拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

好きな人

あなたへ

 

誰かいい人、いないかな

 

誰かのそんな言葉に、

懐かしいような気持ちを抱きました。

 

思えば、過去の私も、

同じような台詞を口にしたことがあったのでした。

 

懐かしく感じる響きの言葉を反芻しながら、

想う人がいなかった頃の気持ちを思い返してみました。

 

毎日がつまらないわけじゃないけれど、

心の奥が、少しだけ満たされないような、

そんな気持ちであったように思いますが、

あの頃の気持ちを思い出そうとしても、

どこか霧が掛かったように、

鮮明な記憶を思い出すことは出来ませんでした。

 

その代わりに、鮮明に思い出すことが出来たのは、

あなたと出会い、

心の奥に空いていた隙間に、

あなたがピッタリと収まった時の気持ちでした。

 

あなたと出会ってから、21年が経ちました。

 

この年月を掛けて、あなたは、

過去の私が、確かに経験したことのある、

少し空虚な気持ちを忘れさせれくれたのでしょうか。

 

誰かいい人、いないかな

 

私はきっと、この先も、

そんな気持ちを取り戻すことがないままで、

この人生を過ごしていくのでしょう。

 

幾つかの恋を知り、

空虚な気持ちを学んだ私に、

最後の恋を教えてくれたあなた。

 

心の奥の小さな隙間に感じる、空虚な気持ちを知っていたはずの私が、

あの頃の気持ちを思い出すことなく、

好きな人がいる人生を送り続けることが出来る私は、

とても幸せなのだと思います。

 

最後の恋を教えてくれたあなたは、

もう、此処にはいないけれど、

私に、終わらない恋を遺してくれたのですね。