拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

お線香の香り

あなたへ


あなたを見送り、どれくらいが経った頃からだったでしょうか。


家の中、お線香をあげたわけでもなく、
あなたがいる部屋でもないのに、
時々、微かなお線香の香りがすることがあります。


それは、
例えば、


洗濯をしている時、
晩ご飯の支度を始めようとしている時、
考えごとをしていて、ふと、顔を上げた時。


あれ?
そう思った瞬間に、
香りは消えてしまうけれど、
決して気のせいではないその香りに、
私は、あなたのことを考えずにはいられませんでした。


いつでも突然に、
何気ない日常生活の中の、微かなお線香の香りは、
一瞬、肩の力が抜けて、
穏やかな気持ちになれるような、不思議な香り。


それはなんだか、あの頃みたいに、
ねぇ、何してるの?
今日のご飯、何?って、
不意にちょっかいを出しに、
私の側に来ていたあなたによく似ている気がします。


あなたなの?


思わず、あなたがいる部屋に行っては、
何度も、あなたの顔を確認してしまう私に、
あなたは、いつもの穏やかな顔で、こちらを見つめるだけ。


私たちがあなたを想うように、
あなたも私たちを想ってくれているのでしょうか。


ここにいるよ


お線香の香りを感じる度に、
あなたからのそんなメッセージのような気がしてしまいます。