将来の夢。
それが、本当に望むことに該当するのだそう。
彼らが叶えてくれるのは、
大きな夢へと向かって歩むための小さな願いに過ぎないのだという。
真の願いとは、自分で叶えるから意味がある。
だから、それについては、誰も手出しが出来ないのだと話してくれた。
彼のように、願いを叶える者になるためには、
学ばなければならないことが、たくさんある。
例えば、言語。地理。
それから、犯罪の手助けをするようなことは、もちろん禁止であるため、
人間についてをよく知らなければならない。
どんなに学んでも、人の心は理解出来ないことも多いのだという。
さっき私の目の前で起こった、
大きな辞書が出てきたり、ペンが出てきたりという、
魔法のような技術も、学ばなければならない。
たくさんのことを学び、夢を叶える者になるための試験を受けて、
漸く、一歩、神への道へと近づくことが出来るのだそうだ。
「試験は、千年に一度行われるのじゃ。」
「試験は難しいですか?」
「皆、大体、2、3回で合格じゃよ。
1回で合格する者もおるが、それは、稀じゃ。
でも、わしは5回目で漸く受かった。
1回目は、羽ペンを出そうとして、どういうことか、大量に鳩を出してしまった。
あぁ、あの時は、鳩の回収が大変じゃったの。
2回目は、人間に姿を変えようとして、とうもろこしになってしまった。
どうしたらとうもろこしになるのかと、試験官には、随分、笑われてな。
あれから暫く、わしはとうもろこしと呼ばれたわい。
あぁ、わしは出来損ないかのぉ。」
その時のことを思い出したのだろう。
突然に頭を抱えて、落ち込んでしまった。
「私だって、失敗ばかりですよ。
でも、その失敗は、後になってみれば、
無駄ではなかったと思えることの方が多いと思いますよ。
あっ、それに、知ってます?
とうもろこしにも花言葉があって、
財宝とか、豊富って意味があるんですよ。」
私の言葉に耳を傾けながら、おじいさんは、頷いた。
「そうか、あの失敗は、無駄ではないのか。
花言葉。財宝。悪くない。うん。悪くないぞ!」
おじいさんが、私の言葉を反芻しながら、納得する間、
私は、今、聞いたばかりの願いを叶える者についてを考えていた。
きっと、全ての人たちの願いを叶えるわけじゃないのだろう。
考えれば考えるほどに疑問が浮かぶ。
「何故、私の願いを叶えてくれるのでしょうか。」