拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

お兄ちゃん

あなたへ


今日は、あいにくの曇り空でした。


お昼休憩に、空を眺めていたら、
私達が、初めて、
互いの兄弟の話をした日の事を思い出しました。


あれは、私たちが出会ってから、
どのくらい経った頃だったでしょうか。


あなたは、妹と弟がひとりづつ。
その環境に、
とても満足しながら育ったと話してくれましたね。


子供の頃、どんなふうに遊んで、
何が、楽しかったか。


あの時、妹がね
一番下の弟がさ って、

楽しそうに話してくれた、
私の知らない、あなたの子供時代の話は、
不思議で、とても楽しかった。


私には、妹がひとり。
妹とは、よく一緒に遊びに行き、
仲良しだけれど、
子供の頃、優しいお兄ちゃんがいる友達がいてね
私にも、お兄ちゃんがいたらなって、
憧れていたんだ
そんな話をした私に、
あなたは、言ってくれましたっけ。


お兄ちゃんは、ここにいるじゃんって。


私より、年上のあなた。
どう頑張っても、あなたを追い抜く事は出来なくて、
いつも、私が見ているよりも、先を知っていたあなた。


思えば、
時々、あなたは私にとってのお兄ちゃんみたいな存在だったのかも知れません。


お兄ちゃんが欲しかった


いつか話した私の夢を、
あなたは、叶えてくれていたんですね。

 

 

 

 

 

母の日に

あなたへ


先日は、母の日でした。

 

友達との遊びから帰り、
夕飯の盛り付けを手伝ってくれたあの子は、
お母さんは先に座っていてって、私に座るように促して、
食卓にひとりで、
料理を並べてくれました。

 

あの日は、カレーピラフでした。

 

いつもありがとう
何も用意出来なくてごめんね

 

こんなあの子の言葉と共に私の前に置かれたのは、
山盛りのカレーピラフ。

 

どうやら、お小遣いが底を尽きたあの子は、
山盛りのご飯で、
私に、感謝の気持ちを伝えてくれたようです。


その発想に、なんだか笑ってしまいました。


せっかくのあの子の気持ちです。


残さずに、頑張って食べましたが、
あんなにお腹の苦しい母の日は、初めてでした。


日常の中、こんなふうに、
あの子には、いつも笑わされます。


来月の父の日には、あなたへのご飯が、
いつもよりも、山盛りになるのかも知れませんね。


あなたの苦笑いする顔が、目に浮かび、
なんだか、
やっぱり、ちょっと、笑ってしまいます。

 

 

 

 

コトバ -トンネル-

此処は暗闇


どんなに目を見開いても
何も見えない


時に足元を慎重に確かめながら
時に壁を伝いながら
ゆっくりと歩を進めて行く


暗闇の中
隣にはあの子の温かさが伝わる


繋いだその手は
頼りなかったあの頃から
随分と強く逞しくなった


遥か向こうに小さな光が見えたのなら
それは希望となりほんの少しだけ
歩が早くなる


長い長いトンネルを抜け
青空を眺めながら
此処まで来られた事を
あの子と一緒に喜んだ


良くやったね


あの子の頭を撫で
一緒にトンネルを抜ける事が出来た事を
一頻り喜びながら
歩んだ先には
また暗いトンネルが待っていた


行こうか


それしか道がないのなら


こうして何度
暗闇のトンネルを歩いただろうか


ようやく長く暗いトンネルを抜けても
青空の下を歩ける事は
ほんの僅か
また次の暗闇が待っているんだ


青空の下

そこへ留まる選択もあるのだろう


この場所も悪くないかな
なんて時々弱気になる自分を奮い立たせた


彼があの子に見せたかったものは
此処にはないんだ


そうして
自らがまた暗いトンネルへと
潜り込んだ


試練であるのなら受けて立とう


時折そう思えるようになった私は
少しだけ強くなったのだろうか


私はまたトンネルの中に入ったようだ
まだ僅かな光も見えない


一寸先は闇


これから幾つの暗闇が待っているのか
分からない


それでもいつか
本当に辿り着きたい場所へ
辿り着けると信じている


いつかとても綺麗で
幸せの場所に辿り着く事が出来ると
信じているから


だから
私は今日も進んで行く
暗闇の中
ゆっくりとだけれど
着実な一歩を踏みしめて


目の前に広がる
見たこともない景色を
いつか
あの子に見せる時が来るまで