拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

シロップ漬けのパイナップル

あなたへ

 

家族3人で、初めて、バイキングのお店で、

食事をした日のことを覚えていますか。

 

あの日、あなたがお皿いっぱいに持ってきたのは、

パイナップルでした。

 

とても嬉しそうに、

パイナップルばかりをお皿に乗せて運んで来たあなたが、

なんだか、とても、可笑しかった。

 

あの子と私が笑うと、あなたも一緒に笑いましたね。

 

そうして、パイナップルを頬張ったあなたは、

とても幸せそうな顔をしていました。

 

あれは、シロップに漬けてある、甘いパイナップル。

 

これまで、抜け落ちていた記憶が、

またひとつ、蘇りました。

 

あなたは、シロップに漬けてある、甘いパイナップルが、

とても好きでしたね。

 

そうそう。

ハンバーグ屋さんに行った時には、

いつも、パイナップルが乗ったハンバーグを注文していましたっけ。

それから、

パイナップルの缶詰が好きで、

あなたは、一缶、全部、ひとりで食べてしまうの。

 

ひとつ思い出せば、

次々に記憶の奥から飛び出して来た、

パイナップルが好きだったあなたの記憶。

 

買い物へ出掛けた私は、あの頃のあなたの笑顔を思い出しながら、

早速、あなたにパイナップルの缶詰を買って来ました。

 

本当は、大きい缶詰を買いたかったけれど、

品切れだったから、小さめの缶詰。

今度は、大きい缶詰を買って来るからね。

 

人は、強いショックを受けると、

大切だったはずの記憶を、

置き忘れてきてしまうものなのだろうか。

どうして、これまで、

あなたが好きだったものを、思い出せなかったのだろうって落ち込みながら、

ゆっくりと、拾い集めて行けばいいと、前を向いたのは、

昨年の、冬を間近に控えた頃のことでした。

 

あれから、時間は掛かりましたが、

あなたを見送り、抜け落ちてしまった記憶が、

またひとつ、ここに、蘇りましたよ。

 

あなたの場所へお供えした、パイナップルの缶詰を見つめながら、

あの頃の大切な記憶を、もう一度、この胸へと刻み直して。

 

 

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