拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

秋の肌寒さに

あなたへ

 

寝起きの肌寒さに、思わず、長袖の上着を羽織ったのは、

今朝のことでした。

 

ここ数日のこちらでは、朝晩の肌寒い空気に、

より一層、秋の深まりが感じられるようになりました。

 

つい最近までは、

エアコンがなくては眠ることが出来ませんでしたが、

ここ数日は、毛布の出番です。

 

寝苦しさから解放され、ほっと一息を吐きながらも、

私が今、心配しているのは、あの子のことです。

 

いつの頃からか、夏になると、裸族へと化するようになったあの子。

 

帰宅すると、ものの数秒ほどで、裸族へと変身するあの子は、

帰宅後から、次の日の朝、出掛けるまで、ずっと裸族です。

 

これは、あなたの血を引く者の習性なのでしょうか。

 

そろそろ、寒くなって来たから、

パジャマを着て寝ないと風邪を引くよ

 

あの子にこんな話をしたのは、昨日のことでしたが、

今朝、あの子を起こしに部屋を覗いてみれば、

裸族が毛布に包まって眠っていたのです。

 

もしも、あなたが此処にいてくれたのなら、

私は、毎年、裸族へと化した2人に囲まれて、

夏を過ごしていたのでしょう。

 

肌寒さを感じるこの時期には、

寝る時はパジャマを着てねって、声を掛ければ、

分かった

分かったと、2人分の空返事が聞こえたのでしょうか。

 

今日は、朝から、あの子が毛布に包まる姿を眺めながら、

そんな2人が目に浮かび、思わず、笑ってしまいました。

 

今朝のあの子は、体調を崩すこともなく、元気に起きてきましたが、

そろそろ季節も変わります。

 

体調を崩す前に、今年の裸族は、

終わりにして欲しいと願うばかりです。

 

夕方に、耳を済ませてみれば、秋の音が聞こえてきました。

 

肌寒さを感じながら帰宅した私は、

久しぶりに、ホットコーヒーを淹れました。

 

あなたへのお供えも、今日から、ホットコーヒーに。

 

温かな湯気に乗って、コーヒーの香りは、

あなたのところまで、届いたでしょうか。

 

 

 

 

 1ページ目はこちらより↓

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元気に会える日を楽しみに

あなたへ

 

コロナウイルスに怯えながら生活をするようになってから、

何ヶ月が経ったでしょうか。

 

緊急事態宣言が解除され、

以前のような生活に戻った人。

自粛生活を心掛ける人。

その生活の仕方は、様々ですが、

我が家では、自粛を心掛けた生活を続けたまま、

離れて暮らす家族や、友人と会うことを避けてきました。

 

私たちが住むこの辺りでは、近隣に比べて、コロナウイルス感染者数も多く、

連日のように、感染者数の発表があります。

 

今は、誰とも会わない方が、

大切な人のことも、自分のことも、守ることに、

きっと繋がるのだと考えてきました。

 

初めは頑張れていた静かな生活ですが、

本当はね、時々、

行きたい場所へ行けないのも、

逢いたい人に会えないのも、

なんだか、ため息が出てしまうのです。

 

ため息が止まらないままに、

先日、友人と連絡を取りました。

 

お互い元気で良かったね

コロナウイルスが落ち着いたら、またランチに行こうね

今は、お互いに頑張ろうね

 

心が前を向かないままの私にくれた、

友人の、今は頑張ろうね の言葉は、私をとても励ましてくれました。

 

この静かな生活に終わりが来たら、

友人とも会えるし、

あの子との今度の約束も待っているんだって。

 

今はまだ、もう少し、我慢の時なのでしょう。

 

あの時は、本当に大変だったねって、

元気に、友人と会える日を楽しみに、

もう少し、静かな時を過ごそうと思います。

 

 

 

永遠の親孝行

あなたへ

 

子供はね、3歳までに親孝行をするんだよ

3歳までは、本当に可愛いんだよ

天使だね

その後はね、お金だよ

子供が大人になるまでに、いくら掛かるか知ってる?

