拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

瞼の裏に残る景色

あなたへ

 

前へと、歩むしかないことを知りながら、

時々ね、

ふと、あの頃に帰りたいと、強く願ってしまう私がいます。

 

目を閉じて、あの頃に想いを馳せながら、

次に目を開いた瞬間に、

あの頃に戻っていたらいいのになって、

そんなふうに願い、祈るような気持ちで、

ゆっくりと、目を開いたことは、

これまでに、何度あったでしょうか。

 

私の瞼の裏に残る、あの頃の景色の中では、

あなたと、今よりも幼いあの子が、笑っているの。

 

それは、いつでも、鮮明に見ることが出来る、私の記憶。

 

あの頃の、家族3人の笑い声は、

小さな幸せがたくさん詰まった、私の宝物でした。

 

手を伸ばせば、

触れることが出来るんじゃないのかなって、

そっと、手を伸ばすけれど、

私の手は、宙ばかりを掴み、

決して、触れることの出来ない、あの頃のあなたを探して、

なかなか目を開けられずに、

瞼の裏側で笑うあなたを、見つめ続けてしまうのです。

 

今の私が、辛いことばかりなわけじゃない。

 

楽しいこともあれば、

嬉しいこともあるし、

素敵なことを見つけて、感動することもあるし、

誰かの温かさに触れる時だってある。

 

それでも、あなたが此処にいない事実は、何も変わらなくて、

胸が苦しくなってしまうの。

 

そうして、

ふと、あの頃に帰りたいなって、

決して叶わぬ想いが、この胸に溢れ出して、

小さな溜め息が、

雫になって、こぼれ落ちてしまうです。

 

あなたは、何処にいるの?

 

これまでに、

何度、そんなふうに問いかけたでしょうか。

 

今日もまた、その答えは聞こえないままに、

私は、瞼の裏側で笑うあなたを、ただ、

見つめていました。

 

ただ、あなたに触れてみたい。

 

ねえ、あなたは、

こんな時、どうしてる?