あなたへ
もう少し、髪が伸びたら、パーマをかけたいな
こんな話を聞かせてくれたのは、この夏のあの子。
髪が伸びるのを待ちきれずに、夏の頃からのあの子は、
ヘアアイロンを使って、パーマ風の髪型を楽しみました。
あと、どのくらい掛かるかな
理想の髪の長さまでに掛かる時間を数えながら、
パーマをかける日をとても楽しみにしていました。
ねぇ、もういいかな
いいと思う?
夏の頃よりも長くなった髪を確認しながら、
ヘアサロンへと出掛けたのは、先日のことでした。
ヘアアイロンを使ってパーマ風に整えるのとは、
また違った印象に変身して帰って来たあの子は、
とても、大人っぽい雰囲気へと変わりました。
生まれて初めてのパーマヘア。
良く似合っているよ
こんな私の言葉に、あの子は、嬉しそうにしていました。
パーマヘアと一言に言っても、
セットの仕方で、随分と印象が変わるものです。
最近のあの子は、髪のセットの仕方を研究しては、
新しい発見を楽しんでいるようです。
今よりも髪が伸びた頃には、
今度は、別なパーマに挑戦したいのだそうですよ。
ここ数年、あの子がずっと通い続けているヘアサロンは、
あなたのお気に入りだったヘアサロンです。
あの頃、あなたが絶賛していた美容師さんのことが、
あの子も大のお気に入り。
いつも、同じ美容師さんに、髪を切って貰っているようです。
もしも、あなたが此処にいてくれたのなら、
時には、あの子と2人で、
ヘアサロンへと出掛けていたのかも知れませんね。
あなたとあの子。
2人のお気に入りのヘアサロンは、
女性客お断りの、男性のためだけのヘアサロン。
私だけ、一緒に行くことが出来ないままに、
羨ましく見送れば、
きっと、悪戯顔で、男同士のハイタッチをしたのでしょう。
あの頃よりも、力強いハイタッチをしながら、
楽しそうに出掛ける2人が、ふと、目に浮かびました。