拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

一生分の我儘

あなたへ


私は、とても我儘なんです


先日、職場で、世間話から、こんな話をしました。


すると、先輩から、
それは、本当に気を許した人にだけでしょう?
あなたは、とてもいい子だと思うよと、
そんな言葉を掛けて頂きました。


それは、本当に、気を許した人にだけでしょう?


その言葉に、私は、あなたの顔が浮かびました。


ずっと、気が付きませんでしたが、
思えば、私は、あなたにだけ、とても我儘でした。


それでも、
いつかあなたが、私の我儘を聞いてくれた時に、
我儘で大変ね
なんて、言ったら、
あなたは、
いや、全然 って、
あなたは、私の我儘を、我儘だとは、言いませんでしたね。


時に、しょうがないな、なんて、言いながらも、
たくさんの我儘を聞いてくれたあなた。


家に帰り、雑談の内容を思い返しながら、
私はもう、誰にも、我儘を言えなくなってしまったのだと、
感傷的な気持ちになりながら、
あなたが聞いてくれた、私の我儘の事を考えました。


私が最後に、あなたに我慢を言ったのは、
あなたを見送ってからの、夢の中でしたね。


夢の中でいいから、時々、家族3人で一緒にいたい と。


あれから、時々、
夢の中、家族3人で過ごす夢を見ます。


あなたは、もう、
私の新しい我儘は聞いてくれないけれど、
私の、一生分の我慢を聞いてくれたんですね。

 

私の我儘を聞いてくれて、ありがとう


小さく呟いた私の声に、
あなたは、
どこがで、答えてくれているのでしょうか。


いや、全然 って。

あの頃みたいにさ。

 

 

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寂しいの世界

あなたへ


梅雨が明けたというのに、曇り空が続くせいでしょうか。
日の差さない空を見上げては、ため息が漏れる、
ここ最近の私は、寂しがり屋です。


何か嫌な事があった?って、
聞かれたとしたら、あった、かな。


ほんの少しの嫌な事。


本当は、私にとっては、
ほんの少し、
ではないのかも知れないけれど、
きっと、あなたに相談したなら、
どんな答えをくれるかは、すぐに分かってしまうような事。


あなたらしいシンプルな解決策。
多分、私も、同じ答えです。


だから、多分、ほんの少しの嫌な事。


でも、本当は、今の私には、そんな事は、どうでも良くて、
上手く説明出来ないけれど、
なんだか、気分が晴れなくて、
なんだか、心のすみっこが、チクチクする。


最近の私は、たまらなくあなたに逢いたくて、
ひとりで、寂しいの世界にいます。


あなたの声が聞きたくて、
あなたと話がしたくて、
あなたの隣にいたい。


私は、今、寂しいの世界の真ん中にいます。

 

 

 

昇段試験

あなたへ


先日、あの子が習っている武道の昇段試験がありました。


先生に叱られて以来、
あの子のやる気は、前にも増して、
家でも、熱心に練習を重ねて来ました。


試験当日は、朝から緊張な面持ちで、
何度もトイレに入るあの子。
サボっていた期間が勿体なかったと、後悔の言葉もありました。


そうして、あなたに、長い時間、手を合わせたあの子は、

引き攣った顔のまま、出掛けて行きました。


昇段試験は、
受かれば、帰りは午前中。
落ちたら、帰りは午後。


家で、ひとり、待っていた私は、
時計ばかりが気になりました。


お昼に近づいても、一向に帰って来ないあの子に、
落ち着かない気持ちの私は、
何度、あなたに話し掛けたでしょうか。


絶対に大丈夫だよね
の言葉から、お昼を過ぎた頃には、
ダメだったのかな
そんな風に変わっていきましたね。


私の、どの言葉にも、何故だか、微笑んでいたあなただったけれど、
午後1時を過ぎる頃には、
あの子が帰って来たら、なんて言って慰めようかと、
言葉を探していました。


そうして、やっと、帰って来たあの子。


ひと息ついて、

受かったよ と。


予定よりも、待ち時間が長く、帰りが遅くなったようでした。


さっきの、俺の顔を見たお母さんの顔、面白かったよ
落ちたと思ったでしょ?
こんな顔だったよ


なんて、私の顔を再現し、大笑いされてしまいました。


無事、昇段する事が出来、
より一層、やる気を取り戻したあの子の笑顔には、
自信が見えました。


あの日、ずっと、微笑んでいたあなたは、
実は、こっそりと、
あの子の試験を見に行っていたのでしょうか。


時々、心配性だったあなた。


陰から、そっと、
あの子を見守るあなたの姿が、目に浮かびました。