拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

手紙

夢の続きを思い描きながら

あなたへ あなたの夢を見ました。 夢の中の私たちは、2人で旅行へ出掛けるところでした。 旅先に到着する前に目が覚めてしまったけれど、 旅先に着いたら何をしようか、 どんな時間を過ごそうかって、 とてもワクワクとした気持ちだったことも、 あなたが隣…

あの子がくれたお守り

あなたへ あっ、いいね 似合うよ あの子がこんな言葉を掛けてくれたのは、 巣立ち前、部屋の掃除に勤しんでいた頃のことでした。 もう着ないけれど、捨てるにはなんだか忍びない。 殆ど着る機会がないままだった服たちを、部屋着にでも使ってと手渡され、 早…

一握りの人たちとの出会い

あなたへ この世界には、本当にたくさんの人たちがいるけれど、 その大半は、きっと互いの今後の人生においても、 何の接点も持たないままに、この世界を去るんだろうな。 こんな視点から、道行く人たちを眺めたのは、先日の私です。 例えば、事務職と接客業…

初めての気持ち

あなたへ さっきまで、此処にいたのにね あの子を駅まで送り届けて、家へと帰って来た私は、 無意識に小さく呟きました。 つい先程まで、あの子が使っていたマグカップを見つめてみれば、 ほんの少し前に、 此処で聞こえた笑い声が聞こえた気がして、小さく…

老夫婦 -2023-

あなたへ 先日の私の目に偶然飛び込んできたのは、 老夫婦が会話を交わす動画でした。 あなたを見送ってからの私にとって、老夫婦はとても特別な存在。 画面の中で笑い合う2人の姿に、憧れの気持ちを抱きながらも、 素敵だなって、 そこにある笑顔に、なんだ…

母の日の贈り物

あなたへ 昨夜は、あの子が電話をくれました。 母の日だからと連絡をくれたようです。 いつもありがとう こんなあの子の言葉から始まったお喋りは、 いつも通り、止め処なく続いていきました。 最近のことや仕事のこと。 新しい発見やこれからの目標。 たく…

繋ぎ止められた命

あなたへ 私のこの命は、 あの子が繋ぎ止めてくれた命でもあるんだな こんなことを考えていたのは、あの子の巣立ち前。 あの子と過ごした21年間を振り返っていた日々の中で、 見つけた気持ちでした。 あの子が生まれた日からをゆっくりと振り返りながら、 記…

密かに引き継がれた今度の約束

あなたへ 小さなあの子の歩幅に合わせて、ゆっくりと歩きながら3人で見た景色。 あの子の無邪気な笑い声と、あの子を呼ぶあなたの声。 柔らかな薔薇の香りに包まれながら、 昨夜の私の中に、鮮明に蘇ったあの日の記憶をゆっくりと辿りながら、 眠りに就くは…

香りと記憶

あなたへ 例えば、春の匂いや夏の匂い。 朝の匂いや夜の匂い。 そこに感じたものと記憶が結び付き、 あなたと過ごした様々な時間が、私の中に鮮明に蘇るように、 お線香の香りがそちら側へと届いた時、 あなたの中に眠っていた記憶もまた、 鮮明に蘇っている…

ゴールデンウィーク -2023-

あなたへ 楽しかったゴールデンウィークも、今日でおしまいです。 突然にあの子が帰って来てくれたのは、4日前の夜のこと。 まだまだたくさん、あの子と一緒に居られるのだと、 そんな気持ちで眠りに就いた筈だったのに、 楽しい時間というのは、本当に瞬く…

帰ってきた筋肉を褒める時間

あなたへ 俺が帰るまで、この時間は続くからね これは、あの子が帰ってきた日に聞こえた声です。 此処に再び戻って参りましたのは、 あの子の筋肉を褒める時間でございます。 巣立ち前の慌ただしかった日々の中では、 トレーニングをする時間も取れずに、 少…

あの塩の件について

あなたへ もう、処分しても大丈夫だよ これは、あなたの場所を掃除していた私の中に、 突然に浮んだ言葉にでした。 あなたの場所を掃除する度に、 どうしたものかとそれを眺めるばかりの私でしたが、 何故だか突然に、私の中に浮かんだ言葉に、 漸くその時が…

ゴールデンウィークのサプライズ

あなたへ ねぇ、あなた。 びっくりニュースです。 昨夜、突然にあの子が帰って来てくれました。 ただいま 手を合わせて、あなたに声を掛けたあの子の声は、 あなたのところまで届いたでしょうか。 あの子が勤める会社は、カレンダーに沿ったお休みではなく、…

薔薇の香りのお線香

あなたへ 今度は、どんな香りのお線香にしようかと、 お線香売り場を眺めながら、 今回の私が選んだのは、薔薇の香りのお線香でした。 この時期なら、薔薇の香りも素敵だなって。 あなたへのお線香が切れて、買い物へと出掛けた私ですが、 お線香を選びなが…

朝のあの子の成長

あなたへ あの子が此処から巣立ち、1か月と少しが経ちました。 この1か月余りのあの子の成長を、遠くから見守ってきましたが、 私が特に大きな成長を感じているのは、朝のあの子です。 あの子の成長をすぐ側で見守った日々の中、 たくさんの、あの子なら大丈…

