拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

瞼の裏に残る景色

あなたへ 前へと、歩むしかないことを知りながら、 時々ね、 ふと、あの頃に帰りたいと、強く願ってしまう私がいます。 目を閉じて、あの頃に想いを馳せながら、 次に目を開いた瞬間に、 あの頃に戻っていたらいいのになって、 そんなふうに願い、祈るような…

人物画

あなたへ ねぇ、あなた 動かないでね そのまま、じっとしてて? 今日は、あなたの絵を描きました。 買い物に出掛けた時に、 なんとなく買ったスケッチブックを眺めながら、 そうだ、 この秋は、芸術の秋にしようって、思いついたの。 何を描こうかなって、部…

新しいスケール

あなたへ 今の私には、ちょっとした悩みがあります。 いえ、 ちょっとだけ、強がりました。 本当は、今の私にとって、 それは、結構な大きな悩みだったりもします。 ここ最近、ずっと頭から離れない、 大きな悩みを抱えていた私ですが、 ずっと、ずっと、先…

私が最後にしてあげられること

あなたへ せめて、あの子が社会に出るまでは これは、あなたを見送ってからの私が、 一番初めに立てた目標でした。 あの子が、ひとりで生きていけるようになるまでは、 なんとか、私も生きなければならない と。 あれからの私は、 出来れば、あの子が結婚す…

あなたより1年長く生きた日

あなたへ 丁度、1年前のことを思い出していました。 あの日の私は、空を眺めながら、 ただ、あなたのことを想っていました。 日々の生活の中の当たり前は、 決して、当たり前ではないと、 改めて、 健康で毎日を過ごせることに、感謝しながら、 ここからは、…

どこが好き?

あなたへ ねぇ、あなた 私のどこが好き? 思えば、あの頃の私は、こんなこと、 一度も聞いたことがなかったね。 どうしてだろう。 あなたは、いつでも、側にいてくれたから、 あの頃の私はそれだけで、充分だったのだと思います。 あなたがいる、そちら側と…

あの子の友達

あなたへ 自転車のパンク修理 釣竿の手入れ これは、あなたを見送ってから、間も無くのあの子が、 出来るようになったことです。 あの子には、ちょっと不思議な友達がいます。 あなたも知っている、 あの子が幼い頃から、仲が良かった近所の子。 私には、教…

得体の知れないものへの恐怖

あなたへ 時々、急に怖くなる時ってあるよね 例えば、 誰もいないはずなのに、 影が見えた気がする とか、 誰かの気配や、視線を感じた気がするとかさ 先日、雑談から、 得体の知れない何かに怯える時がある、 という話になりました。 そんな日は、シャンプ…

あなたの隣で眠ること

あなたへ 私の隣で、あなたが眠っている夢を見ました。 目が覚めた私の隣で眠るあなたの姿に安堵し、 夢の中の私は、もう一度、目を閉じたのでした。 目覚まし時計の音と共に、 いつも通りに目が覚めた私ですが、 なんだか、とても眠くて、起き上がる気力も…

コトバ -母へ-

私が 貴女を始めて お母さんと呼んだ日を 知っていますか あれは彼の告別式を終え 間もなくのことでしたね 庭の畑 貴女が大切に育てた野菜を 一緒に収穫しながら まるで世間話でもするかのように 不意に言ってくれたのでした あなたは嫁ではなく娘だからね …

曾孫を抱く日

あなたへ あの子は時々、 自分が思い描く将来について、語って聞かせてくれます。 どんな道へ進み、将来どんな人になりたいのか。 それから、結婚や子供のこと。 たくさんの話を聞かせてくれるあの子ですが、 先日、突拍子もないことを言い出しました。 もし…

コトバ -5年-

彼を見送ってから 5年と1ヶ月ほどが経った 彼を想いながら生きてきた この5年間という月日を振り返りながら 私は初めて 長かったと感じた 彼を見送ってからの月日に対して こんなふうに 何かを感じるのは初めてのことだ 相変わらず この月日を もう と表現す…

夏と秋の間

あなたへ 今日は、夕方から少しの間だけ、気分転換にと、 散歩へ出掛けました。 ゆっくりと、散歩をしながら、空を見上げると、 大きなハート型の雲をみつけました。 あなたと出会う、ずっと前から、 空を見上げるのが好きだった私ですが、 思えば、時々、 …

今、伝えたいこと

あなたへ 俺なんかと一緒でいいの? 何故だか、 いつかのあなたの言葉を、思い出していました。 いつ、どんな時に言われた言葉だったのか、 思い出すことが出来ないままに、 その時、 私がどんなふうに答えたのかを、思い出そうとしていました。 ただ、ひた…

青色

あなたへ 空を眺める夢を見ました。 何の感情もなく、 灰色の空を、ただ眺めていた私の耳元に聞こえたのは、 あなたの声でした。 青に染めてあげるよって。 そうして、私が見上げる灰色の空は、 鮮やかな青色へと変わっていきました。 空って、こんなに綺麗…

コトバ -あの日、死んでしまった私へ-

あなたは私の中の何処かに隠れて 眠っているんだと思っていたよ 何処に隠れているのだろうって ずっと探していたよ でも もう私の中に あなたはいなかったんだね あなたはあの日 誰にも知られないまま 彼と一緒に死んでしまったんだね この5年間 そのことに…

コトバ -認める-

私は時々 この人生の中で 最も辛かった記憶へと引き戻される 彼の心拍数が下がっていることを知らせる音 目の前で蘇生される彼の姿 泣きながら彼の名前を叫ぶ自分の声 部屋から出され 間も無くに聞こえた電気ショックを施す音 まだ一緒にいたいよ 壁のこちら…

不思議な涙

あなたへ 私なら、大丈夫 ひとりで生きていけるよ そう声に出して言うと、 何故だか、勝手に、涙が溢れ落ちました。 今日の私は、どうかしています。 本当は、あなたを探してしまう。 その手に触れたくなってしまうのに、 今の私は、あなたに、大丈夫だと、…

劇薬

あなたへ あなたを見送ってからの私は、時々、 酷く自分を責めました。 なんでも出来たあなたと、なにもできない私。 もしも、どちらか片方が、 あの日、この世を去らなければならない運命であったのなら、 何故、私ではなかったのかと。 何故、なにも出来な…