拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

夫婦漫才

あなたへ

 

私は、この人生の中でどうしても解いてみたい問題を、

幾つくらい見つけただろう。

 

何気なく過ごす日常の中、

実はイコールの向こう側にある答えだけが先に目の前へと現れて、

その答えを導くための式は、随分と後からやって来るのだと、

こんなふうに人生を見つめるようになったのは、いつの頃からだっただろう。

 

ある年齢に達することが出来なければ、

または、自分の成長があるレベルに達しなければ、見えない物事があって、

それが見えたからこそ初めて、

一見して別々な出来事であった筈の物事が繋がって見える様は、

長い年月を掛けて、ひとつの式が完成されるようにも感じられます。

 

年齢を重ねれば重ねるほどに、

人生とは、本当によく出来たものだと感じる一方で、

それならあの時のアレは、何だったのだろうかと、

年齢を重ねれば重ねるほどに、

これまで独立して見えていた印象的な物事に対しても、

必ず何処かに繋がる筈だと、新たな疑問を持ってしまったりもするのです。

 

これまでがそうであったように、きっと全く意図せぬ時に、

突然に私の中で腑に落ちるような式が完成するのだと、

そんなふうに自分を宥めてみても、

時に焦りたいような気持ちを見つけてしまうのは、

人の生には限りがあるということを、よく知っているからなのかも知れません。

 

ねぇ、あなた

どうしてだろう

 

ねぇ、あなた

あれには何の意味があるのだろう

 

ねぇ、あなた・・・

 

この人生の中で見つけたたくさんの疑問を並べながら、

私は何度くらいあなたに問いかけてみただろう。

 

どんなにあなたの顔をじっと見つめてみても、

耳を澄ましたまま長い時間を待ってみても、

こんな時のあなたって、いつでも無口。

 

あなたのお誕生日の日には、食べたいものを伝えてくれたのに、

そちら側とこちら側での夫婦喧嘩だってしたはずなのに、

これまでの不思議な時間がまるで全て嘘であったかのように、

静寂が保たれたままで、何一つとして私の中に浮かんでくるものは無いのです。

 

自分で答えを見つけなければならないことは重々承知の上だけれど、

それにしたって、僅かなヒントもダメですか

 

時々、私に甘かったあなたなら、

渋々小さなヒントをくれるかも知れないと小さな声で甘えてみたけれど、

やっぱり期待した声は聞こえないままに。

 

もう!あなたって、

都合が悪くなると耳が遠い振りをするお年寄りみたい!

 

こんな悪態を吐こうとも、あなたはただ穏やかに笑っているだけで。

きっとこんな私の悪態も、聞こえない振りなのね。

 

どんなにあなたの顔をじっと見つめても、憎まれ口を叩いてみても、

黙りを決め込んでいたあなただったはずなのに、ほんの悪戯心で、

ねぇじいさん

なんて、呼んでみれば、

なんだい?ばあさん

って、こんなあなたの言葉が胸の中へと流れ込んできて。

 

もう、夫婦漫才のような締め括りのあの瞬間に、

なんだか、笑ってしまったではありませんか。

 

何ひとつとして、私が知りたいことを知ることは出来なかったけれど、

面白かったから、これで良しとしておこう。

 

こんな気持ちにすり替えられてしまった私は、

なんだかあなたのペースに巻き込まれているような気もしてしまうけれど、

あなたのお陰で、なんだか肩の力が抜けたような気がします。

 

これから先の私もきっと何度でも、答えをくれないことを承知の上で、

あなたに同じことを問い掛けてしまうのだろうけれど、

此処から先の私はきっと、焦る気持ちを持つ度に、

夫婦漫才のような締め括りに笑った瞬間を思い出しては、

肩の力が抜けるのでしょう。

 

 

www.emiblog8.com

 

www.emiblog8.com

 

www.emiblog8.com

夏の温度を感じながら

あなたへ

 

