拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

不思議な朝

あなたへ

 

あなたの夢を見ました。

 

あなたのすぐ側で眠る夢でした。

 

夢の中のあなたと、

何か、言葉を交わしたはずですが、

その言葉を思い出すことが出来ないままに、

とても穏やかな気持ちで、

あなたの側で眠ったことだけを、よく覚えています。

 

あなたの側は、とても暖かくて、心地良かった。

 

はっきりとした、あなたのその感触も、温度も、

目が覚めた今でも、よく覚えています。

 

ねぇ、あなたは、よく眠れましたか。

私は、とてもよく眠れたよ。

 

あなたの夢から覚めたいつもの私なら、

もう一度、あなたに逢いたくて、

目を閉じてしまうはずなのに、

夢から覚めても、

あなたの大きな温かさに包まれているような、

不思議な気持ちで目が覚めた朝は、

夢の中のあなたを探すことなく、起きることが出来ました。

 

あの頃のあなたの、

本当の想いを知ることが出来た今の私には、

この世界が、少しだけ違って見える気がします。

 

あなたを見送ってからの私が、

こんなに不思議な朝を迎えられる日が来るだなんて、

思わなかったよ。

 

 

 

 

あなたが遺した最後のなぞなぞ

あなたへ

 

あなたが入院していた頃に書いていたノートを開いたのは、

あなたが息を引き取った日のことでした。

 

あの子と一緒に、ページを巡れば、

やがて見つけたのは、あなたの想い。

 

自分の人生に、後悔はない

ただ、遺した人が、

この先、どんな人生を送るのか、少し気になる と、

こんな言葉を印象付けた、あなたの言葉でした。

 

あれから、あのノートを開くことが出来ないままに、

時々、あなたの言葉を思い出しました。

 

自分の人生に、後悔はない

ただ、遺した人が、

この先、どんな人生を送るのか、少し気になる と。

 

突然に、あのノートを開かなければならないと、

何か強い力にでも突き動かされたかのように、

あのノートを開いたのは、昨日の夕方のことでした。

 

深呼吸をして、気持ちを整えてから、

ゆっくりと開いたあの頃のノート。

 

入院した日からの、治療内容の記録から始まるノートを、

1ページずつ、巡りながら、

あの日、あの子と一緒に見つけた、

あなたの想いへと辿り着きました。

 

それは、私の中の記憶よりも、長い文章でした。

 

最初に書かれていたのは、

君、あなた、2つの人称代名詞が出てくるひとつの文章。

 

このノートを開いたあの日の私には、

その言葉の意味を飲み込めずに、最後に書かれた、

自分の人生に、後悔はない

という言葉だけを強く印象に残したままで、

ノートを閉じたのでした。

 

今なら、その意味が分かる気がして、

あなたの言葉を何度も読み返しながら、

私は、漸く気が付きました。

 

最初に出てくる君は、あの子を、

次に出てくるあなたは、私を指していることに。

 

それはきっと、正解だったのでしょう。

 

あの子と私に当て嵌めて、前後の文章を読み解けば、

ハッキリとした、あなたの想いが伝わってきたのです。

 

あなたが遺した、その言葉の意味の全てを知り、

私は、声を上げて泣きました。

 

何故なのでしょうか。

 

あなたの言葉から、

あの頃のあなたの瞳に映る、

あの子と私が見えた気がするのです。

 

そこにいるあなたの心は、とても穏やかで、

ただ、目の前にある、

あなたにとっての大切なものを見つめているのです。

 

生を望むでも、諦めるでもなく、

後悔でも、悲しみでもない。

 

あなたが書き遺した言葉の意味を読み解いた私に見えたのは、

あの頃のあなたの、

ただ、穏やかで、幸せな気持ちだったのです。

 

あなたが書き遺した、その言葉の本当の意味を知り、

声を上げて、たくさん泣いたけれど、

私が流した涙は、

悲しい、でも、寂しい、でもなく、

ただ、穏やかな気持ちのする涙でした。

 

それは、

あなたを見送り、何度も流してきた、

どの涙とも違う、とても、温かなもの。

 

あなたが遺した、なぞなぞみたいな言葉は、

あなたを想い、流す涙に、

こんなに穏やかな涙があることを、私に教えてくれました。

 

 

あなたが遺したあの言葉の全てには、

あなたとあの子と私の、3人分の人称代名詞がありました。

 

あなたはきっと、最後に、

家族3人の形を、そっと、ここに遺して逝ったんだね。

 

あれから、6年と3か月。

あなたが最後に遺したなぞなぞは、

此処に、漸く、解けましたよ。

 

 

 

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我が家のクリスマスパーティー

あなたへ

 

今日の私は、

クリスマスパーティー用のチキンの予約に行ってきました。

今年は、張り切って、例年よりも、少し早めの予約です。

 

あの子と、クリスマスパーティーについての話をしたのは、

先日のことでした。

 

あの子の成長に合わせて、日にちをずらして、

クリスマスパーティーを行うようになった我が家ですが、

 

クリスマスパーティーどうする?

 

今年の私が、こんな聞き方をしたのは、

成長したあの子が、無理をして私に合わせなくても良いようにと、

こんな気持ちがありました。

 

年頃のあの子です。

俺は、もういいかなって、

そんな選択をする可能性だってあるかも知れません。

 

形が変わっていくのは、寂しいけれど、

あの子の成長を受け入れて、

我が家の形も変えて行くべきなのだと考えながらの、あの子への問いかけでした。

 

え?やるよね?

 

あの時のあの子は、

一瞬、不思議そうな顔をしたように見えました。

 

どうする?って、

こんなふうに聞いたのが、初めてだったからでしょうか。

 

そうして、あの日のあの子は、

家での時間も大切にしたいと話してくれたのでした。

 

あと、何度くらい、

あの子と一緒に、クリスマスパーティーが出来るのだろう。

 

あなたを見送り、あの子の成長と共に、

これが最後かも知れないなって、そんなふうに考えながら、

毎年のクリスマスパーティーを大切に過ごしてきましたが、

今年もまた、我が家でのパーティーの日取りが決まりました。

 

クリスマスは、俺、ちょっと出掛けるね

 

あの子のこんな言葉から、

今年のクリスマスパーティーは、

12月19日に開くことになりました。

 

我が家での行事も大切にしてくれるあの子に感謝しながら、

今年のクリスマスパーティーも、大切に過ごしたいですね。

 

例年通り、また改めて、あなたへの招待状を送りますが、

12月19日は、空けておいてくださいね。

 

とても楽しみですね。