あなたへ
シングルマザーってさ、
一生、シングルマザーなんだね。
あなたを見送った私は、死別シングルマザーという括りの中で、
あの子を育てて来ましたが、
あの子が此処から巣立っても、私はシングルマザーであり続けるのだと、
こんな視点から、自分自身の立場を見つめてみたのは、いつの頃のことだっただろう。
あの子が巣立ちを迎えれば、私の子育てにも終わりがやって来たことになるけれど、
あの子が此処から巣立っても、私はあの子の母親であり、
この世界に生のあるあの子の親は、私だけであって。
それは、この生涯を通して、
私はシングルマザーという立ち位置であり続けることにもなるのだと、
あの日の私は、こんなふうに自分自身を見つめてみたのでした。
此処から巣立ったばかりだった頃には、毎日掛かって来ていた電話も、
少しずつ間が空くようになって、
あの子は立派に、自分の足で、その人生を歩んで行けるようになったけれど、
だからと言って、私がこの世界からいなくなっても良いわけでは決してなくて、
あの子にとっての、この世界に存在するたったひとりの親として、
私は元気に歩み続けなければいけないのだ、と。
最近の私が改めて、こんな視点から、自分自身を見つめるようになったのは、
ずっと元気でいてねと、
先日のあの子との電話の中で、こんな声が聞こえたからでした。
私がこの世界を去る時には、もし出来れば、
あの子には、あなたを見送った時とはまた別な感情で、
私を見送って欲しいと考えているけれど、
でも、その時は誰にも選べません。
だからこそ私は、
いつでもこの愛情の全てを、あの子に届けておかねばと、
近頃の私は、改めて、こんなふうにも考えさせられます。
あなたの分まで、あの子の成長を見守るからね。
泣きながら、あなたへこう報告したのは、
あなたを見送ってから、どれくらいが経った頃のことだったでしょうか。
あの夏から先へと歩みを進めて続けて、あなたよりも年上となった私は、
あの頃の私には分からなかった、自分の命の重みを考えられるようにもなりました。
私は一生、シングルマザーだなんて、とても当たり前なことでもある筈なのに、
今思えば、とても変な視点から、
自分自身を見つめてみたものだとも思うけれど、
こうしてしっかりと自覚してみることと、しないこととでは、
また違った視点が見えて来るものでもあるのかも知れません。
あなたを見送ったばかりだった私には分からなかったことや、
気付かなかったことが、
少しずつ、見えて来るようになったように、
シングルマザーという観点からも、
成長し続けて行けたら良いなと思っています。
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