拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

お盆の思い出 2023

あなたへ

 

楽しい時間というのは、

いつでもあっという間に過ぎ行くものですね。

 

楽しみにしていた時が過ぎ去り、またこの家に1人になった私は、

このお盆に過ごした時間をゆっくりと思い返していました。

 

お盆の初日に目が覚めると、いつもとほんの少しだけ違う空気に、

あなたが帰って来ていることが直ぐに分かりました。

 

おかえりなさいと声を掛けた私に、

今年のあなたは、どんな言葉を返してくれたのでしょうか。

昨年のお盆の頃よりも、一段と逞しい姿になったあの子には、

どんな言葉を掛けましたか。

 

今年のゴールデンウィークと同様に、

出たり入ったりと忙しなかったあの子でしたが、

一緒にお出掛けをしたり、遅い時間までお喋りをしたりと、

たくさんの楽しい思い出も出来ましたね。

 

その姿は見えなくとも、

お盆に流れる時間はきっと、家族3人の時間。

 

きっといつでも、あなたは側にいて、

私たちのお喋りに耳を傾け、頷いたり、笑ったり、

あの頃と変わらぬあなたが側にいてくれたのでしょう。

 

このお盆休みの間には、

あの子の大きな成長を感じた場面もありましたね。

 

私よりも早くに起きたあの子に起こされたのは、お盆2日目の朝。

まさか、あの子に起こしてもらう朝を迎える日が来るだなんてね。

 

あの日の朝は、巣立ってからのあの子が、

どんなに成長したのかを感じることの出来た素敵な朝でした。

 

あの日の朝のあなたは、きっと、

自分で起きたあの子の頭を撫でて、褒めたのでしょう。

あの頃みたいに。

 

楽しい時間というのは、

どうしてこうも、足早に過ぎ去ってしまうのでしょうか。

たくさんの素敵な時間が散りばめられた今年のお盆は、

なんだかバタバタと、忙しなく過ぎて行ったようにも感じます。

 

明日は、2人とも、帰っちゃうんだね

 

お盆の最終日の前夜に、ポツリと小さく呟いた私の声を、

あなたはすぐ側で、聞いていたのでしょうか。

 

毎年のお盆の最終日には、早朝にこちらを出発していたあなただけれど、

今年は違うのかなって、そう感じたのは、

お盆の最終日の朝の空気感でした。

 

最終日には、家でゆっくりと休んでから、

こちらを出発することになっていたあの子と一緒に過ごしながら、

きっと今年のあなたは、あの子と一緒に出発するのかなって、

そんな気がしていましたが、それが確信へと変ったのは、

あの子を駅まで送った時のことでした。

 

駅に到着し、車を停めた瞬間に、突然に雨が降り出して。

雨の予報ではなかったはずなのに、

タイミング良く降り出した雨はきっと、

俺も帰るよ

また来年ねって、

こんなあなたからの想いの篭った雨だったのでしょう。

 

私が寂しがるからと、あなたはきっと気遣って、

帰る時間を遅らせてくれたんだね。

 

2人ともが帰ってしまった後のこの部屋の中は、なんだかとても広くて、

ほんの少しだけ寂しさを感じてもしまいますが、

でも、今年のお盆も、とても楽しかった。

 

毎年のお盆には、必ず、素敵な思い出をくれるあなたは、

今年もまた、素敵な思い出を残してくれました。

今年も、素敵な時間をありがとう。

 

あなた。また来年ね。

きっと帰って来てくださいね。

 

 

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