拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

ベストパートナー

あなたへ

 

あなたと私は、2人でひとつだったんだね

 

ひとりであの子に向き合いながら、

初めてこんなふうに気が付いたのは、

あなたを見送ってから、どれくらいが経った頃だっただろう。

 

もう此処にあなたはいないのに、

これまでと同じ子育ての仕方で良いのだろうかと悩んだのは、

あなたを見送ってから、どれくらいが経った頃だっただろう。

 

あの子に向き合いながら、

私ひとりで、あの子を育てていけるのだろうかと悩んだことは、

たくさんあったけれど、

でも、本当はきっと、そうではなかったんだね。

 

本当は、あの夏からの私も、

あなたと一緒に子育てをすることが出来ていたのかも知れません。

 

ねぇ、あなた

あの時のアレって、あなたが助けてくれたんでしょう?

 

どんなにあなたの顔をじっと見つめてみても、

あなたは、いつも通りに穏やかな顔をこちらに向けてくれるだけだったけれど、

あの時、直ぐに気付いたよ。

あの物事には、あなたの力が深く関わっていたんだろうなって。

 

あの時のあの子も、私と同じことを感じていたのだから、

きっと、間違いないのでしょう。

 

ヤバい!アレ忘れてた!

 

どうしても片付けなければならない存在を思い出して、急に焦り出したのは、

巣立ちも間近に迫った頃のあの子でした。

 

連日、時間に追われながら、

バタバタと過ごしていた私たちがすっかりと忘れていたのは、

私には、処分の難しい類のものの存在でした。

 

大慌てで、そちらを先に片付けようと着手したあの子でしたが、

試行錯誤を繰り返しながらも、思うように物事は進んで行かず、

焦りに焦って、最終手段を取るしかないと、方向転換をしようとした時のことでした。

 

突然に、物事は急展開で進み出し、

全てがあの子にとっての最高の条件が揃った状態で、

あっという間に、解決することが出来たのです。

 

あれは、あの子の巣立ちの日の3日前の出来事でした。

 

えぇ?こんなことってあるの?

 

あり得ないスピードで物事が展開していく様子を見つめながら、

私たちは、そこにはきっと、

あなたの持つ力が加わっているのだろうと、感じたのでした。

 

あの夏から、これまでの日々の中、

あなたの力を感じる不思議な出来事は、幾つ見つけてきただろう。

 

それら全てを思い返し、繋ぎ合わせてみれば、

どんなに遠く離れていても、あなたと私のバランスは保たれ続け、

私たちは、あの子が生まれた日から何も変わることなく、

あの子を育てて来ていたのかも知れないと、

漸く、気が付くことが出来ました。

 

例えば、食事の準備や、朝、起こしてあげること。

それから、言葉で伝えることや、まだあの子の知らない物事を教えること。

この世界に存在していなければ出来ないことは、私が。

 

そして、あの子が真っ直ぐに歩めるようにと、

あらゆる角度から、

あの子が歩む道を、そっと静かに整えてくれていたのがあなた。

 

あの夏からの私たちは、

実は在り方が変わっただけだったのかも知れません。

 

全てに対して手を出してしまうのではなく、

静かに見守るだけという線引きをするやり方は、

きっと、あなたも同じ。

 

あなたは、力強くあの子を守ってくれているけれど、

決して、初めから全てを手助けするわけじゃない。

 

成長と共に、あの子の方が知っていて、

私には分からないことも増えてきたれど、

そんな分野において、あの子が困ったことに直面した時には、

ちゃんとあの子に苦労を学ばせた上で、静かに手助けをしてくれていたのでしょう。

 

あなたの力を感じる不思議な出来事は、これまでに何度も起こったけれど、

あの子は、ちゃんと苦労をすることも知っています。

 

あなたと私。

いつでも同じ方向を向いて子育てをしてきたことも、

何の言葉を交わさなくとも、上手くバランスが取れているところも、

実は、あの頃から、全く変わってなどいなかったのかも知れません。

 

あの夏から歩んで来た道のりに見つけた物事が、

今、漸く此処にひとつに結び付きました。

 

そちら側にいるあなたと、こちら側にいる私。

私たちは私たちのやり方で、

2人、足並みを揃えて、

あの子を育てて来たとも言えるのでしょう。

 

21年間、私と一緒にあの子を育ててくれたあなた。

ありがとう。

あなたと一緒に子育てが出来て、本当に良かった。

あなたは、何処にいても、私のベストパートナーです。

 

 

 

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