拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

喧嘩をした記憶

あなたへ

 

曇り雲を眺めながら、

浮かない気持ちで、小さなため息を吐いたのは、

今更の、たくさんのごめんねを

もう、生きているあなたに伝えることが出来ないのだと、

そんな気持ちになったからでした。

 

何故だか、あなたと喧嘩をしたことを思い出していた今日の私は、

とてもナーバスでした。

 

あの時、こう言えば良かった

あの時、こうすれば良かった

 

そんな気持ちは、苦しくなる度に膨らんで、

ただ、泣きそうな気持ちで、空を眺めました。

 

あなたの側にいたのは、本当に私で良かったのかな って。

 

あなたを見送ってからの私は、

喧嘩の数だけ、仲直りが出来たことに、

ただ、良かったって、そんなふうに考えていたけれど、

本当はね、

どうすることも出来ない気持ちに固く蓋をして、

心の奥へと、押し込んでいたのだと思います。

 

私は、どれだけあなたを傷付けてしまったのだろう

 

一度開いてしまった蓋の閉じ方が分からないままに、

ただ、泣き出しそうな気持ちで空を見上げた私の中に浮かんだのは、

あなたの言葉でした。

 

喧嘩が出来ない相手とは、無理

俺は一緒にいられない

 

その言葉は、空を見上げる私の元に、

空の彼方から降ってきたかのようにも感じた、いつかのあなたの言葉。

 

あの頃のあなたの言葉をひとつ思い出せば、

次から次へと私の心の中の引き出しが開き、

あなたの言葉たちが飛び出しました。

 

お前は、喧嘩をしないと、本音を言わない

 

なんでいつも我慢するの?

 

俺は、お前の本当の気持ちが知りたい

 

たくさん喧嘩をしたけれど、

いつかのあなたのそんな言葉があったから、

これまでの私は、無意識に、どうすることも出来ない気持ちにだけ、

蓋をすることが出来ていたのかも知れません。

 

そうして、

引き出しの中から最後に飛び出したのは、

俺から離れないでって、

病床時に、私の手を握りながら、あなたが言った言葉でした。

 

あの日のあなたの真剣な眼差しと、

その手の温もりを最後に、

それ以上の言葉が飛び出すことはなく、

私の中には、

あの頃のあなたの気持ちだけが残りました。

 

ごめんね

 

私はきっと、そんな気持ちを抱えたまま、

これから先、ずっと生きていくのだろう。

 

それはきっと、あなたを傷つけた罰なのだと考えた私に、

それは違うとでも言いたげに、

また、あの頃のあなたの言葉たちが、今の私を、救ってくれました。

 

ねぇ、あなた。

私は、あなたにとって、いい妻だったかな。

 

今でも、私のこと、愛してる?

 

 

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