拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

憧れのお家

あなたへ

 

あの子の作品は、とても面白い。

こんな手紙を書いたのは昨年のことでした。

 

これまでは、テーマに沿って、

公共施設の模型を作成してきたあの子ですが、

ここ最近は、家の模型がメインとなりました。

 

ここには、どんな人が住むことを想定したのか、

どんなコンセプトで設計したのか、

あの子のプレゼンを聞きながら、感心したり、驚いたり。

あの子の発想は、とても豊かで面白く、

聞いていて飽きることのないプレゼンでした。

 

模型を様々な角度から眺め、その素晴らしい出来栄えに、

たくさんの褒め言葉を送りながら、ふと、気が付きました。

 

これは・・・アレではありませんか。

 

幼かった私が憧れていた、

小さなお人形たちのお家です。

 

遊んでみたい

 

湧き上がる欲望を抑えることが出来ないままに、

あの子が作ったお家の中に、小さなお人形たちを入れてみれば、

幼い頃の私が夢見た世界が広がりました。

 

思い返せば、

幼かった頃の私は、ダンボールや、お菓子の空き箱を利用して、

小さなお人形たちのお家を作って遊んでいました。

 

それは、私にとって、とても楽しい遊びではありましたが、

今、私の目の前にあるのは、

幼い私が作ったそれよりも、ずっと立派なお家です。

 

お洒落な階段も、吹き抜けの空間も、

何もかもが素敵なお家に、一気に私の想像が広がりました。

 

ここに、こんな家具を置いたら、素敵だな

この子の部屋は、ここがいいな

 

童心に返った私は、

隣に座るあの子の、若干、冷ややかな目に見守られながら、

素敵なお家を存分に楽しみました。

 

あの子が創り出した世界に、私の夢を重ねた時間は、

何年経っても、忘れられない時間になりそうです。

 

あの子が今、学んでいるのは、本当に素敵な世界です。

次の作品も、その次の作品も、

とても楽しみで、仕方がありません。

 

 

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あの夏のあなたに逢いたい

あなたへ

 

あの夏のあなたに逢いたい。

 

たくさんの想いを並べながら、

あの夏の日々を思い返していました。

 

突然に心臓を患い、もう、元の体に戻ることは出来ないと、

そう宣告されたあの頃のあなたに、

どんな言葉を掛けたら良いのかも分からずに、

私は、ただ黙って、

寄り添うことしか出来ずにいました。

 

あなたよりも、4つ年下だったあの頃の私は、

とても未熟で、とても頼りなかったね。

 

ずっと、あなたに守られて、

それまでを生きてきた私だったけれど、

あの夏のあなたに寄り添っていた私は、

今度は、あなたを守りたいと思っていたよ。

 

たくさんの想いを抱えながら、

上手く言葉に出来ないままに、

ただ、あなたの側に寄り添っていたあの頃の私は、

また明日、

また今度、

そんな約束が永遠にやって来るのだと、

信じて疑わなかった頃の私。

 

あの頃の私は、どれだけの想いを、

あなたに伝えることが出来ていたでしょうか。

 

もしも、今、

あの夏のあなたと向き合うことが出来たのなら、

私は、あの頃よりも、ずっと器用に、

想いを伝えることが出来たのでしょう。

 

もしも、今、

あの夏のあなたに、もう一度だけ、寄り添うことが出来たのなら、

あなたが抱えた大きな不安を、

もっと上手に、無くしてあげることが出来たのでしょう。

 

もしも、あの夏のあなたに、

もう一度だけ、逢えるのなら、

抱き締める術を、たくさん見つけることが出来た私が、

あの頃のあなたをギュッと抱き締めたい。

 

あの夏にいたあなたは、今、何処にいますか。

 

あの夏に、あなたのすぐ側にいた私は、

今日も、この世界で、あなたを想っているよ。

 

 

 

 

 

 

くぬぎちゃん

あなたへ

 

あの子の中に、突然生まれたジョニー。

とても凶暴な彼についての手紙を書いたのは、

あの子が高校生の頃のことでした。

 

あの子が寝不足の朝に、時々顔を見せていた彼は、

いつの頃からか、毎朝、顔を見せるようになり、

それはそれは、毎朝、大変な思いで、

あの子を起こす日々が続いていましたが、

とても凶暴だったジョニーに、

少しずつ、変化が見られるようになったのは、

あの子が高校を卒業してからのことでした。

 

朝、私が声を掛けると、

パチッと目を開けるのは、あの子ではなく、ジョニーの方。

 

鋭い目で、こちらを睨みつけながらも、

え?あぁ、そうなんすか?

あ゛ぁ!そうなんすね?

あーはいはい!と、敬語を使えるようになったジョニーですが、

気が付けば、いつの頃からか、その姿を現さなくなりました。

 

毎朝のジョニーとの戦いの日々は、

大変な毎日でもありましたが、

今、振り返ってみれば、なんだか、

懐かしさが込み上げてきます。

 

毎日、同じように見えても、少しずつ、成長しているあの子。

ある時の大きな変化の訪れに、驚いたり、喜んだり、

あの子が生まれてからの日々の私たちは、

ひとつひとつのあの子の成長を見つけながら、見守ってきましたね。

 

気が付けば、ジョニーの姿を見ることがなくなり、

朝の寝惚けたあの子の声に、

またひとつ、あの子の大きな成長を感じました。

 

あの子の中から、

凶暴なジョニーが、静かに去って行った変わりに、

最近、とても可愛い子が顔を出すようになりました。

 

それは、あの子のお風呂上がりに現れます。

 

昨年、パーマをかけたあの子ですが、

近頃のお風呂上がりのあの子の髪型が、

くぬぎの帽子にそっくりなのです。

 

いつも、格好良く髪型をセットするあの子ですが、

お風呂上がりだけは、印象が変わります。

 

クルクルとした可愛らしいくぬぎの帽子そっくりなその姿に、

お風呂上がりのあの子を、

くぬぎちゃんと名付けることにしました。

 

ジョニーが現れなくなった変わりに、

顔を出すようになったのは、お風呂上がりのくぬぎちゃん。

 

とても可愛い我が家のキャラクターの誕生です。

 

 

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