拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

社会人2年目

あなたへ


今日で巣立つ実感が湧かないよねと、
あの子と一緒に笑った時間。


私の腕の中を、
綺麗な花でいっぱいに埋め尽くしたあの子の笑顔。


電車のドアが閉まる音と、
車内から、笑顔で手を振り続けてくれたあの子の姿。


こうして思い出してみても、あの日にいたあの子は、
ただただ愛おしいという感情を、
この胸いっぱいに甦らせてくれました。


あれから数日後に、
あの子は立派な社会人になりました。


あの子の入社式の日にはね、密かに思いました。
あの子の晴れ姿を見ることは、もう出来ないんだなって。


入園式や入学式。そして、卒園式や卒業式。
あの子の成長の節目には、必ずその晴れ姿を見守ってきましたが、
あの子に流れる時間を、遠くから想像してみることへと変わり、
これから始まる社会人生活が、
あの子にとって、素敵な時間でありますようにと願いながら、
これが子育てを終えるということなんだなって、
あの日の私は改めて、
あの子は此処から巣立ち、大人になったのだと実感したのでした。

巣立ったばかりだった頃には毎日掛かってきていた電話も、
数日おき、数週間おきへと少しずつ間が開くようになり、
心細そうだったあの子の声も、
いつしか、
安否確認です
なんて、私を気遣う声へと変わって行きました。


その度に聞こえて来たのは、やる気に満ちたあの子の声でした。


あの子の声に耳を傾ける時間は、
私にとっての楽しみのひとつでもあり、
そして、元気を分けて貰える掛け替えのない時間です。

沈んだあの子の声が聞こえた日には、
すぐ側に寄り添ってあげられたらと、
あの子との距離にもどかしさを感じたりもしましたが、
あれから先のあの子は、驚くほどに大きな成長を見せてくれて。
一段と、強く逞しく成長したあの子の声に、驚きながらも感じたのでした。
あの子なら、きっとこの先も、ずっと大丈夫だと。


前回の電話では、
やってみたかった仕事を任せてもらえることになったと、
こんなあの子の弾んだ声が聞こえました。


此処から巣立ったあの子は、
自分が選んだ道を、本当に力強く、
そして、楽しみながら歩み続けています。

今日のこちらでは、雨が降りました。


降り続く雨を見つめながら、
今日の私は、
あの子が巣立ってからこれまでのことを思い出していました。


社会人2年目を迎え、あの子にも後輩が出来たそうですよ。

ねぇ、あなた。
此処から巣立ったあの子は、
本当に大きな成長を見せ続けてくれましたね。


社会人2年目のあの子はどんな成長を見せてくれるのでしょうか。
とても楽しみですね。

 

 

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たくさんの桜の景色

あなたへ

 

ここ最近の私は、非常に忙しい日々を送っていました。

これは、自分のミスによるものです。

 

予定を入れ間違えたことに気が付いて、

修正しようとした時には、時すでに遅し。

私の予定は、あり得ないくらいに、詰まってしまったのです。

 

少しだけ迷いましたが、

自分のミスであれば仕方がないと腹を括って、

多忙過ぎる日々を乗り切る決断をしたのでした。

 

思った以上に過酷な日々ではありましたが、なんとか乗り切り、

今日の私は達成感に浸っています。

 

今日は、漸く少しだけゆっくりとした時間を過ごしながら、

ここ数日間の間に見つけた景色を思い出していました。

 

こちらでは、漸く桜が咲き始めましたが、

様々な場所への移動途中には、

たくさんの桜の景色を見つけることが出来ました。

それら全ては、これまでの私が知らなかった景色たちです。

 

とても忙しくはありましたが、恐らくこの春の私は、

この人生の中で最も多くの、

ピンク色を咲かせ始めた桜の木を見つけることが出来たのだと思います。

 

もう二度と、このような日々を過ごしたくはありませんが、

こうして振り返ってみれば、

忙しさの中にも、素敵な瞬間は確かに存在し、

そんな瞬間を楽しんでいた私がいたことも確かでした。

 

今後は、予定の管理は慎重にしなければと反省しながらも、

これが春の出来事でよかったなと、こんな気持ちを見つけて、

なんだか笑ってしまいました。

 

さて、桜の木が並んだ土手の上も、

少しずつ、ピンク色に染まってきました。

満開までは、あと少しと言ったところでしょうか。

 

あの場所へ散歩に出掛ける日を楽しみにしながら、

明日からも元気に歩んで行きたいと思います。

 

 

 

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生まれ変わりの不思議な話

あなたへ

 

