拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

コトバ -1年前の私へ-

貴女からのエールは

此処にちゃんと届いているよ

ありがとう

 

穏やかで優しい風に

そっと言葉をのせてみる

 

元気ですか?ってこんな言葉も

一緒にのせてみようかと思ったけれど

やっぱりやめておこうかな

 

わざとらしいな

 

なんて

こんな貴女の苦笑い混じりの声が

聞こえてきそうだから

 

私はそこから365歩を歩んだ貴女です

 

貴女の言う通り

相変わらず

そこから先も

前を向いたり

後ろを向いたり

忙しなく日々を過ごした私だったけれど

 

あの時の貴女も

あの時の貴女も

ちゃんと逃げずに

自分と向き合い続けて

勇気を出して歩むことが出来たから

今の私が此処にいるんだよ

 

今の貴女が抱えているその傷は

ちゃんと前へと歩む材料に変わっているから

大丈夫

 

此処にいる私も

まだまだ

目標に向かって奮闘中の私だけれど

まだ貴女が知らない素敵な景色を

たくさん知っているよ

 

これから出会う

最高に素敵な景色の中を

精一杯楽しんでおいで

 

今日の私は

そこにいる貴女と同じ場所から

空を見上げてみました

 

今度は

私から貴女へエールを送っておくよ

 

そこから

365歩を歩んだ私が保証するよ

貴女は大丈夫

だから

そのまま真っ直ぐに歩んでおいで

 

今日のこちらでは青空が広がっていて

此処へ来るまでの道すがらでは

黄色の蝶々を

やけにたくさん見つけたよ

 

だからさ

上手くは言えないけれど

この先も

貴女はきっとずっと大丈夫

 

丁度1年前の貴女へ

1年後の貴女より

 

 

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秋の公園でみつけたもの

あなたへ

 

今年の秋の私が、

近所の公園で新しく見つけたものを数えていました。

 

金木犀の木。

それから、あの頃の私には見つけられなかったどんぐりの木。

そして、いつの間にか変わっていた遊具。

 

ねぇ、あなたは、気付いていましたか。

遊具のある広場から一番離れた公園への入り口に、

金木犀の木があったのよ。

 

あの頃の私だって、金木犀の香りが大好きだったはずなのに、

大好きな香りに、全く気付かなかっただなんてね。

 

あの子の成長と共に、一度は足が遠のきながらも、

やがてひとりでの散歩を楽しむようになったはずだったのに、

やっぱり、そこに金木犀の木があるのことに気が付かないままに、

何度もそこを通り過ぎていただなんてね。

 

なんだか笑ってしまうけれど、

家族3人で公園へと出掛けていたあの頃の私にとって、

大好きな香りよりも目の前にある笑顔の方が大切で、

散歩を楽しむようになってからの私にとってのあの公園は、

あの頃の大切な時間を拾い集めながら、

空を見上げるための場所となっていたのかも知れません。

 

新しくどんぐりの木を見つけたと、今年の秋の始まりの頃には、

こんな手紙を書きましたが、

実は、あれからも、更にたくさんのどんぐりの木を発見しました。

 

どんぐりの木のある大きな広場はね、

実は、ぐるりとどんぐりの木で囲まれていたのです。

 

ここにも、ここにも、

こんなにたくさんのどんぐりの木があったんだなって、

初めて見つけたそれらがなんだか嬉しくて、

どんぐりの木を辿るように更に歩いて行けば、

あの子が初めて『たぬき』を覚えた遊具のある広場へと辿り着きます。

 

ふと、足を止めて、遊具をまじまじと見つめてみると、

いつの間にか、あの頃とは遊具が変わっていて、

あの子が遊んでいた遊具は、もう、そこにはありませんでした。

 

然程、新しくもないように感じる遊具たちが、

いつの間に変わったのか。

全く気付かないままに、

私は、何度も、そこを通り過ぎていたようです。

 

ひとりで散歩に出掛けるようになったのは、今から、4年前。

丁度、あなたの年齢と並んだ頃の私でした。

 

同じ場所へ出掛けても、

見ようとしなければ見えないものがたくさんあって、

年齢と共に、物事の見え方が違ってくるからこそ、

見えてくるものというのも、きっとあるのでしょう。

 

年齢を重ねることが出来たから、

待っていてくれる景色というものが、

この世界には、たくさん存在するのかも知れませんね。

 

あなたよりも4つ年上になった私の秋の中には、

近所の公園で、3つの新しいものを見つけましたよ。

 

 

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あの子がこっそりと憧れたあなたの姿

あなたへ

 

俺の手、見て?

マメが出来たんだよね

お父さんと同じでしょう?

 

こんなあの子の声が聞こえてきたのは、先日のことでした。

 

嬉しそうに自分の手のひらを眺めていたあの子が話してくれたのは、

実はあなたの手に出来ていたマメに憧れていたという話でした。

 

仕事柄、よく、手のひらにマメを作っていたあなた。

 

あなたは、いつもマメが出来てしまうことを気にしていたけれど、

そんなあなたを見つめていたあの頃のあの子は、

実はこっそりと、憧れを持っていたそうです。

 

あの子の言葉には、なんだか笑ってしまいましたが、

あの子曰く、男らしくて格好良いのだそう。

 

どんな些細なところにも、

あの子はあなたに憧れて育ってきましたが、

まさか、手のひらに出来たマメにまで、

あなたと同じだと喜ぶだなんて、想像も出来ませんでしたね。

 

あなたは仕事でマメが出来ていたけれど、

あの子は、日々の筋トレが原因で、マメが出来ているようです。

 

でもさ、マメが出来ていると、少し不便なんだよね

お父さんが気にしていたのが、よく分かるよ

 

嬉しそうに手のひらを眺めていたあの子は、

こんな話も聞かせてくれました。

 

憧れを手にした時に、初めて知る苦労というのもあるのでしょう。

 

あの夏のあの子は、随分と成長し、

初めて、あの頃のあなたの苦労を知ったようですよ。