1000万円以上掛かるんだよ

3歳までに、その可愛さで、一生分の親孝行をしてもらったら、

そこからの親の役目は、お金を準備することなんだよ

 

これは、いつかの先輩の言葉です。

 

我が子が、

どんなに愛おしい存在であるのかを知ったばかりだったあの頃の私は、

小さなあの子を抱いて、

この可愛さは、3歳までのものなのだろうかと、

真剣に考えたことがありました。

 

いつか、この愛情が少しずつ薄れ、

今よりも、可愛いと感じなくなる日が来たらどうしよう

 

こっそりと、そんな心配までしていたのでした。

 

何もかもが小さくて、ただ愛おしかったあの子。

眠っている時も、泣いている時も、あの子は、ただ、可愛かった。

少しずつ増す重さにも、幸せを感じました。

 

声を出して笑うようになったあの子。

言葉にならない声を出して、お話をするあの子。

私たちにしか分からない言葉を話すあの子。

自分の主張が出来るようになったあの子。

 

いつでも、今が、いちばん可愛いと思いながら、

あの子の成長を見守りました。

 

今が、いちばん可愛い。

 

そんな毎日を送りながら、

幼稚園に上がり、

小学校へ上がっても、

『今が、いちばん可愛い』は、更新されていきました。

 

クリスマスに、小さなサンタさんが来てくれるようになったのは、

あの子が小学生の頃でしたね。

朝、目が覚めて、

枕元にみつけたプレゼントには、本当に感動しましたね。

 

私の言うことを聞かずに、

自分のやりたいようにするあの子の姿に、

やはり、私の血を引いているのだなと、なんだかとても関心し、

そこに愛おしさをみつけたりもしたのでした。

 

あの子が中学生になり、初めての夏休みに、

あなたは、此処からいなくなりました。

 

あなたを想いながら、共に寄り添い、歩んで来たあの子は、

やがて、反抗期を迎えました。

 

悩むこともあったけれど、

無事に反抗期を迎えてくれたことが嬉しくて、

立派に反抗するあの子に向き合いながら、

こっそりと、喜びを噛みしめたのでした。

 

反抗期を迎えながらも、

私が困った時には、必ず助けてくれたあの子は、

頼もしくて、とても可愛かった。

 

高校生になると、

勉強をする意味も、学校へ通う意味も、みつけることが出来ずに、

学校を辞めたいと、

後ろを向いて座り込んでしまったあの子と向き合いました。

 

大人へと近づくあの子の反抗期は、終わりを迎え、

反抗期の頃は、申し訳ありませんでした

なんて、深々と頭を下げるあの子が可笑しくて、

とても愛おしくて、堪りませんでした。

 

高校の卒業式の日には、

お母さんと一緒に、写真を撮りたいと言ってくれたあの子の言葉で、

たくさん苦労したことが、全て、帳消しになったのでした。

 

あの子のお母さんになれて、良かったなって。

 

こうして振り返ってみると、

苦労したことも、大変なこともありましたが、

あなたを見送ってからも、

私は、変わらずに、

いつでも、今がいちばん可愛いと、そう思いながら、

あの子と向き合ってきました。

 

いつまで経っても、今がいちばん可愛いと思えるのは、

その時、その時にみつけたあの子の可愛さが、

大変だったことを、

全て帳消しにするからなのだと思いました。

 

夜泣きをして大変だけれど、とても可愛いのも、

反抗期で大変だけれど、とても可愛いのも、

どちらも同じなのかも知れません。

 

毎日、毎日、

『今が、いちばん可愛い』は、

更新され続けたまま、18年が経ちました。

 

生まれた時から、毎日、

『今が、いちばん可愛い』を積み重ねてきたあの子は、

全部、可愛い。

 

子供は、その可愛さで親孝行をすると言うのなら、

きっと、生まれた瞬間から、永遠に、

親孝行をし続けてくれるのでしょう。

 

小さなあの子を抱いていたあの頃の私には、

成長したあの子のことを、

こんなふうに、愛おしく思うことを、想像することが出来ずにいました。

 

私が感じる、

『今が、いちばん可愛い』は、

この先も、ずっと更新され続け、

あの子が、おじさんと呼ばれる年齢になる頃にも、きっと、

今の私には分からない可愛さが待っていてくれるのでしょう。

 

きっと、どんな時でも、あの子は、とても可愛い。

 

私よりも、少しだけ早くに親になった先輩とは、

もう、連絡を取ることはなくなってしまいましたが、

同じ空の下、

きっと、彼もまた、私と同じように、

あの頃には想像も出来なかった我が子の可愛さに、

毎日、『今が、いちばん可愛い』を、感じていることでしょう。

 

ねぇ、あなたがもし、此処にいてくれたのなら、

今頃のあなたは、

あの子の、どんな『今が、いちばん可愛い』をみつけていたのかな。

 

男同士。

私とはまた違った絆を深め、

今のあなたは、どんなふうに、あの子と笑っていたのだろう。