こちらでは先日、梅雨明け宣言がありました。

今年のこちらでは、例年よりも遅くに梅雨入りし、

例年よりも早くの梅雨明けだったようです。

 

今年は10年に一度の猛暑なのだと、

こんな言葉が聞こえて来たのは先日のことでしたが、

確かに、梅雨明け前からとても暑い日が多いようにも感じられました。

 

暑さが苦手だったあなたなら、きっと梅雨明け前から既に暑さにバテて、

アイスクリームにばかり手が伸びていたのかも知れません。

 

もしもあの夏の運命が違っていたのなら、今頃の私はきっと、

買い物へと出掛ける度に、

アイスクリーム選びに夢中になっていたのでしょう。

 

今日の私は、ただ夏の温度を感じながら、

私はやっぱり夏が好きだなって、こんな気持ちを改めて感じていました。

 

3人家族の中で、唯一暑さに強い私は、もしかしたら、

何処かの過去世では、太陽に住んでいたのかも知れないね。

なんて言ったら、あなたはどんな顔で笑うのだろう。

 

夏の温度を感じながら、空を見上げれば、

私たちが出会ったあの日のあなたの笑い声が聞こえた気がして。

 

ねぇ、あなた。

また今年も、私たちが出会った季節が巡って来ましたよ。

 

 

あなたが知らない私

あなたへ

 

そっか

あなたは、今の私の髪の手触りを知らないんだね

 

ふと、こんなことを考えていたのは、

新しく買い足したオイルの封を開けた瞬間のことでした。

 

これでもう、何本目になるだろう。

ここ数年の私が、髪のお手入れに愛用しているのは、

あんずの種から作られたオイルです。

 

これまでには様々なヘアケア商品を使って来た私ですが、

その中で最も気に入ったのが、このオイルなのです。

 

昨日より今日、今日より明日、と、

使えば使うほどに髪がスベスベになって行くような気がするのは、

オイルの持つ力であることは勿論のこと、

我が家で活躍中のマイナスイオンが発せられるドライヤーとヘアアイロンが、

オイルの持つ力を最大限に引き出してくれているからなのかも知れません。

 

夜の髪のお手入れを終えた後、

自分の髪の手触りを楽しむのが、ここ数年の私の、

密かな楽しみのうちのひとつとなりました。

 

ねぇ、あなた

髪がスベスベ

触ってみて?

 

もしもあの夏の運命が違っていたのなら、

今夜の私のこんな声に、

きっとあなたは面倒臭そうに私の髪を撫でて、

うん、そうだねって、

上の空で、あの頃みたいな返事をくれたのでしょう。

 

いつでもテレビに夢中なあなたはきっと、相変わらずに、

コマーシャルの間しか、私の相手をしてくれないのだろうけれど、

私はそんなあなたの側で、剥れた顔をしながらも、

あなたとのやり取りに満足をするのよ。

 

だって、あの頃の私は、

あなたのそういうところに時々文句を言いながらも、

あなたとのこんな毎度のやり取りが、本当はとても楽しかったもの。

 

あなたが知らない私をまたひとつ発見してしまった私は、

急に寂しさを感じた筈なのに、

思わず小さく呟いた先に、期待通りのあなたがいてくれたから、

なんだか笑ってしまいました。

 

あの夏にあなたを置いて歩み続けてきた私は、

こうして幾つくらい、あなたが知らない私を見つけて来たでしょうか。

 

何気ない日常の中を歩みながら、

時に、あの夏から随分と変わった自分を見つけるけれど、

ふと目に浮かんだあなたは、あの頃と変わらないやり方で、私を笑わせてくれるから、

私はいつの間にか、笑顔になっていて。

 

あの夏から、何度こうして、

あの頃のあなたに笑顔にさせてもらって来たただろう。

 

あなたがあなただから、

私は安心して、また前へと歩んで行けるよ。

 

 

www.emiblog8.com

 

 

www.emiblog8.com