拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

曇り空のせいにして

あなたへ

 

近頃の私は、なんだか気分が優れなくて、ため息ばかり。

 

だってさ・・・だって。

ううん。

やっぱり、いいの。

やめておく。

 

だって、言葉にしたら、余計に今を我慢できなくなりそうだから。

 

こんな時は、どうしたら良いのかな。

焦る気持ちが空回りして、上手くいかなかった時の私は、

あの頃、どうしていたのだろう。

 

あなたが側にいてくれた頃のことを思い返してみれば、

あの頃の私は、こんなふうに、

立ち止まって、座り込んでしまうことなど、

なかったのかも知れません。

 

辛いことだって、嫌なことだって、それなりにあったはずだけれど、

そんな時には、私が立ち止まってしまう前に、

必ず、あなたが手を差し伸べてくれたもの。

 

あなたが側にいてくれたから、

私はいつでも、元気でいられたんだね。

 

あなたを見送ってからの私の前には、

ひとりで乗り越えなければならない壁が、たくさんあるけれど、

今は、何も言葉に出来ない代わりに、

ここ最近の私の気分が優れないのは、天気のせいにしておくよ。

今日も、曇り空だったからさって。

 

大きなため息を吐き出して、深呼吸をして、

空を見上げてみれば、あなたに伝えたい言葉は、

いつでも、ひとつだけ。

 

私、頑張るよ。

 

どんなに辛くても、精一杯、強がって、顔を上げてみる。

今がどんなに苦しくても、

いつか笑って話せる日が来るはずだもの。

 

その時が来たら、この辛かった日々のことを、

きっと何処かで、一緒に笑い飛ばしてね。

 

 

 

愛の言葉

あなたへ

 

あの夏から、何度、あの日のあなたを思い出しただろう。

 

私の手を握り、病院のベッドの上から、切なそうな顔をして、

私の顔を真っ直ぐに見つめるあなたの姿。

そうして、

照れ屋なあなたには、似つかわしくない言葉で、私を困惑させたの。

 

俺から、離れないで って。

 

突然のあなたのこんな言葉に、

私はただ、驚きながら頷くばかりだったけれど、

あの言葉は、生きているあなたがくれた、

私への最後の愛の言葉でした。

 

あの夏にあなたを置いたまま、

どう頑張っても、皆と同じように時間は過ぎてしまうけれど、

過ぎゆく時間の中でも、不意に立ち止まれば、

あなたがくれた愛の言葉は、私を抱き締めてくれる。

 

堪らなく不安になった私に、あの頃のあなたは、そっと愛をくれるの。

 

あの時のあなたの言葉は、きっと、一生分の愛の言葉。

どんなに時間が経っても、色褪せることはなく、

私に、変わらぬ愛をくれるあなたの言葉は、魔法みたいだね。

 

今日もまた、青い空を見上げた私に、

あの日のあなたが、

その想いを届けてくれました。

 

この手を握り締めたあなたの右手には、

あの日の私の手の温もりが、今でも残っていますか。

 

 

www.emiblog8.com

 

 

 

 

徳川埋蔵金

あなたへ

 

お母さん、知ってる?

徳川埋蔵金が隠されている場所はね

実は、特定されているんだよ

 

こんな言葉から始まった、あの子の話は、とても興味深いものでした。

あの子の話によれば、

童謡『かごめかごめ』は、徳川の埋蔵金のありかを示す歌だと言うのです。

 

この歌を広めたのは、松尾芭蕉で、

彼は、服部半蔵だった説もあるんだよ

あの時代に、全国に歌を広めるだなんて、凄いよね

 

聞けば、松尾芭蕉が、服部半蔵と結び付けられた理由としては、

奥の細道で歩いた距離と、

交通規制が厳しかった時代にも関わらず、

厳重な警戒が敷かれている関所も通ったとされているからだそうです。

 

そして、

埋蔵金のありかを特定しながらも、それを掘り起こさない理由は、

これまでの歴史が大きく変わる可能性があるからなのだとか。

 

どこから仕入れて来た情報なのか、

あの子は、とても楽しそうに、話を聞かせてくれました。

 

恐らく、日本中の誰もが知る、かごめかごめ。

私はずっと、あの歌は、怖い歌なのだと思っていました。

 

後ろの正面って何?

夜明けの晩っていつのこと?

 

その不思議な表現に、友達と騒いだ日の夜に、

怖くて眠れなくなってしまった、幼かった頃のことを思い出します。

あの頃、あんなに怖かったあの歌が、

埋蔵金のありかを示す歌であった可能性があるだなんて。

あの子の話には、とても驚きました。

 

思えば、社会科が大の苦手だった私が、

少しずつ、歴史に興味を持てるようになったのは、

あなたが側にいてくれたからでした。

 

歴史に関する映画を観る時には、

あなたの易しい解説付き。

私が出会ったどの先生よりも、分かりやすいあなたの解説に、

私は、少しずつ、歴史に興味を持つようになっていったのでした。

 

歴史が好きだったあなたなら、

どんな顔をして、あの子の話を聞いたのだろう。

 

もしも、あの子の話が本当なら、

出来れば、私が生きている間に、埋蔵金が発掘されたらいいな。

ふと、こんなことを考えました。

 

歴史が好きだったあなたの代わりに、その歴史的瞬間をこの胸に刻んで、

いつか、あなたにも、話して聞かせてあげたい。

 

いつの日か、私がそちら側へ旅立ち、あなたと逢えたら、

あなたを見送ってからの出来事を話して聞かせながら、

唐突に切り出すの。

 

ねえ、あなた

徳川埋蔵金はねって。

 

こんな私の言葉に、あなたは、どんな顔をするのだろう。

いつも冷静だったあなたの驚く顔も見てみたいの。

 

 

www.emiblog8.com