あなたへ
本当なら、今年は、あなたの七回忌の法要を行う予定でした。
あなたにとっても、私たちにとっても、大切な節目を迎えますが、
私が、悩んでいたのは、コロナウイルス感染症のことでした。
非常事態宣言が解除されたのは、5月のこと。
まだまだ油断は出来ないと感じながらも、
一時は、感染者数の減少に、ほんの少し、安心していました。
終わりが見えるだろうかと、淡い期待までもを持ってしまいましたが、
ここ最近、またコロナウイルスの感染者数の増加が見られるようになりました。
この辺りでも、連日、感染者数が発表され、
その勢いは増すばかりで、恐ろしささえ、感じます。
あの時、行かなくて良かった
そう思う場面もありました。
たくさん、悩みましたが、先日、
法要は行わず、各自、あなたを想うことにしましょうと、
あなたのお母さんと、電話で話し合いました。
この辺りでは、コロナウイルス感染者数の増加が見られますが、
あなたの実家の地域では、まだ1人も感染者がいません。
私たちにとって、心苦しい決断ではありましたが、
あなたの大切な人を守るための決断でもありました。
大切な法要なのに、ごめんなさい。
七回忌の法要を、どうするのか。
悩んでいる間に、何度も思い出していたのは、
想いがあれば、俺は、それでいいと思うんだよね って、
あなたのこんな言葉。
これは、あなたのお父さんが亡くなり、
告別式など、細かな段取りについての話し合いの中での言葉でした。
あの時のあなたは、
形よりも、気持ちが大切だと思うと、
そんなあなたの考えを聞かせてくれたのでした。
たくさん、悩んだけれど、今回のこの決断は、
あの頃のあなたの言葉が、背中を押してくれたようにも感じます。
あなたなら、きっと、
想いがあれば、それで良いんだよって、
言ってくれるような気がして。
私たちは、いつでも、あなたのことを想っているよ。