あなたへ
眠る前に、あの公園で撮った写真を眺めながら、
そこに顔のような形の雲を見つけたのは、昨夜の私です。
あれ?この雲、なんだろうって、
ある一部分が急に気になって、拡大して見てみると、
そこが顔のように見えてしまったのです。
拡大したり、元に戻したり。
昨夜の私は、何度こんなことをしていただろう。
顔に見える。
一度そんなふうに見えてしまえば、
私には、もう、どうしても顔にしか見えなくなってしまったから、
これをあなただと決めてみました。
これが、そちら側のあなただとするのなら、
この時のあなたは、どんな言葉を掛けてくれていたのだろう。
散歩に来たの?
元気そうだね
俺は此処にいるよ
この空に、様々な言葉を乗せてみたりしながら、
暫くの時間を過ごした昨夜は、
なんだか眠るタイミングを逃してしまって、今日はちょっとだけ、寝不足気味です。
今日もまた、昨日撮った写真を眺めながら、
どうしても顔に見えてしまう雲の形を眺めていました。
あの時間に、この向きでの空の写真を撮らなければ、
見つけることの出来なかった不思議な雲の形。
これもまた、偶然を装った必然、という捉え方も出来るのかも知れません。
見逃してしまえば、ただの雲の形だったはずなのに、
そうはならずに、私は、その不思議な形を見つけることが出来ました。
あの時間の此処に、密かに流れていたのは、
そちら側とこちら側の世界が、ひっそりと交わって、
空の彼方のあなたが形となって、この世界に映し出された瞬間。
私がこう感じるのだから、きっとそうなのでしょう。
あの時間の私たちはきっと、画面越しに見つめ合っていたんだね。
そう。19年前と同じように。