あなたへ
名前は知らないけれど、何度か話したことがある方。
今の私の日常生活の中には、こんな関係性の方が、
たくさんいらっしゃいますが、そんな中で、
春の頃の私が出会ったのは、お腹の中に赤ちゃんがいる方でした。
上の子はね、20歳なの
まさかこの歳で、また赤ちゃんを産むとは思わなかったけどさ
赤ちゃんが生まれて来てくれるのが、とても楽しみなんだよね
何気なくカレンダーを見つめながら、彼女の声を思い出していたのは、
予定日が、10月の始めなのだと、こんな声を思い出したからでした。
彼女は今頃、
生まれたての赤ちゃんを抱いている頃かしらねって。
人の人生というのは、実に様々なものですが、
もしもあの夏の運命が違っていたのなら、私たちもまた、
そんな人生もあったのかも知れないなと、彼女との談笑に頷きながらも、
あの日の私は、それまでの私が考えもしなかった視点から、
見ることの出来なかった人生についてを考えてみたのでした。
もしも、私たちに、そんな未来が用意されていたとするのなら、
あなたと2人で、あの夏から先を歩むあの子の成長を見守りながら、
更に親としての経験を積んだ分、全く違った価値観の中で、
子育てと向き合うことが出来たのかも知れません。
それは、2人目でありながらも、
ある種の初めてのような感覚の中での子育てでもあったのかも知れませんね。
懐かしさの中にも、新鮮さのようなものも、同時に見つけたりしてさ。
もしも、あの夏の運命が違っていたとしたのなら、
私たちにも、再び、小さな手を繋いで歩くいう未来もまた、
あったのかも知れないなって。
上の子はね、女の子なんだけれど、この子は男の子なの
楽しげに話して聞かせてくれた彼女の声を思い返しながら、今日の私は、
春の頃に思い描いたもしもの世界を、改めて見つめていました。
もしも、あの夏の運命が違っていたのなら、
此処には、どんな時間が流れていたのかしらね。
再び、小さな手を繋いで歩む時間。
或いは、ドローンを飛ばすあなたの側に寄り添って、空を見上げる時間。
あの夏から、先へと歩めば歩むほどに、新たな視点を見つけては、
私は相変わらずに、
此処に見ることの出来なかった景色を何度でも思い描いてしまうよ。
あなたと一緒でなければ、見ることの出来なかった景色は、
どんな色の景色だったのかなってさ。
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