あなたへ
あのね、あなた
今日は、報告があります。
実は、ここを引っ越そうかなって思っています。
あなたを送り出し、漠然と、引越しの事を考えながら、
少しずつ、少しずつ、片付けを始めました。
本当は、2年前の夏のまま、
何も変えずに、暮らして行けたらって思っていたけれど、
私1人で、ここの家賃を払い続けるのは、ちょっと無理かなって。
何をどうしたらいいのか、時々、途方に暮れながら、
なんとか、大きな区切りを付けることが出来ました。
あなたのものを片付ける事は、辛くて、
時々、涙が止まらなかったけれど、
悲しい事ばかりじゃありませんでしたよ。
あなたに、惚れ直した時の事を思い出したり、
あなたとの、何気ない会話を思い出したり、
あなたと過ごした楽しかった時間を、たくさん、思い出させてくれました。
この家の事は、あなたが何でもやってくれましたね。
庭の自転車置き場も、縁側も、家の中の沢山の棚も、
全部、あなたが作ってくれて。
こんな棚があったらいいな とか、
ここにコンセントがあったらいいな は、
全部、あなたが叶えてくれました。
あなたのお陰で、とても、快適に暮らす事が出来ましたよ。
ありがとう。
あなたが作ってくれた自転車置き場も、棚も、
持っては行けないので、あの子と協力して、解体しました。
あなたが作ってくれた全てのものは、
頑丈で丁寧な作りだった事が、凄くよく分かりました。
とても、あなたらしかった。
あのね、私、インパクトドライバーの使い方を覚えたんですよ。
あの子はね、電動ノコギリを使って、長すぎる木材を切ってくれたんですよ。
私がやるからって言ったら、お母さんは危ないからって、
全部、あの子がやってくれました。
なんだか、小さいあなたを見ているみたいで、頼もしかった。
あなたが、やってくれていた事をあの子と、ひとつずつ覚えて、
なんとかここまできました。
あと少しで、準備が整いそうです。
本当は、ずっとここにいたい。
そんな気持ちと戦いながら、2年が経ちましたが、
やっと、一歩踏み出す勇気が出せそうです。