あなたへ
今度、連れて行きたい場所があるんだ
今度、こんなところへ行ってみようよ
あの頃のあなたがくれた今度の約束には、
いつでも私を幸せにする魔法が掛かっていました。
今度は私が、あなたに魔法を掛けたくて、
こうして届けるようになった今度の約束ですが、
気付いてみれば、あなたへの今度の約束は、
あなたがいないこの世界で生きる私が、
前を向いて歩むための術にも繋がっているのだと、
先日の私は、ふと、こんなふうに気が付きました。
私には、あなたと一緒に見たかった景色がたくさんありました。
本当は、あなたと一緒に行きたかった場所や、
あなたと一緒に食べたかったもの、
そして、見たかったあなたの笑顔がありました。
あの夏から遠くへと歩めば歩むほどに、
それらのものは増え続けて行くけれど、
それらを見つける度に、
あなたとの今度の約束にしようと考えれば、
なんだかワクワクとした気持ちになってしまうのです。
その時のあなたは、どんなあなたなのだろう。
その時の私は、どんな私なのかなって。
初めて、あなたへの今度の約束を届けた日の私は、
泣きながら手紙を綴っていたはずなのに、
いつの頃からか、
ずっとずっと先の未来を思い描けば、
ワクワクとする気持ちへと変わっていて。
私が感じることの出来るこの気持ちは、
今度の約束をたくさんくれていたあの頃のあなたからの、
贈り物でもあるように感じています。
もう此処に、
あなたからの今度の約束の声は聞こえないけれど、
あの頃のあなたが掛けてくれた魔法は解けないままに。
ねぇ、あなた。
私が届ける今度の約束にも、ちゃんと魔法は掛かっていますか。
そちら側のあなたを、
幸せな気持ちでいっぱいに満たすことが出来ているでしょうか。
此処から先へと歩んで行けば、
私はきっとまた、あなたとしたい今度の約束を見つけるのでしょう。
そちら側のあなたが笑顔になってくれるような今度の約束を、
これからも届け続けて行くからね。
