息を吐き出すことも、あなたに頼ろうとすることもせず、
ひとりで壁を乗り越えようと決めた私のことを、
きっとすぐ側で、見ていてくれたんだね。
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