拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

あなたと歩んだ時間の続き

あなたへ これから、ずっとひとりか・・・ 無意識に、 こんな言葉を小さく呟いてしまったのは、先月の私でした。 これから先の未来、 あの子が巣立って行った後から始まる新しい生活を想像しながら、 無意識に口から出てしまった私の小さな声を、 あなたは、…

成人式の前撮り写真

あなたへ ねぇ、あなた見て? あの子、大きくなったでしょう? こんな私の声は、あなたのところまで届いたでしょうか。 先日、あの子の成人式の前撮り写真が届きました。 毎日、毎日、少しずつ成長するあの子の姿を、 すぐ側で見守ってきましたが、 こうして…

ドライヤーの歴史

あなたへ 偶然に、昔のドライヤーの画像を見つけたのは、 先日のことでした。 なにこれ? 別なことを調べていた私の目に飛び込んできた面白い画像に、 思わず手を止めて、あの子と一緒に、笑ってしまいました。 私が見つけた昔のドライヤーの画像が、どれく…

我が家の夏の風物詩

あなたへ 俺だけ、夏休みが短い気がするんだけど! 叫び声にも近いあの子の声は、 あなたのところまで届いたでしょうか。 ただ今、あの子が専門学生になって、2回目の夏休み中です。 コロナウイルスの影響から、様々に行動が制限される現状とはいえ、 夏休み…

我が家のドライヤー

あなたへ 我が家の青いドライヤー。 これは、私たちが結婚した時に、 私がそれまで使っていたものを、持って来たものでした。 昔のものは丈夫だと、どこかでこんな言葉を聞いたことがありますが、 その言葉の通り、このドライヤーは、大変に長持ちで、 思え…

ちょっとだけ怖くて不思議な話

あなたへ あの子が、 その人生の中で2番目に体験した怖い出来事についての手紙を書いたのは、 今年の春の頃だったでしょうか。 毎年の今頃になると、あの子とふたりで思い出すのは、あの出来事です。 今日は、あの子が初めて体験した、 ちょっとだけ怖くて、…

静かなお盆 -2021-

あなたへ もう、そちら側へは着いたでしょうか。 今年は、お盆初日から連日に渡り雨が降り、 とても涼しいお盆になりました。 あなたのために、たくさん準備したアイスクリームを眺めながら、 こんなにたくさん、いらなかったかな なんて、なんだか、笑って…

彼女 12

この公園は、相変わらずとても静かだ。 あれから、間も無くに新しい年を迎えると、その喜びも束の間に、 コロナウイルスなど呼ばれる未知のウイルスに遭遇した。 思えば、あれから大変な時間を過ごしてきた。 ここに来ることが出来たのは、とても久し振りだ…

彼女11

「もう!遅い!」 彼女が先に待っていてくれたのは、これで2回目だ。 ほんの少し顔を合わせ難い気持ちのまま、ここへ来た私の中の僅かな曇りなど、 一瞬で吹き飛ばすかのように、 彼女は、いつも通り、太陽みたいな笑顔を向けてくれた。 「随分、待ったわよ…

彼女10

あれから、暫くの間、ここに来ることが出来ずにいた。 彼女と顔を合わせ辛かったこともあるけれど、それよりも、 ひとりで、自分の気持ちと向き合わなければならないと思ったからだった。 あの日の彼女の言っていたことは、全部正しかった。 私は、私だけが…

彼女 9

彼女は、とても不思議だ。 突然に私の前に現れたと思えば、私が見ている景色をどんどん変えてくれた。 彼女には、本当に感謝している。 「あなたのことが大好きよ。あなたと出会えて良かった。」 私のこんな言葉に、彼女が嬉しそうに笑ってくれたのは、いつ…

彼女 8

人は、死んだら何処に行くのだろう。 答えの出ない答えを必死で探すようになったのは、 彼が亡くなってからのことだった。 「ねぇ、人は死んだらどこに行くのかな。私ね、本当のことを知りたいの。」 彼女と一緒に、チョコレートを食べたあの日から、 どのく…

