拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

あなたが見ることの出来なかった景色

あなたへ

 

あなたが経験出来なかったこの年齢になり、

変わったことと言えば、

これまで、特に好まなかったお味噌が好きになったことでしょうか。

なんて言ったら、あなたは笑うのでしょうか。

 

年取ると、食の好みが変わるって言うよね って。

 

あなたの年齢よりも、ひとつ年上になった私は、

この1年、色々なものを見てきました。

 

嫌なこともあれば、楽しいこともありました。

 

あなたよりも、年上になったのに、

あなたが側にいてくれたらと、泣いてしまった日もありました。

 

躓いては転び、自力で立ち上がっても、また転んでしまう。

そんなこともありましたが、その経験の中で、たくさんのことを学びながら、

また新たな大切なものを見つけることが出来たように思います。

 

人生、山あり谷あり

 

なんて言いますが、この1年を振り返ってみれば、

山ばかりで、谷なんてどこにあったのだろうかと、

考えてしまいますが、

この年齢として過ごす最後の日に、

歩んできた日々を振り返ってみれば、

幾つもの山を超えて来た今の私には、

1年前には見ることが出来なかった景色を見ることが出来ているように思います。

 

あの頃、漠然と、

あなたの年齢を超えることは出来ないのだろうと考えていた私ですが、

あなたよりも、ひとつ多く年を重ね、

たくさんの経験をすることが出来ました。

 

あなたにも、見せてあげたい素敵なものも、

たくさん集めることが出来ましたよ。

 

今日で、この年齢にお別れをし、

私は、明日からまた、

新たな年齢を迎えます。

 

そこには、どんな景色が待っていてくれるのでしょうか。

 

見たことのない景色を楽しみに、

私はここからまた、新しい一歩を踏み出したいと思います。

 

 

www.emiblog8.com

 

 

 

 

 

 

マスク作り

あなたへ

 

私はもう、疲れてしまいましたよ。

何がって、マスク探しをすることです。

 

10年前の記憶を元に、マスクを多めに購入したよ

 

あなたにこんな手紙を書いたのは、1月の頃でしたね。

 

あれから、暫くが経ち、売り場からマスクが消え去り、

その光景に、恐怖を覚えながらも、

買い置きのマスクがなくなる頃にはきっと、

売り場も元に戻るのだろうと、考えていたのでした。

 

あの頃の職場での話題は、マスクのこと。

いつ頃、売り場に並ぶのだろうって。

 

そんなある日のことでした。

 

これ、震災の時に買っておいたマスクなんだけれど、

家にたくさんあるから、使って?

 

息子さんもいるのだから、遠慮しないでと、

職場の方が、マスクを譲ってくれたのでした。

 

頂いたマスクのお陰で、家にはまだ少し、マスクがありますが、

間もなく底を尽きます。

 

もしも、職場の方が譲ってくれたマスクがなければ、

とっくに我が家のマスクは、底を尽きていました。

職場の方には、本当に感謝しています。

 

店の売り場からマスクが消えてから、暫くが経ちますが、

未だに、入荷未定のまま、状況は変わりません。

なんだか、この状況に、疲れてしまいました。

 

きっと、このくらいあれば大丈夫だと、

マスクを多めに買ったつもりだったあの頃の私の、読みの甘さに反省しながら、

今日は、

インターネットで紹介されていた布のマスクを作りました。

フィルターを入れるポケットも付けましたよ。

 

マスクについて調べてみれば、

様々な情報がありすぎて、

何が良いのか、私には、明確に判断することが出来ませんでしたが、

何も着けないよりは、

布のマスクを着けた方が良いのかも知れないと判断しました。

 

マスク探しに疲れてしまった私ですが、

初めてのマスク作りは、なんだか、とても楽しく、

気が付けば、1日の終わりを迎えます。

 

今日は、久し振りに、時間を忘れて、

楽しい1日を過ごすことが出来ました。

 

www.emiblog8.com

 

 

 

 

お褒めのお怒り

あなたへ

 

もう!困るよ!お母さん!

 

私は、いつから、あの子のこんな言葉が聞けるようになったのだろう。

これは、

食事が美味しかった時に、あの子の口から発せられる言葉です。

 

お腹いっぱいだけれど、おかわりしたい。

でも、太るかな。

あの子の中では、こんな葛藤があるようですが、

いつも、あの子はその戦いに敗れ、私が作った料理が勝者です。

 

こんなに美味しいもの作らないでよ

俺が太ったら、お母さんのせいだからね

 

料理が苦手な私ですが、

いつの頃からか、

こんなに嬉しい、お怒りの言葉を頂戴出来るようになったのです。

 

あの子の食欲が止まりません。

 

いつか、あなたにそんな手紙を書きましたが、

その勢いは収まることを知らず、勢力を増すばかりです。

 

たくさん作ったはずの料理は、次々とあの子の細い体へと収まります。

太る気配など、全く感じられませんが、

体型を気にするあの子は、

太るのは困るなどと言いながらも、食欲が止まらない様子。

 

たくさん作ったからね

 

あの子が、たくさん食べてくれることが嬉しくて、

私も、ついつい勧めてしまうのです。

 

おかわりをしてくれるあの子を見つめながら、

ふと、思い出したのは、

あなたの好物を並べた、ある日の夕食の時のあなたの顔でした。

 

食卓に並んだ食事を前に、

嬉しそうに、いただきますの挨拶をしてくれたあなた。

 

あの時のあなたったら、食べる前から、

おかわりある?って、

そんなことを言うのが、なんだか、とても可笑しかった。

 

今の私なら、もっとたくさん、

あなたのあんな顔を見ることが出来たのかも知れませんね。

 

昨日よりも今日。

今日よりも明日。

気が付いてみれば、苦手な料理も、

少しずつ、成長を重ねることが出来ているようです。

 

あなたなら、どんな顔で喜んでくれるのだろう。

 

時々、胸の奥が痛むけれど、

今、私の目の前にある、あの子の笑顔を大切に、

成長していけたらいいなって思っています。

 

 

www.emiblog8.com