拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

すり替わった考えごと

あなたへ

 

1日だけ、アルバイトやってみない?

 

不意に、あなたのこんな声が蘇ったのは、先日のことでした。

あれは、この人生の中で一度だけ、あなたと一緒に仕事をした思い出。

 

改めて、あの日のことを思い返してみると、ひとつ、気が付いたことがありました。

あなたは、私にとても甘かったなって。

 

あの日の私は、1日だけ、

あなたが勤めていた会社に雇われて、アルバイトをしましたが、

1日だけのアルバイトだったから、そこに厳しさは必要ないと考えていたからなのか、

それとも、仕事のペアが私だったからなのか。

何度思い返してみても、仕事であるはずのあの時間の中に、

あなたの厳しさは、全く感じられずに、

隣にいたあなたが、ただ優しかったことだけが蘇りました。

 

とても寒かった日の外での作業。

 

寒いから、車の中で暖まっておいで

お菓子もあるよ

トイレは大丈夫?

 

あの日の中に詰まっていたのは、

私を気遣ってくれた、たくさんのあなたの声。

 

え?でも、今、仕事中だよね?

 

こんな私の言葉に、

大丈夫だから、暖まっておいでと、暖房を全開にした車内で、

暖まる時間を取ってくれました。

 

あなたは、本当は、仕事に対して、とても厳しい人。

一緒に仕事をしたことがなくたって、絶対にそうであることが分かっていたから、

本当は、覚悟を決めて臨んだはずの1日でした。

 

高額な条件に惹かれて頷いたものの、

仕事中のあなたはきっと、とても厳しいんだろうな。

身内の私にだからこそ、更に厳しいのかも知れないなって。

 

覚悟を決めていたはずなのに、

拍子抜けするほどに、あの日のあなたは、

私に、たくさんの気遣いをしてくれましたね。

 

先日の私が、空を見上げながら、考えていたのは、仕事についてでした。

私のこれまでの仕事に対する考え方や今後について。

そして、これまでの私は、

職場で、何を学び、何を積み重ねてきたのか。

 

とても真剣に、考えごとをしていたはずなのに、

いつの間にか、私の中での考えごとは、

あの日の、ただ優しく、私に対してとても甘かったあなたについてへと、

すり替わっていたのでした。

 

あの日の私は、あなたを心配させてしまうような顔で、

空を見上げていたのでしょうか。

 

何故だか、ふと、蘇った記憶に、考えごとがすり替わり、

ひとりでに頬が緩んでしまったあの時間に、

もしも意味があるのなら、

もっと緩くていいんじゃない?って、

そこには、あなたからのそんな想いが込められていたような気がしてしました。

 

 

 

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