拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

私が好んでいた炭酸飲料

あなたへ

 

今日は、炭酸飲料が飲みたい気分

でも、全部は飲めないしな

 

いいよ

残したら俺が飲むからさ

飲みたいのを選びなよ

 

あの頃の私たちの間では、何度くらい、こんなやり取りがあったでしょうか。

 

しゃっくりが出てしまうにも関わらず、

年に数回程度の割合で炭酸飲料が飲みたくなる私は、

毎度こんなあなたとのやり取りの末に、

今、飲みたい炭酸飲料を選ぶことが出来ていました。

 

炭酸飲料を飲み切ることが出来ない私は、いつも数口程度で満足して。

然程、重さが変わらないままの炭酸飲料をあなたに渡せば、

え?もういらないの?って、あなたはいつも、驚いていましたっけ。

 

季節の移り変わりと共に、

あなたへのお供え物に、炭酸飲料を選ぶ時期がやって来て、

近頃の私はまた、買い物へと出掛ければ、

炭酸飲料のコーナーを頻繁に覗くようになりましたが、

様々な種類の炭酸飲料を眺めながら、ふと私の目に留まったのは、

私が、年に数回程のペースで飲みたくなる炭酸飲料でした。

 

炭酸飲料は苦手なくせに、私が飲みたくなるものは、いつも決まっていて。

 

思えば、あの頃の私は、あなたがいてくれたから、

この炭酸飲料の味を楽しむことが出来たのだと、

あの頃のあなたとのやり取りを、思い出していたのでした。

 

私が最後に、この炭酸飲料を選んだのは、いつのことだったでしょうか。

 

どんなに記憶を辿ってみても、最後を思い出すことが出来ないままに、

今日の私は、いつの日か振りで、

私が好む炭酸飲料を1本、買い物カゴへと入れました。

 

この生涯の中で、私がこの炭酸飲料を口にする日は、

もう、ないものだと思っていましたが、

私は、炭酸飲料を、私サイズに整えるという新たな技を見つけたのです。

 

もう此処に、あなたの声は聞こえないけれど、

代わりに私は、炭酸飲料を飲み切れる私になることが出来ました。

 

また時々には、私がそうしたくなった時には、

この炭酸飲料の味を楽しんで行こうかなと、

今日の私はひとつ、あの頃の記憶を辿りながら、

今後の楽しみを見つけることが出来ました。

 

ねぇ、あなたは、

自販機前での私たちのやり取りを覚えてる?

 

唯一、私が好んでいた炭酸飲料をあなたの場所へお供えしながら、

今日の私は、こんな言葉を呟きましたが、

もしも何処かで私の声を聞いていてくれたのなら、

あなたは、どんな言葉を返してくれていたのでしょうか。

 

 

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