今日は、特別な日曜日。
ファミレスもラーメン店も、少しお洒落なイタリアンのお店も、覗いてみた近隣の店は、とにかく、どこもかしこも、とても混んでいた。
相変わらず、腹が減ったと騒ぐあの子に、釣られるように、彼も私もお腹が空いてきた。
彼は、並ぶということが嫌いな人だ。
私もあの子も、並ぶことは苦ではないけれど、今日だけは、彼の気持ちが分かる。
時間が勿体無い━━━。そう。今日は、特別な日曜日なのだから。
彼の提案で、ドライブスルーでファーストフードを買い、公園で食べることにした。
こんなふうに、公園でご飯を食べるのは、何年振りだろうか。
あの子が幼い頃には、お弁当を持って、公園へ出掛けた。
あの頃は、あの子がこんなに大きくなることも、自分が年を重ねることも想像出来ずにいたんだ。
永遠にも感じられた子育ては、思えば、随分と楽になり、いつの間にか、あの子はひとりで、何でも出来るようになっていた。
いつの間にか、お弁当を持って公園へ出掛けることなど、とっくに卒業していたことに、改めて気が付き、ベンチに並んで座って、ハンバーガーにかぶりつくあの子の横顔をまじまじと見つめた。
大きくなったんだなぁ━━━。
「え?何?お母さん、食べないの?」
顔を上げてこちらを向いたあの子の頬には、ケチャップがついていた。
随分、大きくなったけれど、幼かった頃と変わらないところを見つけた私は、なんだか笑ってしまった。
急に成長を見せたかと思えば、突然、不意に子供みたいな顔を見せるあの子。
私は何度、この子のそういうところに笑わされながら、救われてきただろうか━━━。
「ケチャップ付いてるぞ。」
そう言って、彼は笑いながら、あの子の頬についたケチャップを拭き取ろうとした。
小さな子供にするように━━━。
「なんだよ。自分で出来るよ。やめろよ。」
俺はもう子供じゃないとでも言いたげな顔で、彼に怒るあの子の顔もまた、幼いあの頃と同じ顔をしていた。
そんなあの子の姿に、思わず、彼と一緒に吹き出してしまった。
きっと、彼も同じことを考えていたのだろう。
小さな頃と変わらないな━━━と。