手紙
あなたへ このまま伸びなければ良いのに。 前髪を見つめながら、本気で願っていたのに、 そんな願いも虚しく、私の前髪はいつも通りのペースで伸びて、 遂に前が見難くなってしまいました。 日々、少しずつ伸び続ける髪を見つめながら、 髪に対して、このま…
あなたへ あの子が歩む道が真っ直ぐであるように、 私が歩む道もまた、真っ直ぐなのだと、 何の前触れもなく突然に、こんな言葉をくれたのは、 何故だったのでしょうか。 いつも通り、お線香を立てて、 手を合わせながらあなたの顔を見つめた私の中へと、 突…
あなたへ この夏の私は、もう、 何度くらいあの呪文を唱えたでしょうか。 クワバラクワバラ 新しく手に入れたばかりの呪文を唱えながらも、 想定よりも大きく鳴り響いた轟音に、 思わず飛び上がってしまったのは先日のことでしたが、 それでも心のどこかに余…
あなたへ そちら側から、あなたが帰って来てくれた夢を見ました。 ただいま おかえり あの頃の私たちにとっては、当たり前だったこんな挨拶が出来たことも、 突然にあなたが帰って来てくれたことも、ただただ嬉しくて、 夢の中の私は、あなたをギュッと抱き…
あなたへ そっか お父さんは、そういう人だったんだね これは、先日のあの子の言葉です。 社会人になってからのあの子の考え方なんかを聞きながら、 ふと思い出していたのは、 仕事についてを語ってくれたいつかのあなたの言葉でした。 お父さんはね、こんな…
あなたへ 俺、今度のお盆休みは、絶対に長く取りたいんだ これは、夏を迎える前のあの子の言葉でしたが、 その言葉の通り、今回のあの子のお盆休みは、 長い期間で、取得することが出来たようです。 仕事が忙し過ぎて、自然と溜まった代休と、有給を組み合わ…
あなたへ もう、そちら側へは着いたでしょうか。 今年もまた相変わらずに、バタバタとした我が家のお盆でしたが、 ゆっくりと寛いでくれたでしょうか。 ねぇ、あなた 前髪切って? 唐突に前髪を切ろうと思い立ったのは、お盆初日の夜のことでしたが、 きっと…
あなたへ お菓子も作れる電子レンジの方がいいよね? 今日の私は、部屋の片隅へ置いた、 処分予定となった電子レンジを見つめながら、 この電子レンジを買ったあの日のあなたの声を思い出していました。 あなたと2人で電気屋さんへと出掛けたのは、 新居への…
あなたへ 昨夜遅くにあの子が帰って来ました。 昨日のあの子は寝過ごすことなく、いつもの駅で降りてくれましたよ。 仕事を終えて、そのままこちらに帰って来たあの子は、 少し疲れ気味ではありましたが、相変わらずの笑顔を見せてくれました。 帰宅早々に、…
あなたへ あなたのその温かな手を離したあの日から、今日で10年を迎えました。 あなたは今、どんな景色を見て、どんなふうに笑っていますか。 その手の中には、私たちの温もりが、 今でもちゃんと残っているでしょうか。 今日は、あなたを想う日。 今日の私…
あなたへ 先日のこちらでは、花火大会がありました。 この地域での花火大会の日になると、思い出すのは、 最後に家族3人で花火大会へ出掛けたあの日のことです。 花火の音が聞こえるとね、 あの日見た景色と、あの日の私が夢見た未来が私の中で鮮明に蘇るの…
あなたへ え?嘘?嘘だよね? は?嘘でしょーー!! 目の前で起こっていることが信じらないままに、 大きく落胆したのは、今朝の私です。 電子レンジが壊れました。 昨夜までは確かに、何事もなくちゃんと使えていたのです。 それなのに、今朝になったら突然…
あなたへ 我が家に見えるいつもの景色が、少しだけ変わりました。 新しい洗濯機が届いたのです。 家電ひとつ変わるだけで、家の中に見える景色もいつもと変わり、 なんだか心機一転出来てしまうから不思議なものです。 やはり新しいものが景色の中に加わるこ…
あなたへ ねぇ、あなた見て? これが新しいデザインの千円札だよ こんな私の声は、あなたのところまで届いたでしょうか。 遂に私の手元にやって来てくれたのは、 新しいデザインの千円札です。 まだ全く折れ目のないそれと、 手元にある旧デザインとなったお…
あなたへ 夢を見ました。 あなたとあの子が帰って来てくれて、 暫くの間を、家族3人で一緒に過ごす夢でした。 場所は、家族3人で暮らしていたあの家。 夢の中の私は、あの子が巣立った後で、 あの家にひとりで暮らしているようでした。 そちら側から帰って来…
