拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

誕生日プレゼント

あなたへ


あれは、私の誕生日のことでした。


誕生日プレゼントに、
今度、食事をご馳走してあげるよ


そんなふうに言ってくれていたあの子。


あれから、約半年が経った先日、
あの子が食事に誘ってくれました。


誕生日プレゼントに食事に行く約束していたの覚えてる?
遅くなって、ごめんね
やっと、一緒に行けるよ


日々、忙しいあの子が、
ちゃんと約束を覚えていてくれたことに、
なんだか、とても、感動してしまいました。


遅くなったけれど、
改めて、誕生日おめでとう


席に着くと、
まずあの子は、そんなふうに声を掛けてくれました。


あの子と出掛けた場所。
それは、あなたと一緒に過ごした場所でした。


このお店には、
お父さんと、どんな思い出があるの?


食事をしながら、不意に聞かれたあの日の思い出。


あれは、あなたと出会って、3番目の冬。
クリスマスに、指輪をプレゼントしたいな
そんなふうに言ってくれたあなたと過ごした日。


色々なお店を回りながら、
翼のデザインが施されたペアリングに決めたんでした。
その帰りに、あなたと食事をしたあのお店。


素敵な指輪が見つかって、嬉しかったことや、
他愛のない話をしながら、
あなたと過ごした大切な場所。


あの日のあなたとの思い出を話して聞かせると、
あの子は、言いました。


素敵な思い出の場所なんだね と。


あなたと出掛けた日は、とても寒かったけれど、
あなたの手が温かかったこと
あなたの言葉
あなたの笑顔の向こうに見えた景色


あの日、あの子は、食事と共に、
あなたと過ごした大切な日を、
鮮明に思い出す時間をプレゼントしてくれました。


私の話を聞きながら、
結婚する前の私たちが、どんな2人だったのかを、
思い描いていたのであろうあの子が言いました。


俺もいつか、大切な人を連れて、
こんなお店に行く日が来るんだろうな と。


きっといつか、あの子にもそんな日が来るのでしょう。
偶然を装って、突然に出会った運命の人と。
私たちが、そうであったように。

 

 

 

 

コトバ -秋- 2018

秋の色を 覚えていますか
秋の音を 覚えていますか
秋の風を 覚えていますか


その瞳に映った景色
その耳で感じた季節
その肌で感じた温度を
覚えていますか


一緒に過ごした2番目の秋


ふたりで作った思い出を数えながら
微笑み合ったこと


あの頃のふたりを覚えていますか


少しずつ見せてくれた
私が知らなかったあなたの顔


どんなあなたも
愛おしく思えた2番目の秋


不意に聞かせてくれた深い傷


こんなことを話せる人は初めてだよと
笑ったあなたの横顔も
寂しそうに遠くを見つめたその瞳も


私はよく覚えています


あなたを強く抱き締めることしか出来なかった
あの頃の私は


あなたに
何を伝えることが出来たでしょうか

 

 

 

あなたの綺麗な妻でいるために

あなたへ


アルバイトから帰宅したあの子は、
時々、疲れて寝転がったまま、なかなか起きようとしません。


そんな時、
お風呂に入って寝たら?って私の言葉に、
決まって、
じゃあ、起こしてって、あなたみたいに両手を私に差し出すあの子。


普段、デスクワークの私にとって、
体が大きくなったあの子を起こすことは、とても大変なことでしたが、
先日、そんなあの子を、
重さを感じることもなく、軽々と起こしてしまいました。


え?力、付いたよね?


あの子と2人で驚きながら、
なんだか、笑ってしまいました。


実は、軽い筋トレとストレッチを始めてから、5ヶ月が過ぎました。


これまでに、何度も、似たようなことに挑戦してきましたが、
何度挑戦しても、日課にはならず、
いつの間にか、辞めていた私。
今回は、恐らく、これまでの最高記録です。


毎日、必ずとはいきませんが、
無理をせず、長く続ける目標を持ち、ここまで続けてきました。


この先も続ける自信を持てた私は、
やっと、あなたに報告することが出来ました。


ストレッチをする時間になると、思い出すのは、
あなたのことでした。


体が柔らかかったあなたは、前屈をすると、
手のひらが床に着くほどでしたね。


そんなあなたの姿に、
足、短いんじゃない?
なんて、冗談を言っては笑いましたっけ。


ずっと、体が硬かった私ですが、
ストレッチの効果も感じはじめ、
あなたほどではありませんが、
あの頃よりは、随分と体が柔らかくなりました。


あなたが側にいなくても、
あなたの綺麗な妻でいたい。


あなたの年齢と並ぶことができた今の私は、
長く生きる決心をしながら、
あなたの側に逝く日が来るまで、
筋トレとストレッチを続けるという、小さな目標を持つことが出来ました。