拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

進級

あなたへ


先日、始業式を迎えたあの子は、高校2年生になりました。


2年生からは、授業時間が増え、登校時間も早くなりました。
早起きが苦手なあの子と私ですが、
これをいい機会に、早起きが得意になればと思っています。


2年生に上がり、クラス替えがありましたが、
前のクラスの方が良かったと、
今年も毎年恒例の言葉が聞こえました。


1年間が終わる頃には、
きっとまた最高なクラスへと変わっていることでしょう。


あの子の学年がひとつ上がる度に、
小さかったあの子を思い出します。


幼稚園バスに乗って、元気に手を振ってくれたあの子。


ランドセルを背負い、元気に小学校へと通ったあの子。


学ランに身を包んだあの子は、急に大きくなったように見えましたね。


1年前、ちょっぴり大きめだったブレザーも、今は立派に着こなし、
ワックスで髪を整えるのも、随分と慣れたものです。


どう?決まってる?
今日も格好いいよ


整えた髪を私に見せに来るのも、
毎朝、あの子の髪型を褒めるのも、
いつの間にか、私たちの日課になりました。


高校2年生になったあの子は、
これから、どんな新しい発見をし、何を学ぶのでしょうか。


どんなふうに成長する姿を見せてくれるのか、
とても楽しみですね。

 

 

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コトバ -春-

春の風を 覚えていますか
春の色を 覚えていますか
春の匂いを 覚えていますか


その髪を揺らす爽やかな空気を
その瞳に映る鮮やかさを
鼻を擽る甘い香りを
覚えていますか


一緒に過ごした初めての春


あなたを呼ぶこの声を
あなたの手を握るこの指の感触を
あなたを見つめるこの瞳の色を
覚えていますか


夏になったら一緒に海に行こうねって
弾んだあなたの声


次の季節が来ることが
あんなにも待ち遠しく思えたこと


私を呼ぶあなたの声も
頬に当たるその膝の感触も


私はよく覚えています


あなたと重ねた季節を振り返りながら
この時間が永遠に続きますようにと願ったあの頃の私は


あなたに何を伝えることができたでしょうか

 

 

 

プリクラ

あなたへ


押入れの掃除をしながら、
あなたと一緒に撮った、たくさんのプリクラを見つけました。


あなたが写真嫌いだと知ったのは、
今度、一緒にプリクラ撮ろうよって、何気なく誘った日のことでした。


俺、実は写真嫌いなんだ


そう言いながら、
自分の写真は、あまり持っていないことや、
撮られるより、撮る方が好きなこと、
プリクラは、まだ1枚も撮ったことがないことを話してくれましたね。


あなたと一緒に、プリクラを撮ったのは、
あれから、間も無くの頃でした。


あなたにとって、生まれて初めてのプリクラは、
とても硬い表情。
真顔で映ったあなたの顔が、なんだか可笑しくて、可愛かった。


あれから、プリクラの機械を見つける度に、
一緒に撮ろうとあなたを誘ったのでした。


また?
なんて言いながら、
あなたは、いつでも、私のお願いを聞いてくれました。


こんなにたくさん、一緒に撮ってくれたんだね


あなたと撮ったプリクラを並べて、
あの頃のあなたのことを思い出していました。


写真が嫌いだったあなた。


今日は、プリクラ撮らなくていいの?
いつか、あなたから、そんなふうに言ってくれた日は、
いつもプリクラ撮ろうって言うから、
もう、写真慣れたよ
って、あなたは、笑っていましたっけ。


あなたとのプリクラが1枚増える度に、嬉しくて、
家に帰ると、よくこうして並べていました。


あの頃、たくさんプリクラを撮ろうってお願いして、良かった。


だって、こうして眺めているとね、
あの頃の私たちが、どんなふうに過ごしていたのかを、
鮮明に思い出すことができるもの。


初めて、プリクラを撮った日は、
あなたの手を引っ張って、機械の側まで行きましたね。


え?本当に撮るの?って言いながら、
ひとつも嫌そうに見えなかったあなたの顔。


あの時のあなたの手の感触も、
あなたと初めてのプリクラが、
どんなに嬉しかったかも、今でもよく覚えています。


いつの頃からか、
この機械では、まだ撮ったことがなかったよね
なんて、たくさん並んだプリクラの機械の中から、選んでくれるようになりましたね。


今日は、これにしようって、
あなたが選んでくれるのが嬉しくて、
あなたの隣で、溢れ出してしまう笑みを隠すのが大変だったことを思い出して、
何故だか、ひとりで俯いてしまいました。


私の隣に映る、たくさんのあなた。


たくさん、我儘を聞いてくれてありがとう。


あの頃のことを思い返しながら、胸がキュンてなりました。


あなたは、どこにいても、
私に、何度でも恋をさせてくれる人。


ずっと、ずっと、
大好きだよ。