あなたへ
台風
豪雨
疫病
あなたを見送ってからの私たちは、
どれだけの恐ろしいものを見て来たでしょうか。
この辺りでも、大きな被害があった台風が来たのは、昨年のことでした。
地球史上最大級。
こんな言葉に怯えながら、迫り来る台風への不安に、
私は何度、あなたの顔を見つめたでしょうか。
あの子と2人、怯えながら、覗いた窓の外に見えたのは、
強風に煽られる外灯と、とても強い雨。
一晩が明けてみれば、
私たちがよく知る場所が、変わり果てていたことに、驚愕したこと、
今でも、よく覚えています。
そうして、あれから2週間後には、
これまでに見たことも無いほどに冠水した道路を運転するという、
恐ろしい体験をしました。
あの日ほど、あの子が無事に帰って来てくれたことに安堵した日は、
ありませんでした。
当初は、耳慣れない言葉だった、コロナウイルスという疫病については、
あなたへの手紙でも、何度も触れて来ましたね。
少しずつ、落ち着いてきたかのように思えたコロナウイルス感染者数ですが、
また増加の傾向にあるようです。
早く、マスクをしないで歩きたいねと、
あの子とそんな話をしながら、
テレビを観る日々が、続いています。
まだまだ気の抜けないこちら側ですが、
豪雨による被害を伝えるニュースを目にするようになったのは、
数日前からのことでした。
川の氾濫や、土砂災害。
目を背けたくなるような、心の痛むニュースに、言葉も出ないまま、
これ以上の被害が出ませんようにと、祈るばかりです。
何故、こんなにも、
胸が痛くなることばかりが続くのでしょうか。
あなたが此処にいてくれたのなら、
今の私たちは、何を話し合ったのだろう。
私が不安な気持ちになると、あなたは、必ず、
私を安心させてくれる話をしてくれましたね。
今のあなたなら、私に、
どんな話を聞かせてくれたのでしょうか。