拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

お供え物

あなたへ


仕事帰りに、買い物に寄った私は、
あなたが好きだった炭酸飲料を買って帰りました。


帰宅早々に、
あなたへのただいまの挨拶と共に、炭酸飲料をお供えしながら、
思えば、とても久しぶりに、炭酸飲料をお供えしたことに気が付きました。


冬の間のあなたへのお供え物は、
無意識に、あなたが好きだったお菓子ばかりを選んでいました。
急に、炭酸飲料を選んだのは、
ここ数日、とても春らしい、暖かな陽気が続いていたからなのだと思いました。


あなたへのお供え物で、季節を感じるだなんて、
なんだか、変ですが、
あなたへのお供え物も、無意識に、季節と共に、変化しているようです。


こんなふうに、暖かくなると、
炭酸飲料を好んで飲んでいたあなたを思い出します。


あなたは、そちら側で、どんな今日を過ごしましたか。


私は、暖かな風に吹かれながら、
とても、気持ちの良い一日を過ごしました。


こちらでは、もうすぐ、桜が咲く季節になりますよ。

 

 

 

コトバ -夢の中-

彼はいつでも
突然に逢いに来る


それが当たり前かのように


笑ったり
話したり
手を繋いだり


そして私も
当たり前に彼に笑いかけるんだ


さっきの時間の続きみたいに


そこは夢の中


目が覚めると
目覚めてしまったことに
少しだけ後悔しながら
彼との時間を思い出す


彼の言葉
彼の仕草


ひとつひとつ


彼が彼のままであることを確認して
あれは間違いなく彼だったと納得してから
体を起こして窓を開ける


きっとまた
突然に逢いに来てくれるのだろう


それが当たり前かのように
さっきの続きみたいに


彼は側にいて
笑いかけてくれるんだ


眠りに落ちる前に彼を想う


今度逢えたら
何を話そうか


今度逢えたら
何処に行こうか


彼は遥か遠く
もうこの手は届かないけれど


でもひとつだけ
彼に逢える場所があるとするなら


夢の中


そこは
私がいるこちら側と
彼がいるあちら側を結ぶ
唯一の場所なのかも知れないね

 

 

 

夫婦喧嘩

あなたへ


先日、外出中に、喧嘩をしているご夫婦を見かけました。


よりにもよって、喧嘩の最中に、通り掛かってしまうだなんて、
なんだか、申し訳なさで、いっぱいだった私は、
出来るだけ、話が耳に入らないように、足早に通り過ぎながら、
あなたのことを考えていました。


私たちも、たくさん、喧嘩をしましたね。
思い返せば、
何が原因で喧嘩をしたのかも覚えていないような、
些細なことだったように思います。


喧嘩をしたり、仲直りをしたり、
繰り返しながら、
私たちは、少しずつ、恋人から家族になっていきましたね。


あの日、偶然見かけたご夫婦は、
私たちよりも、若いご夫婦に見えました。


ご本人達は、あの時、嫌な気持ちで、喧嘩をしていたのかも知れませんが、
きっと、またひとつ、絆を深めていくのだろうなと、
私は、密かに、応援したい気持ちで、お二人の前を通り過ぎました。


喧嘩をすることも、出来なくなってしまった私たち。
もしも、この3年と7ヶ月、
あなたが変わらずに、此処にいてくれたのなら、
どんな喧嘩をしたでしょうか。


相変わらず、後から思い出せないような、くだらないことで喧嘩をしながら、
いつの間にか、仲直りをして、
もっと、もっと、深い絆で結ばれていたのでしょう。


あの頃は、喧嘩が嫌いで、時に、無駄な時間に思えていた私ですが、
あなたと離れ、
その時間にも、ちゃんと意味があることを知りました。


あの日、たまたま見かけたご夫婦が、
あの後、すぐに仲直りして、
また仲良く話しているといいなと思いました。


あの頃の私たちみたいに。