拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

私の生き方

あなたへ


あの日、私の変わらぬ気持ちを込めて、
あなたの棺に入れた手紙が、
あなたへの最後の手紙になるのだと思っていました。


あの頃の私は、
こんなふうに、あなたに手紙を書く日が来るなんて、
思ってもいませんでしたが、
こうして、あなたへの手紙を書きはじめてから、
今日で、1年が経ちました。


あなたをそちら側へ見送ってからも、
あなたに伝えたい事は、山ほどあって、


嬉しい事も、
辛かった事も、
悩んでいる事も、
何気ない日常、ちょっと面白かった出来事も、


全部あなたに話したくて、
あなたの事を想いながら、手紙を書く時は、
いつでも、胸が温かくなりました。


あなたなら、どんな顔で聞いてくれるのかな
あなたなら、どんな答えをくれるのかな


いつでも、あなたの事を思い浮かべながら書く手紙は、
私にとって、宝物になりました。


あなたが、側にいてくれた日々を思い出し、
堪らなくあなたに逢いたくて、
涙が止まらない日もありました。


そして、
時に、すぐ側に、あなたを感じる事もありました。


それは、あなたが、抱きしめてくれている時のような、
暖かな、温もりでした。


そうして、ゆっくりとですが、
私は、今の私と、向き合い、
自分の生き方を見つける時間にもなったように思います。


何度も、後ろを振り返り、今を生きている私ですが、
私は、そうしたくなった時に、
いつでも、後ろを振り返りながら、生きていこうと思います。


あなたを想い、
ずっと、あなたに、恋をしながら。


空を見上げ、
あなたは、どうしてるかなって、
元気ですか?って、
あなたの事を考えながら、生きていきます。


あなたの分まで、あの子の事を大切にしながら、
あの子の笑顔を守りながら、
空を見上げ、ちょっと、胸が痛くて、
涙が溢れそうになったら、
唇を噛み締めて、
時に、我慢が出来ない時には、
泣いてしまうかも知れませんが、
心配しないで下さいね。


だって、振り向けば、
そこには、いつもあなたがいてくれるから。


あなたは、いつでも笑って、こちらを見ていてくれるから。


だから、私はまた、安心して、前を向けるのですから。


私は、躊躇なく、後ろを振り返りながら、
堂々と、生きることにします。


これが、私が見つけた、私の生き方です。

 

 

 

 

あなたへ


あなたを送り出した頃の私の髪は、
肩下、何センチくらいだったでしょうか。


あなたを見送り、もうすぐ、2年と11ヶ月。


あなたの温もりが残っている気がして、
切れずにいた私の髪は、
腰までの長さになりました。


時々、自分で髪を撫でながら、
あなたの温もりを探した私の長い髪。


気が付けば、痛んでしまったこの髪を見たら、あなたなら、なんて言うのかな。


何故だか分かりませんが、
突然に、髪を切ろうと、決意することが出来た私は、
今日、美容室へ出掛けました。


カットされていく髪を見つめながら、
ちょっとだけ、感傷的な気持ちで、
あなたが、この髪を撫でてくれた事を想いました。


カットが終わり、整った髪は、思っていたよりも、気に入りました。


帰り道は、なんだか、少し、気持ちが軽かった。


今は、あなたを送り出した頃より短く、
肩下、10センチ程になりました。


あの子がね、
その髪型いいね 若返ったよ
なんて言ってくれました。


ずっと、あの頃の髪にこだわっていた私ですが、
初めから、そこには何もなかったのかも知れませんね。


だって、目を閉じて、あなたを想えば、
いつでも、ここに、
あなたの温もりが残っている事が分かりましたから。

 

 

 

 

この記憶がリセットされる日まで

あなたへ


あなたを見送り、どれくらいの時間が経った頃だったでしょうか。


なんとか、あなたが側にいない生活に、
前を向こうと、頑張り始めた頃だったと思います。


調べ物をしていたら、たまたま、
死別者の婚姻関係についての言葉が、
目に留まりました。


それは、
死別時には、婚姻関係の解消がされるという内容のものでした。
その言葉に、
ようやく、少し落ち着きを取り戻しかけていた私の胸は、
張り裂けそうでした。


あの日、あなたは、息を引き取り、
私達は、離れ離れになってしまいました。
何故、法律までもが、私達を引き離すような事をするのでしょうか。


婚姻関係の解消


それまでの私が知り得なかったこの事は、
私を酷く、動揺させるのもでした。


あれから、
その言葉は、私の頭を離れる事はなく、
私の気持ちは、塞ぎ込みました。
まるで、
深い、深い海の中にでも、沈んでいくように、
私の心は、暗く、悲しい気持ちで、いっぱいになっていきました。


この事は、誰にも話す事なく、
ずっと、ひとりで考えていました。


私はもう、あなたの妻ではないのかなって。


私達は、ずっと、夫婦なのだと思っていました。
離れ離れになっても、
それは、変わらないのだと思っていました。


なんだか、悔しくて、涙が溢れました。


あなたは、この事実を知らないといいなと思いました。

 


あれから、随分と、時間が掛かりましたが、
私なりに、納得のいく答えを探しました。


私は、私の中で、法律を改正することにしました。


死別時には 申し出により その婚姻関係を解消しても良い


私の中で改正した法律に則り、私が選択します。


私は、あなたとの婚姻関係は、解消しません。


ずっと、ずっと、あなたと夫婦でいたいと思います。


ずっと、ずっと、あなたの妻でいたいと思います。


いつか生まれ変わり、
この記憶が、リセットされる日まで。