彼女 7

「こんなつもりじゃなかったのに・・・突然、泣いたりしてごめんね。」 どれくらいの時間が経っただろうか。 漸く、気持ちを落ち着かせることが出来た私は、 彼女から離れ、ベンチへと腰掛けると、彼女も黙って、隣へと腰を下ろした。 いつものように、彼女…

彼女 6

今日の私は、酷く落ちている。 時々、こんなふうに、どうしようもない感情が込み上げることがある。 彼に逢いたくて、声が聞きたくて、仕方がない。 こんな発作のような感情を自分でコントロールする方法は、 未だに見つからないままだ。 彼が亡くなってから…

彼女 5

「私ね、向こう側の人と話す方法を見つけたのよ。」 彼女が突然に、こんなことを言い出したのは、 また別の日のことだった。 「えっと・・・何か話したの?」 「話したとも言えるのかも知れないけれど、まだ話してないとも言えるわね。 ねぇ、どんなふうに話…

彼女 4

私がこの公園に来るのは、いつでも不定期だ。 曜日も時間も決まってはいない。 にも関わらず、あれから、私がこの公園のベンチに座ると間も無くに、 必ず、彼女がやってくるようになった。 「あら、また会ったわね。今日は、曇り空ね。曇りの空も素敵よね。 …

彼女 3

「悲しい顔、してるのね。」 公共の場であるにも関わらず、いつでも静かなこの場所に、 他の誰かが来るなどと考えたことのなかった私は、突然に聞こえたその声に、 ほんの少しだけ驚いて、言葉を発することを忘れてしまった。 にも関わらず、そんな私を他所…

彼女 2

今日もまた、お気に入りの公園に来た。 ここは、空が綺麗に見える場所で、 人通りも少なく、ほぼ貸切で時間を楽しむことが出来る。 春になると、一面に菜の花が咲くところが、特に気に入っている。 この場所は私にとって、とても特別な場所だ。 私は、5年前…

彼女 1

私は、あの日、死んだのだ。 最愛の彼と共に。 肉体と、魂の一部だけが此処に残された今の私は、 もう、あの頃の私ではないのだ。 明るくて、楽しいことが大好きで、 嫌なことがあっても、 一晩眠ればすぐに元気になってしまうあの頃の私は、 今思えば、単純…

お盆 -2021-

あなたへ 今頃のあなたは、何をしている頃だろう。 空を見上げては、そして、時計の針を気にしては、 今日の私は、そればかりを考えていました。 今頃はまだ、のんびりと寛いでいるのかな とか、 そろそろ帰省の準備を始めているのかな とか。 今日の私は、…

あなたを想う日 -2021-

あなたへ あの日から、7年が経ちました。 今日は、あなたを想う日。 この手の温もりを絶対に忘れないと誓って、 大好きなあなたの大きな手を握り締めたこと。 優しく微笑んで眠る、あなたの姿を見つめ続けたこと。 あの日のことを思い出していました。 あな…

コトバ -2014年8月7日のあなたへ-

あなた!頑張って! 泣きながら叫んだこの声は きっと あなたの耳に届いていたんだね まだ一緒にいたいよ 私のお願いを聞いてくれたあなたは きっと最後の力を振り絞って 戻ってきてくれたんだね ありがとう その手を そっと握り締めて あなたの温もりを感じ…

Gとの戦い

あなたへ 私は、特別な能力など、なにも持ち合わせてはいない。 ずっとそう思っていましたが、よく考えてみると、 恐らく、私には、誰にも負けない能力が、ひとつだけあるようなのです。 そう。 思い返してみれば、私は、いついかなる場合でも、 一番初めに…

釜蓋朔日

あなたへ 釜蓋朔日 こんな言葉を知ったのは、いつのことだったでしょうか。 釜蓋朔日とは、お盆のある月の1日のことで、 その日は、地獄の釜の蓋が開く日とされ、 そちら側の皆様が、お盆に向けて、こちら側へ出発をする日なのだとか。 地獄という言葉には…