拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

真っ白な絵本

あなたへ

 

ねぇ、見て?真っ白な絵本だって

自分だけの絵本を描くことが出来るんだね

 

へぇ、こんなのもあるんだね

欲しいの?

 

うーん・・・でもな

何を描こうかな

 

そんなの、ゆっくり考えたら良いよ

何か描いてみたら?

買ってあげるよ

 

これは、とある雑貨店での私たちの会話でした。

 

大きさも、質感も、私の好みに合っていて、

とてもシンプルでありながらも、私にとっての可愛い、に該当する、

この真っ白な絵本を棚へと並べたあれからの私は、そこに何を描くでもないままに、

時々、手に取っては、真っ白なままのページを巡りました。

 

ここに何かを描いてみたいと思いながらも、

なかなか、描きたいものが決まらなかったのは、

あなたからのプレゼントであるこの真っ白な絵本が、

私にとって、あまりにも特別だったからなのかも知れません。

 

この絵本を買ってくれたあなたは、やがてあの夏を迎えると、

この世界から居なくなりました。

 

あなたが居ないままの時間を過ごさなければならなくなってしまった私は、

この真っ白な絵本を手に取ることも、巡ることも、しなくなりました。

 

やがて、家族3人で過ごしたあの家を引っ越す時がやって来て、

本の類を全て、段ボールへと詰め込みました。

 

此処へ越して来ると、本が入った段ボール箱は、押し入れへと仕舞った私でしたが、

この、真っ白な絵本だけは、段ボール箱の中から取り出して、

あの頃のように、棚へと並べたのでした。

 

でも、相変わらずに私は、

この絵本を開くことがないままに歩み続けました。

 

私の部屋の景色の一部でありながら、ずっと触れずにいた筈の真っ白な絵本を、

不意に手に取ったのは、先日のことでした。

 

いつ振りかで、真っ白なページを巡りながら、

これに書こうと決めたのは、最近の私が密かに温め続けて来た、

私が書きたいもの、です。

 

ねぇ、あなた。

やっと見つけたよ。

この真っ白な絵本に、書きたいこと。

 

描く、ではなく、書く、が、

私が見つけたこの絵本の完成の形です。

 

この絵本にね、文字を綴って、あの子への贈り物にしようと決めました。

それは、此処から巣立ったあの子にだからこそ、伝えたい言葉たち。

 

あの子が幾つになっても、

そして、私が何処にいても、

ずっとずっと、あの子の側に寄り添って、

あの子の背中を押し続けることの出来るような、そんな文字たちを、

この真っ白な絵本に、書きたいと思いました。

 

思うように自分の時間を取ることの出来ない今の私はきっと、

亀の歩みで、この絵本と向き合うのだろうけれど、

あの頃からずっと、真っ白だったこの絵本の完成の形を、

漸く思い描くことが出来たことを、今日は、あなたにも報告したいと思いました。

 

此処からは、益々、忙しくなりそうだけれど、

きっと素敵な1冊にするからね。

 

 

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