買い物カゴの中

あなたへ 前になど進みたくはないと、 あの夏にいるあなたに必死に手を伸ばしては、 なんとかそこに止まろうと、後ろ向きに座り込んだはずだったのに、 呼吸をする度に、 瞬きをする度に、 この世界の時間に引き摺られるようにして、 あの夏からの私の時間は…

あの瞬間を形に残して

あなたへ 凄い!良い感じに出来てる 本当にこんなふうになるんだね 可愛らしいお花たちを手に取って、 ひとり、感動してしまったのは、昨夜の私です。 実はね、 あの子が巣立つ日にくれたお花たちの一部を、 押し花とドライフラワーにしました。 生花には、…

あの子にとっての青春

あなたへ あっ!あの車は、あの時の・・・ 先日の私が見かけたのは、 あの子が乗っていた車と同じ車種の車でした。 ほら、あの時の、あの方の車で間違いはないでしょう。 だって、ナンバーが同じだったもの。 あの日のあの出来事を思い出し、 思わず照れ笑い…

この世界での私たちの本当の姿

あなたへ あなたの夢を見ました。 夢の中のあなたは、 何故だか私のすぐ後ろにピタリとくっついて、 そのまま一緒に歩く夢でした。 現実世界であれば、とても歩き難い格好なはずだけれど、 私が歩き出すと、いつの間にか、あなたの気配は消えていて。 私ひと…

我が子が巣立った後の親の仕事

あなたへ あの子が巣立ち、少しずつ、私が着手し始めたのは、 あの子の部屋の片付けです。 なんて言ったら、あなたはどんな顔をするのだろう。 え?あの子は自分で片付けて巣立ったんじゃないの?って、 驚いた顔をするのでしょうか。 それとも、笑うのかな…

緑茶と来世

あなたへ 緑茶は苦いから嫌 僕は麦茶がいい ねぇ、あなたは覚えていますか。 これは、幼かった頃のあの子の言葉です。 あの子に初めて緑茶を飲ませてみたのは、いつの頃だったでしょうか。 あの時のあの子は、もの凄く嫌そうな顔をして、 あれ以来、絶対に緑…

たまご型のおもちゃ

あなたへ 俺がいなくて寂しくなったら、これで遊んでよ 冗談混じりにこんなことを言いながら、 巣立ち前のあの子から手渡されたのは、たまご型のおもちゃでした。 あれは、此処から巣立ってしまう前にと、 あの子が友人たちとアミューズメント施設へ遊びに出…

もしも一度だけ、あなたに逢えるのなら -2023-

あなたへ もしも一度だけ、あなたに逢えるとしたなら、 私は、どんな時を選ぶのだろう。 こんなことについてを真剣に考えたのは、 いつの頃の私だったでしょうか。 あの時の私は、様々に想いを巡らせながら、 夢を叶えて、 胸を張って最高の笑顔をあなたに見…

早速の失敗

あなたへ 新しい物事の大抵は、あの子に教えて貰っていた私ですが、 私ひとりでも、きっと大丈夫だと挑戦したのは、 携帯電話をかざすだけで手続きが完了出来る類の機械でした。 ちょっとだけ、ドキドキしながら説明書きを読んでみれば、 小窓に携帯電話の画…

桜の木が並んだ土手の上 -2023-

あなたへ 今日のこちらでは、朝から綺麗な青空が広がりました。 気持ちの良い空を見上げながら、 ふと、あの場所へ行ってみようと思い立ったのは、 昨年の丁度、今頃の時期に、あの場所へ訪れた記憶が蘇ったからでした。 あの場所。 それは、いつかあなたと…

いつか見てみたい景色

あなたへ あの子の巣立ちの日まで、 後回しに出来ることは、全て後回しにしてきた私ですが、 漸く少しずつ、 自分のやらなければならなかったことに着手し始めました。 先日の私は、用事を済ませるために、 普段の私があまり行かない場所へと行ってきました…

あの夏の私が初めて持った目標

あなたへ あの子が社会人になるまでは。 これは、あなたを見送った私が初めて持った、 生への目標でした。 まだ此方に来てはいけないよ 夢の中、こんなふうにあなたに言われたのは、 あなたを見送ってから、どれくらいが経った頃だっただろう。 あなたがいな…

ベストパートナー

あなたへ あなたと私は、2人でひとつだったんだね ひとりであの子に向き合いながら、 初めてこんなふうに気が付いたのは、 あなたを見送ってから、どれくらいが経った頃だっただろう。 もう此処にあなたはいないのに、 これまでと同じ子育ての仕方で良いのだ…

あの子が巣立ってからの1週間

あなたへ あの子が此処から巣立ってから、1週間が経ちましたが、 この1週間、ほぼ毎日、私のところに来るのは、 あの子からの電話です。 これ、どうすればいいの? これってどうやるの? これなんだけどさぁ 巣立って行くあの子が困らないようにと、此処にい…

あの子と2人で泣いた夜

あなたへ ねぇ、あなた。 もしも、あの日のあの子の言葉を、 あなたと一緒に聞くことが出来たのなら、 あなたは、どんな顔をしたのだろう。 これまでに見たこともないような顔で笑ったのでしょうか。 それとも、 あの子の言葉を噛み締めながら、そっと涙を流…