あなたへ
なんかさ、あなたってズルいよね
あなたの顔を見つめながら、思わずこう呟いたのは、先日のことでした。
あなたって、私が知りたいことを教えてもくれなければ、
私が期待したものもくれない。
そして、不意に寂しくなって、その顔を見つめてみても、
ただ黙って穏やかな顔を向けてくれるだけなくせに、
あなたは時々、不意に、その想いを届けてくれるの。
いつの頃からか、お告げと呼ぶようになったそれらを集めることは、
あなたのその手を離さなければならなくなった私にとっての、
大切な宝物でありながらも、
でもそれは、私が望んだ時に、
いつでもあなたと話をすることが出来るのとは違う。
あなたは、いつも一方的でさ。
なんか、ズルいのよ。
もう!あなたって、ズルい男よ!と、
あの日の私は、相変わらずに微笑み続けるあなたへ、
一方的に、思い付いたままの悪態を向けてみたけれど、
あなたはやっぱり、いつもと変わらずに、表情ひとつ変えることがないままに。
あぁ、そっか。
あなたは、私の手の届かないところに行ってしまった人なんだな。
私とは、違う存在になってしまったんだなって、
あの日の私は、思い付くままの悪態を勢いよく吐いた後で、
本当は何もズルくはないあなたを、ただただ、長い時間、見つめ続けたのでした。
お告げだって、素敵な出来事だって、
あなたが見せてくれるものである筈なのに、
そんな人生も悪くはないと、ちゃんと納得だって出来た筈なのに、
私は不意に何度でも、あなたの声が聞きたくなってしまう。
神様みたいなあなたじゃなくて、
人間のあなたと一緒に歩んでいたかったなって、
こんな気持ちを見つけてしまうんだ。
何も教えてくれなくても良いし、
不思議な力を使えるあなたじゃなくて良い。
雪マークを消すことが出来ないあなたと一緒に、
予報通りの空を見上げながら、
うわー!雪じゃん!なんて騒ぐ人生の方が、良かったな、なんてさ。
今日の私は、あなたに手を合わせながら、ふと、
あなたをズルい男と呼んでみた日のことを思い返していました。
この人生をしっかりと生きたい私と、あなたと一緒に歩みたかった私。
相変わらずに、私の感情は、日々、
振り子のようにゆらゆらと揺れ動くけれど、あれからの私はまた、
しっかりと自分にとっての前を見つめられる私として、
日々を歩むことが出来ています。
思えば私は、いつの頃からか、
この人生をしっかりと生きたいと考えられるようになりましたが、
力強く歩めるようになればなる程に、実は胸の奥に感じる痛みもまた、
力強いものになるものなのかも知れないなと、
今日の私は、こんなことを考えていました。
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