あなたへ
ねぇ、あなたは知ってた?
ヤギってね、昔は、マー!って鳴いていたんだよ。
でもね、進化と共に、ミー!って鳴くようになったんだって。
人間は、これまでにたくさんの進化を重ねて来た生き物だけれど、
実はヤギもね、同じなんだって。
ヤギの進化の過程では、ムー!って鳴いていた頃もあったらしいけれど、
ムー!時代は、あまり、長くなかったから、殆ど知られていないらしいよ。
短いムー!時代を経て、メー!って鳴くようになったヤギはね、
本当は、モー!って鳴くことを最終目標にしていたんだけれど、
モー!って鳴き方は、先に牛に取られてしまったから、
ヤギは、メー!って鳴くことで進化を止めたんだって。
あっ!これはね、この前、カラスから聞いた話なの。
あなたは知ってる?
カラスってね、とても物知りなのよ。
実はね、先日の私は、ずっとこっそり練習していたスプーン曲げに、
初めて成功したんだけれど、
スプーンが折れ曲がった瞬間にね、カラスの言葉が理解出来るようになっていたの。
カラスの言葉って独特でね、
言葉の最後に必ず、カッ、って、短い、か、が付くのよ。
人間が聞き取れているのって、
この、カッ、の部分だけなのかも知れないなって思ったんだ。
人間には、カラスの鳴き声って、カー!って聞こえるでしょう?
あれね、実際には、カッ、しか言ってないの。
それなのに、カーって鳴いているように聞こえるのはね、
カラスと人間に流れている時間の速さが違うからなのよ。
あっ、実はこれも、カラスに教えて貰ったの。
今日は、エイプリルフールです。
こうしてあなたへの手紙を書きながらも、
エイプリルフールに、嘘をついたことがなかった私ですが、
一度くらいは、あなたに嘘をついてみたくて、
今日の私は、一生懸命に、嘘を考えていました。
いつかのあなたみたいな素敵な嘘に敵う嘘は、やっぱり思いつかなかったけれど、
そんなわけないでしょって、笑ってくれる嘘をつけたら良いなって、
そんなふうに考えていた今日は、
なんだかいつもとは、違った楽しい日となりました。
え?どこからどこまでが嘘なの?って?
あ、全部、嘘です。
スプーン曲げは、小学生の頃に一度だけ、やってみたことがあるけれど、
こっそりと指に力を入れて、無理矢理に曲げたことしかないし、
ヤギはきっと昔から、メー!って鳴いていた筈よ。
私がカラスとお喋り?出来るわけないじゃーん!
だって、私には、そんな特殊な能力など、備わってはいないのだから。
あっ、でも、とても固いアイスクリームを食べようとしたら、
スプーンが曲がったことは、ある。
これは本当よ。
アイスクリームに負けて、スプーンが曲がるだなんて、
あれこそ、嘘みたいな光景だわよね。
嘘をついても良い日。
そんな日を迎えると、私は相変わらずに、
あなたがついてくれた優しい嘘を思い出して。
あなたがくれた優しい嘘に敵う嘘は、きっと存在しないけれど、
今日の私が初めてついた嘘で、あなたがどこかで笑っていてくれたら良いな。
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