あなたへ
昨夜はさ、映画を観てたんだ
お母さん、この映画、知ってる?
夜、眠る前に、
映画鑑賞をしていたのだと言うあの子の話に耳を傾けながら、
映画のタイトルを聞いてみると、
それは、いつかの夜に、
あなたと2人で、鑑賞した映画のタイトルでした。
子供向けではない映画を鑑賞する時には、決まって、
あの子が眠った後で、鑑賞したあの頃。
コーヒーやお菓子を準備して、映画鑑賞をする時間は、
あの頃の私たちにとって、
ひと時の息抜きの時間でもありましたね。
幼い子には、刺激が強すぎるシーンがあったことを思い返しながら、
あの映画を観られるほどに大きくなったのだと、
改めて、あの子の成長を感じました。
映画を半分ほど鑑賞して眠ったのだと言うあの子。
あの映画の結末、知ってる?
こんなあの子の言葉に、
結末はねって、あの頃の記憶を辿りながら、ストーリーを思い出せば、
やっぱり言わないで なんてあの子の声に、言葉を飲み込んで、
思い出していたのは、あの映画を鑑賞した日のことでした。
パラレルワールドが描かれた内容のストーリー。
あの子には話さないままに、映画の結末を思い出しながら、
あの日のあなたと過ごした時間を思い返していました。
俺は、パラレルワールドは、あると思うよ
これは、あの映画を観た後でのあなたの言葉。
そうして、あの日のあなたは、
パラレルワールドについてを、話して聞かせてくれましたね。
あの日の私は、
不思議な気持ちであなたの話に耳を傾けていたけれど、
あの日の言葉があったから、
今の私は、私でいられるのだと、改めて、あなたの言葉を反芻しました。
ないと証明されていないことは、ないことにはならないんだよって。
見たこともない世界を思い描きながら、
あなたを想う今の私。
あの日のあなたが、私の世界を大きく変えてくれたんだね。