拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

パラレルワールド

あなたへ


あれは、あなたと一緒に、
パラレルワールドが描かれた映画を観た後のことでした。


パラレルワールドが、本当にあったら、面白いね

 

何気なく言った私のこんな一言から、

あなたは、パラレルワールドはあると考えているのだということを、

話して聞かせてくれましたね。


人生の分岐点に立った時、
片方を選んだ自分が今の自分としたら、
もう片方を選んだ自分が他にも存在して、
その人生を歩む自分は、今の自分とは、別な人生を歩んでいる。
そんなふうにして、
幾つもの別々な世界が存在するという説があるんだよ と。


あの時、あなたの話を、

とても不思議な気持ちで聞き入っていたことを思い出していました。


もしも、パラレルワールドというものが、何処かに存在するのなら、
私たち家族3人で、あの頃と変わらずに、
元気で暮らす世界があるのかも知れませんね。

 

深い悲しみを知らないままに、

当たり前に、家族3人で笑いながら、

あの夏の続きを生きる私たちの笑顔を思い浮かべてみました。


考えれば、考える程に不思議で、
あなたが、あると思うと話してくれた世界を思い描いてみるのは、
なんだか、とても楽しい時間でした。

 

もしも、パラレルワールドがあるとしたのなら、
その世界に生きるあなたは、私が知らないあなただけれど、
何処かで、元気に、笑っていてくれるといいな。

そして、その世界の私が、
あなたとの時間を大切にしてくれているといいな。

 

ないと証明されていないことは、ないことにはならない


これは、あの日、

パラレルワールドについてを話してくれた時のあなたの言葉でしたね。


あの時は、そんなあなたの言葉を、
ただ素直に受け取っただけでしたが、
あの時のあなたの言葉があったから、
今の私の世界が広がったような気がします。


私たちは、たくさんのことを知っているようで、

実は、ほんの少しのことしか、知らないのかも知れませんね。

 

此処とは別な世界で、

今も元気に笑っているパラレルワールドのあなたも、

私が知っているあなたも、
きっと何処かで、笑っていてくれますように。



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前髪が上手に切れた日

あなたへ


先日、前髪を切りました。


あの日、ハサミとコームを準備した私は、
鏡の前で、目を閉じて、
前髪を切ってくれていた時の、あなたの事を思い出していました。


目を閉じた私のすぐ前に座るあなた。
私の前髪を指で挟んだあなたの手の感触。
そっとハサミを動かす音。


大方、切り終わると、
目を開けてみて
そう言って、
前髪を梳かして、具合を確認するあなたの真剣な顔。


何年もの間、あなたは、そうして、
私の前髪を切ってくれていましたね。


あなたの切り方を思い出しながら、
慎重に、出来るだけ、丁寧に切ったこの前髪は、
今回、初めて、綺麗に切れた気がします。


あなたを見送り、3年間。
何度も自分で前髪を切ることに挑戦してきました。


いつか、あなたみたいに、上手に切れるようになりたいと思っていました。


ずっと、そう思っていたはずなのに、
綺麗に切った前髪を眺めながら、
鏡の中に、複雑な気持ちでいる私を見つけました。


嬉しい気持ちは、ほんの少しだけ。
そして、悲しい気持ちがたくさん詰まった私の顔。


上手に切れちゃったよ


思わずそんな言葉が出てしまった私は、
本当は、上手に、切りたくはなかったのかも知れません。


いつまでも、あなたには叶わないと、思い続けたかったのかも知れません。


あの頃のあなたに追いついてしまった気がして、胸が苦しくなりました。


私は、初めて、こんな気持ちを経験しました。


こんな時、あなたなら、なんて言ってくれるのでしょうか。


生きることは、時々、悲しい


もしも、私がこんなことを言ったとしたら、
あなたは、どんな答えをくれるのでしょうか。

 


あなたに、とても逢いたいです。

 

 

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アルバイト

あなたへ


あの子の夏休みが終わり、またいつもの生活が始まりました。


実は、あの子は、夏休みから、アルバイトを始めました。
これからは、学校、武道のお稽古、アルバイトと、
忙しくなるあの子ですが、とても張り切っています。


アルバイトを始めてから、1ヶ月と少しが経ち、
先日、初めてのお給料を頂きました。


通帳を眺めては、ひとりでに溢れてしまう笑顔。
あの日のあの子は、何度そうして、通帳を眺めていたでしょうか。


本当に嬉しそうだったあの子の顔、あなたにも見せたかった。


初めてのお給料日の気持ち、
ずっと忘れないでいてくれるといいですね。


あの子の満面の笑みを見ながら、
私は、あなたと過ごした時間の一コマを思い出していました。


あなたが、あの子くらいの年の頃に、
近所の飲食店で、
アルバイトをしていた頃の話をしてくれた事がありましたね。


俺が考えたメニューが、お店のメニューのひとつになったんだよ と。
とても、嬉しそうに。


あれは確か、結婚する前の私達の、
何気ない会話のひとつでした。

 


小さなことがきっかけで、
あなたとの何気ない時間を思い出し、胸が温かくなります。
今回は、あの子の満面の笑顔が、
私をその世界へと連れて行ってくれました。


働く事は、大変だけれど、楽しいね
いつもそう言いながら、あの子は、よく、アルバイト先での出来事を、
話して聞かせてくれます。


アルバイトを始めた事で、多くを学んだあの子は、
なんだか、また、大きく成長したように思います。


頑張っているあの子を見ていると、
私まで、勇気を貰える気がします。


私は、あの子を育てているようで、
実は、あの子に育てられているんだなと、改めて感じた今日この頃です。

 


こちらは、随分と涼しく、すっかり秋らしくなりました。
夏の音から、秋の音に変わり、
ちょっと、物悲しい気もしますが、
夏が終わると、暑さが苦手だったあなたの、ホッとした顔が浮かびます。

 

 

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