月夜の夜に - 拝啓、空の彼方のあなたへ

あなたへ

今夜は月がとても綺麗です。
ちょっと、寒かったけれど、しばらく、月を見ていました。

夜の匂いを嗅ぐとね。
結婚する前の私たちの事を思い出します。

仕事が忙しかったあなたの帰りは、

いつでも、とっくに日が暮れてからで、

疲れているはずなのに、よく、デートに誘ってくれましたね。

あなたが、迎えに来てくれるよりも、
少し先に、外に出て、あなたを待っている時間は、本当に、楽しかった。

あなたの車が見えると、ちょっとだけ、ドキドキしちゃって、

車に乗る時は、なんだか、恥ずかしかった。

こんなふうに、寒くなってきた頃には、

必ず、温かい飲み物を買ってきてくれましたね。

あなたのそういうところが、大好きでした。

何年経っても、夜の匂いは、変わらなくて、
月を見ながら、今夜は、
あなたを待っていた、いくつもの夜を思い出しました。