拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

あの子の髪型

あなたへ


高校生になってからのあの子は、
毎朝、髪をセットして、登校するようになりました。


あの子が通う学校では、
校則が比較的緩く、髪型などは自由なようです。


セットの仕方も、随分と慣れてきたようですが、
髪型が決まらないと、なかなか鏡の前から動こうとしないあの子。


ヘアアイロン貸して


早くしなさい


やばい こんな時間だ


余裕持って早く起きないからでしょ


起きるまで起こしてよ


何度も起こしたでしょ


なんて、
毎朝、大騒ぎです。


鏡の前で、必死に髪をセットするあの子の姿を見ながら、
あなたの、高校時代の写真を思い出しました。


丁度、今のあの子くらいの年のあなたも、
髪型をバッチリと決めて、写真に写っていましたね。


あなたが、高校生の頃も、あの子と同じように、
毎朝、納得が行くまで、
鏡と向き合っていたのでしょうか。


私が会った事のないあなたを想像し、
ひとりで苦笑いしながら、思い出しました。


思えば、私も、そうだったなって。


私も、あの子くらいの年の頃には、
毎朝、自分の納得が行くまで、
鏡と向き合っていたんでしたっけ。


新しい髪型の研究、ピンの留め方。
あの頃の私もまた、今のあの子と同じでした。


それは、私達が、出会う前の事。


同じ空の下、
きっと、同じような道を辿って、
成長してきたんですね。


あの子もいつか、
今の自分を、懐かしく思う日が来るのでしょう。

 

毎朝のあの子には、困ったものですが、
仕方がない。


明日から、もう少しだけ、早く起きるとしましょう。


あの子が、思う存分、今の自分と向き合えるように。