拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

まん丸のおにぎり

あなたへ

 

いつも、あなたの場所へお供えするのは、

小さな器に盛り付けたご飯ですが、

今日は、まん丸のおにぎり。

 

このおにぎり、あなたは、覚えていますか。

 

今日の私が、このおにぎりを作ったのは、

忘れもしない、あの頃のことを思い出したからでした。

 

ここ最近のこちらでは、地震が頻発しているように感じます。

少しの揺れを感じると、思い出してしまうのは、

2011年3月の大地震のことです。

 

ここへ越して来てから、なかなか出来ずにいた地震対策ですが、

このお休みを利用して、地震対策をしました。

万全と言えるのかどうか、ちょっと自信はありませんが、

これで、棚や箪笥が倒れてくる心配は、少なくなったはずです。

 

地震対策をしながら、思い出していたのは、

あなたが作ってくれた、まん丸おにぎりのことでした。

 

あれは、震災の後、間もなくのことでしたね。

 

ガソリンを入れることが出来ず、通勤も、ままならなかったあの頃。

私は、徒歩で仕事へ行き、

会社へ行く手段がなかったあなたは、

学校が休校だったあの子と一緒に、留守番をしてくれていました。

 

夕方、私の仕事が終わる時間になると、

あの子と2人で歩いて、私を迎えに来てくれましたね。

 

3人でお喋りをしながら、帰宅し、家の中へ入ると、

キッチンに見えたのは、この、まん丸のおにぎりでした。

 

もう少しで、ご飯出来るから待ってて

 

そう言って、キッチンへと入ったあなたは、

食事を準備してくれましたっけ。

 

スーパーもコンビニエンスも品薄で、

買い物をすることも出来ずに、

買い置きが、あまりなかった我が家では、

いつも通りの食事を準備することが出来ませんでしたね。

 

あの頃の私たちの、毎日の食事内容は、覚えていないけれど、

あなたが作ってくれた、このまん丸おにぎりが、嬉しくて、

とても美味しかったことだけは、今でも、よく覚えています。

 

その大きな手で作ってくれた、ふた口サイズのおにぎりは、

きっと、食べやすいように、工夫してくれたんだろうなって、

あなたの想いが伝わってくるような、優しいおにぎりでした。

 

新型肺炎、インフルエンザ、地震。

ここ最近の私は、色々なことに怯えていますが、

今日は、あの頃のあなたが作ってくれた、

まん丸のおにぎりを食べて、

元気を出したいと思って、このおにぎりを作りました。

 

でもね、

あなたのおにぎりは、均等に、

どれも同じ大きさのおにぎりだったけれど、

私が作ったおにぎりは、大きさが微妙に違うの。

 

あなたを真似て作ったはずなのにな。

 

ねぇ、あなた。

やっぱり、あなたが作ってくれた、

まん丸のおにぎりが食べたいな。