拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

秘密の時間

あなたへ

 

いつか、ダンスを習ってみたい

 

これは、幼い頃の私の夢でした。

 

幼い頃の私は、

音楽に合わせて、体を動かすことが好きで、

よく、音楽を掛けながら、踊っていました。

 

誰に教わるでもなく、

誰を真似るでもなかった自作のダンスは、

メチャメチャな振り付けだったけれど、

とても楽しかったこと、今でも、よく覚えています。

 

幼い頃に持った夢が、

少しずつ、記憶の隅へと追いやられていったのは、

いつからだっただろう。

 

成長するほどに、見える世界は広がり、

楽しいことを、たくさん見つけるようになった私は、

いつしか、幼い頃に持った夢を思い出すことがないままに、

大人になっていきました。

 

不注意から、足の怪我をしたのは、この春のこと。

 

足を引きずりながら、

まともに歩くことさえ出来ないでいた私は、

不自由な生活の中で、

何故だか、ふと、幼かった頃の自分の夢を思い出し、

足の怪我が治ったら、ダンスをしたいと考えるようになりました。

 

梅雨を過ぎ、夏を迎えても、怪我は良くならず、

漸く、足の怪我が治ったのは、夏の終わりのこと。

 

数ヶ月振りに普通に歩くことが出来るようになったあの頃の私は、

意味もなく、早足で歩いてみたり、

こっそりとジャンプをしてみたりしながら、

痛くはならないことを、何度も、確認したのでした。

 

そうして、あの子には秘密で、

こっそりと、ダンスを始めることにしたのは、

爪がなくなった指先に、

少しずつ、新しい爪が見え始めた頃のことでした。

 

あの子の帰りが遅い日に、自室へと篭り、

動画を観ながら、こっそりと踊るようになった私。

 

動画を観ながら、見様見真似で、体を動かしながらも、

なかなか、ついていけなかった私ですが、

漸く、振り付けを覚え、

近頃は、スポットライトを浴びて、踊っているつもりで、

最高の決めポーズをとってみたりして。

 

これは、誰にも知られてはならない、

私だけの秘密の時間。

 

こんなに年を重ねてから、あの頃の夢を思い出し、

ダンスに挑戦する日が来るだなんて、

思ってもいませんでした。

 

いつか、ダンスを習ってみたい

 

あの頃の私が、思い描いていた形とは、違ったけれど、

私は、今、この秘密の時間を、とても楽しんでいます。

 

 

 

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