拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

最後の言葉

あなたへ


あなたのその姿を最後に見たのは、
丁度、3年前の今日でした。


あなたが息を引き取り、一度は決めた覚悟でしたが、
1日、また1日と時間が経つにつれ、
私は、この日を迎える事が、怖くなっていきました。


その姿を残したまま、
いっそのこと、このまま時間が止まってしまえばいいと。


本当は、迎える事が怖かった告別式の朝、
私は、気が付きました。


きちんと式を執り行う事は、
きっと、あなたにしてあげられる最後のことなんだと。


3年前、この日の朝は、
あなたのために、立派に喪主を務めようと、
覚悟を決めた朝でした。


参列くださった、お一人お一人のお顔を拝見し、
できるだけ、丁寧に挨拶をしました。
私の友人の顔が見えた時には、なんだか、安心して、
思わず、泣いてしまったけれど、
出来るだけ、気丈に、
あなたの妻として、精一杯の事をしようと心掛けました。


あの日の私の小さな目標は、
最後の喪主の挨拶を、しっかりとする事でした。


マイクの前に立つと、
何故だか、私のすぐ後ろに、あなたの気配がありました。
それは、なんだか、あなたも一緒に、
みなさまへ挨拶をしているようにも感じました。


私が、落ち着いて、挨拶をする事が出来たのは、
きっと、あなたのお陰です。


あの日、あなたのお母さんが、
あなたのその姿に掛けた、最後の言葉を聞いていましたか?


お母さんの子に、生まれて来てくれて、ありがとう


式が始まる前に、静かに、あなたに声を掛けていた、
あの日のお母さんの姿、今でも、はっきりと覚えています。


お母さんの言葉を聞きながら、
あなたがちゃんと、
聞いてくれているといいなと、思いました。


きっとまた、
お母さんのところに、生まれて来るんだよ?


あなたをたくさん、
愛してくれたお母さんの元に。

 


P.S
こちらでは、明日から、お盆になります。
今年は、何時頃に帰って来ますか?

また一緒に、コーヒーを飲みましょうね。
早起きをして、楽しみに待っています。


今年は、引越しをしたので、
あなたが、道に迷わないか、ちょっと、心配です。
例年通り、あなたが好きだったキャラクターの提灯を準備しておきました。


ここですよ。


気を付けて、帰って来てくださいね。