拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

あの子が初めて見たもの

あなたへ


先日、あの子と一緒に、夜の公園に出掛けました。
その場所で、あの子に、
どうしても、見せたいものがありました。


あの子がまだ、一度も見たことのなかったホタル。


この辺りでも、あなたの実家の方でも、
ホタルを見た話は聞かず、
見る事は出来ないんだと、ずっと思っていました。


先日、あなたと一緒にホタルを見た日のことを思い返しながら、
ふと、何処か、見られる場所が、あるような気がしました。
調べてみると、少し離れたところで、
ホタルが見られる事を知りました。


そこは、あの子がまだ小さかった頃に、
一度だけ、あなたが連れて行ってくれた公園でした。


ホタルを見るには、少し早めに着いたので、公園内を散歩しました。


静かで、いい場所だね と、
あの子は、その公園を、とても気に入った様子でした。


小さな頃、家族3人で行った事は、
覚えていないと言ったあの子だったけれど、
散歩をしながら、
あなたの事を、色々と、思い出しているようでした。


静けさの中、ポツリと、
あなたがいない事が寂しいと、
普段はあまり口にしないあの子の本音に、
胸が痛く、私も寂しかった。


そうして、あの子と2人、あなたを想いながら、
ゆっくりと、日が暮れて、
辺りは暗闇に包まれていきました。


暗闇の中、1匹のホタルを先に見つけたのは、
あの子でした。


見て、光ってる
あそこにホタルがいるよ


初めて見つけたホタルに、大はしゃぎのあの子は、
なんだか、小さな子供みたいで、可愛かった。


そうして、園内を歩きながら、たくさんのホタルを見つけました。


ホタルを見つける度に、


見て、あそこにもホタルがいるよ
あっちにも。見える?
星が飛んでいるみたいだね って、


その幻想的な光に、すっかり魅力されたあの子は、
来て良かったと、何度も言ってくれました。


また来年も、来ようね


興奮気味に、そう言ってくれたあの子の笑顔は、
無邪気に笑っていた、小さな頃のあの子の顔でした。

 


ホタルを見つけた暗闇の中、
あなたが側にいる気がしました。


それはなんだか、
寂しいと呟いた私達に、
寄り添ってくれたかのような、あなたの気配でした。

 

 

 

 

あの子との時間

あなたへ


先日、あの子が、高校生になった日の写真を見ました。


あれから、まだ2カ月程しか経っていませんが、
なんだか、幼く、可愛らしいその姿に、
あの子と一緒に笑いました。


初めてのネクタイも、大きめの制服も、
今は、立派に着こなし、
すっかり高校生の顔になりました。


入学当初は、新しい生活リズムに慣れず、
疲れからか、
ご飯をあまり食べなかったあの子だけれど、
近頃は、また以前のように、
帰ってくるなり、お腹が空いたと、大騒ぎです。


バタバタと過ぎる毎日ですが、
こんなふうに、時々、
ほんの少し前を振り返ってみると、あの子の成長が、とてもよく分かります。


毎日、少しづつ、成長しているんですね。


高校生になり、また一段と大人へと近づいたあの子と話をする事は、

ますます、楽しい時間になりました。


学校での出来事。
あの子の将来の夢の話や、目標。
あなたと私の思い出話や、恋愛事情。


時々には、喧嘩をする事もありますが、
そんな言い合いの中からも、あの子の成長が感じられます。


今のあの子となら、あなたは、どんな話をしたでしょうか。


バイクに興味のあるあの子。


あなたと2人、バイクの話に花が咲き、
夜遅くまで、熱く語る2人の横で、
会話に耳を傾けながら、
私だけ、居眠りをする夜があったのかも知れませんね。


男同士の恋話は、どんな話が聞けたでしょうか。


お父さんは、昔ね
なんて、私の知らないあなたの過去の恋に、

ほんの少し、ヤキモチを焼いたのかも知れませんね。


あなたと、あの子の喧嘩も、見てみたかったな。


あなたが、こちらにいた頃は、
あの子はまだ幼く、
喧嘩が出来る程には、大きくありませんでした。


弁の立つあなただったけれど、
今のあの子なら、いい勝負かも知れませんよ。


怒った時のあの子は、
驚く程に、あなたによく似ていて、思わず、笑ってしまいます。


一度くらいは、殴り合いの喧嘩なんかも、したのかも知れませんね。


そんな時、
あなたは、きっと、決して本気を出す事はなく、
それでも、父親としての強さを見せたのでしょう。


そうして、
力強く成長したあの子を確認し、
きっと、こっそりと、私だけに言うのでしょう。


大きくなったな と。


出来ることなら、ずっと、あなたと2人で、
あの子の成長を見守りたかった。


あなたと2人、あの子の成長を見守る事が出来たのなら、
今の私達は、どんな話をするのでしょうか。


毎日、少しづつ、
大きくなっていくあの子の成長に、喜びを感じながら、
ほんの少しだけ、寂しい気持ちを共有したのかも知れませんね。


あと何年、同じ屋根の下で、
あの子とこうしていられるだろうか と。

 

 

 

 

ミサンガ

あなたへ


先日、

もう随分前から、あの子に頼まれていたミサンガを作りました。


あの子の幸せを願い、仕上げたミサンガを渡すと、
やっと作ってくれたんだね
なんて、とても嬉しそうに、すぐに、つけてくれました。


もしも、あなたが側にいてくれたら


いつでも、そんな想像をしてしまう私ですが、
俺の分も作って欲しいと、
あの子のミサンガを、
ちょっぴり、羨ましそうに、見ているあなたの顔が浮かびました。


もちろん、あなたの分も作りましたよ。


そちらでの、あなたの幸せを願い、編んだミサンガは、
あなたの側に置きました。


あなたと、あの子。
それぞれの幸せを願ってミサンガを編む時間は、
幸せで、とても、楽しかった。


2人のミサンガを編んだところで、
私の分も、編んでみる事にしました。


ミサンガは、

切れた時に、願いが叶う
そんなジンクスがあるそうですが、
身につけながら、
なんだか、身の引き締まる思いがしました。


願いを叶える覚悟が出来た気がします。


私の願い事ですか?


まだ、秘密です。


叶える覚悟を決めたこの願い。
いつか、叶える事が出来たら、あなたにも、報告しますね。