あなたへ 私たち家族3人のグループラインの画面を見つめていました。 丁度、今から10年前の今日は、グループラインの中で、 家族3人でのやり取りをした最後の日でした。 ねぇ、あなたは覚えていますか。 あの日のあなたは、突然に、 あの子の好きなキャラク…
あなたへ 梅雨が明けて、私の大好きな季節がやって来て、 ウキウキと夏の始まりを楽しんでいた私ですが、 はたと我に帰ったのは、 すっかりと日が暮れてから帰宅した先日の夜のことでした。 信号の待ち時間、何気なく遠くの空を見つめた私に見えたのは、 星…
あなたへ 私は、この人生の中でどうしても解いてみたい問題を、 幾つくらい見つけただろう。 何気なく過ごす日常の中、 実はイコールの向こう側にある答えだけが先に目の前へと現れて、 その答えを導くための式は、随分と後からやって来るのだと、 こんなふ…
あなたへ こちらでは先日、梅雨明け宣言がありました。 今年のこちらでは、例年よりも遅くに梅雨入りし、 例年よりも早くの梅雨明けだったようです。 今年は10年に一度の猛暑なのだと、 こんな言葉が聞こえて来たのは先日のことでしたが、 確かに、梅雨明け…
あなたへ そっか あなたは、今の私の髪の手触りを知らないんだね ふと、こんなことを考えていたのは、 新しく買い足したオイルの封を開けた瞬間のことでした。 これでもう、何本目になるだろう。 ここ数年の私が、髪のお手入れに愛用しているのは、 あんずの…
あなたへ うちは主人が亡くなっているの 大丈夫 気にしないで 主人が亡くなってから大分経っているから これは、先日の私が口にした雑談の中での言葉です。 私についてを殆ど何も知らない方との雑談の中には、 時に、あなたのことを話さなければならない状況…
あなたへ 今朝の私の中に突然に蘇ったのは、子供の頃の記憶でした。 これは、私がまだ小学生だった頃の記憶です。 小学生だった私は、お習字の習い事をしていました。 先生は、おばあちゃん先生。 お習字の時間は厳しいけれど、本当は優しい先生で、 お習字…
あなたへ 昨夜、午前0時を迎えようとする頃のことでした。 静まり返った我が家の中に、突然に聞こえたのは、 玄関のドアを開けようとする音でした。 え? 思わず小さな声をあげながらも、息を潜めれば、 次に我が家の中へと鳴り響いたのは、玄関のチャイム音…
あなたへ ねぇ、あなた どうして人は、何の記憶も持たずに生まれて来るのだろう もしもあの頃のあなたにこんな問い掛けをしたのなら、 あなたはどんな答えをくれたのでしょうか。 人の意識には、潜在意識と顕在意識があって、 潜在意識下には、自分が持つ全…
あなたへ そちら側のあなたが、 いつでもたくさんの幸せに囲まれていますように あの子の歩む道が、これから先も、 ずっとずっと明るい道でありますように どんなに離れていても、 私たち家族3人が、固い絆で結ばれ続けていますように 今日は七夕の日です。 …
あなたへ 今日のこちらでは、夕方から雨が降りました。 ねぇ、あなたは知っていましたか。 七夕の前日に降る雨を、洗車雨と呼ぶのだそうです。 織姫に会いに行く前に、彦星が牛車を洗っている水だから、洗車雨。 そして、七夕に降る雨を、催涙雨と呼ぶのだそ…
あなたへ あなたから私へのメッセージであろう言葉が届いた日に、 何気なく手帳へ、あなたからのお告げと書き込んで、 思わずひとりで笑ってしまったのは、先月の私です。 だって、お告げって。 なんとも言えない込み上げるものがありながらも、 思いついて…
あなたへ こちらでは、お札のデザインが新しくなり、 新紙幣の発行、引き渡しが始まったようです。 お札のデザインが変わるのは、20年振りなのだとか。 私の手元には、まだ新しいデザインのお札はありませんが、 インターネットで新しいデザインのお札を眺め…
あなたへ こうしてあなたへの手紙を綴るのも、 今日で8年目を迎えました。 いつでもあなたの側に寄り添い続けてくれますように そっと祈りながら私が綴る文字たちは、 あなたをギュッと抱き締めることが出来ているでしょうか。 この手紙の向こう側、 今、あ…
あなたへ 今日も良い日にしよう こんな魔法の言葉を見つけてから、 どのくらいが経ったでしょうか。 毎朝、魔法の言葉から1日を始めるようになった私ですが、 先日、ふと思いついて、 魔法の言葉に更に言葉を付け足しました。 今日が一番最高の日だったと思…