先日の私は、とても不思議な話を耳にしました。

 

それは、そちら側には、時間という概念が存在しないから、

どの時代に生まれるのかを選ぶことが出来るのだという話でした。

 

例えば、私たちが生きる今を現在時間とした時に、

此処から100年後に生まれることも出来るのだとか。

ですから人によっては、

前世は今よりもずっと先の未来の時代を生きていた、

ということもあるのだそうです。

 

前世とは、私たちが生きる今よりも、

必ず過去の時代を過ごしていたものと思い込んでいましたが、

それはきっと、

この世界の時間の流れの中を生きる私の感覚に過ぎなかったのでしょう。

 

なんだかとても不思議な話ですが、

本当に生まれる時代を選ぶことが出来るというのなら、

今の私が生きるこの時代を、

もう一度生きるという来世も存在するのかも知れませんね。

 

それならいつか、

あなたと一緒に、あの夏の続きを見てみたい。

 

今度は、あなたと2人であの子の成長を見守ってさ、

あの子が持った夢を2人で応援するの。

 

そうして、あの子の巣立ちの日を迎えたら、

今度は2人で、あの子が乗った電車を見送るの。

 

これからのあの子の人生が、

明るく照らされたものでありますようにって、

2人でそっと祈りながら。

 

そして、あの夏からの景色の移り変わりも、

今度はあなたと2人で見つめてみたい。

 

あのデパート、閉店になるんだって

とか、

あの場所に、新しいお店がオープンするみたいだよ

とか、

あのお菓子、販売終了になっちゃうんだって

って、

少しずつ変わり行くこの世界の景色を、

今度はあなたの隣で見つめてみたい。

 

私ね、この前、気付いたの。

私は、此処に見える景色が変わり行くのが嫌なんじゃなくて、

あなたと見た景色が変わっていくことが、とても寂しいんだなって。

 

きっと、あなたと一緒に変わり行く景色を見つめることが出来たのなら、

今の私が感じる寂さとは、

また少し違った気持ちを感じることが出来るんだろうなって。

 

あなたがいないこの人生の中で、変わり行くものを見つめながら、

そこに感じる気持ちを全部、大切に感じ切ったら、

今度は、今とはまた違った気持ちで同じ景色を眺めてみたい。

 

その時の私の中には、この記憶は残ってはいないけれど、

あなたと一緒に変わり行く景色を見つける度に、

何故だか喜びにも似た気持ちを感じることが出来るのかも知れません。

 

そんな気持ちを大切にしながら、今度はあなたと一緒に、

今の私が見ているこの景色の中を歩んで行きたいなって、

偶然耳にした不思議な話は、

私の世界を広げてくれたような気がしました。

 

 

・・・え?ちょっと待って。

 

もしもそんなことが出来るとしたのなら、

同じ景色の中をひとりで歩む私。

即ち、今の私がそこにもいるということになってしまうではありませんか。

 

それならば、今日の私が思い描いた世界は、

パラレルワールド的な世界なのでしょうか。

 

パラレルワールドとは、

選ばなかった未来が枝分かれして出来た世界なのだと、

いつかのあなたはこんな説明をしてくれましたが、

実は、今度は違った形で、

また同じ時代を生きてみたいと願った人たちの、

生まれ変わりの世界なのではないかと、

ふと、そんな気がしてしまいました。

 

これは、全く知識を持たない私なりの自論ですが、

それに乗っ取り考えてみれば、

もう既に、何処かのパラレルワールドには、

今日の私が思い描いた世界が存在しているということなのかも知れません。

 

もしもそうであるのなら、

いつかの私が想ったパラレルワールドに存在するあなたは、

実は生まれ変わりのあなたということになるのでしょう。

 

そちら側に、時間という概念が存在しないのであれば、

きっと、そのようなことも可能なのでしょうが、

なんだか、私が思い描くものではないような気もしてしまいました。

 

だって、そこにいるのは私じゃない。

 

いえ。私なのでしょうけれど、

でも、私じゃないような・・・。

 

なんだか頭が混乱してきたので、

これ以上、追及することは、辞めておきましょうか。

 

私は、この世界に流れる時間の中に生きる私です。

私らしく、これもまた、

今度の約束として締め括っておきましょう。

 

いつか、あの夏の続きを一緒に見る人生を選んで、

もう一度、この時代に生まれましょうね。

 

この世界には、私が知らない不思議な話がたくさんあります。

 

不思議な話を聞く度に、私の世界は広がって行きますが、

きっと今のあなたなら、本当のことを知っているんだろうな。

 

 

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