拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

新しく見つけた楽しみ

あなたへ

 

あの子と一緒に撮ったプリクラを眺めていました。

これは、先日、あの子の新居を見に行った帰りに撮ったものです。

 

こうしてあの子と一緒にプリクラを撮るのは、

思えば、あなたと家族3人で旅行へ出掛けた以来のことです。

 

旅行へ出掛けると、必ずと言って良いほどに、

家族3人でプリクラを撮るようになったのは、

いつの頃からだったでしょうか。

 

ほんの思いつきでプリクラを撮って以来、

楽しい旅の思い出の1枚の中に、

当たり前に加わるようになったそれもまた、

私たちにとっての家族写真の一部となっていきましたね。

 

プリクラを可愛く仕上げるのは、いつでも私だったけれど、

成長と共に、あの子がそれを担当してくれるようになって。

あの頃の私たちは、そんなところにも、あの子の成長を感じましたっけ。

 

私たちがよく知るあの頃のプリクラは、

あれから、かなりの進化を重ねたようです。

 

最近のプリクラというのは、とても凄いですよ。

先日、撮ったばかりのプリクラの中、

あの子の隣で笑う私は、もの凄く若々しく、そして、

とても可愛いらしい姿なのです。

 

親子で撮ったと言うよりは、

友達同士で撮ったようにも見えてしまいます。

 

もう、原型すらとどめてはいない私の姿に、

なんだか笑ってしまいますが、

正直に言うと、とても気に入ってしまいました。

 

いつもとはまた違ったこんな1枚を残してみるのも、

なんだかとても楽しいなって。

 

もしも今、あの頃みたいに、

家族3人でのプリクラを撮ることが出来たのなら、

きっと、仲良し友達3人組のようなプリクラを撮ることが出来たのでしょう。

 

成長と共に、あなたによく似てきたあの子とあなたは、

もしかしたら、双子のように仕上がったのかも知れませんね。

そんな2人の姿に、あなたは、どんな顔で笑うのだろう。

 

友達同士にしか見えない家族写真。

そんな1枚1枚を集めてみるのも、

きっと楽しい思い出作りとなっていたのでしょう。

 

あの頃、旅先では、必ずプリクラを撮っていたように、

これからは、あの子の住む場所へ出掛ける度に、

こんなふうに、あの子と一緒にプリクラを撮ることが出来たのなら、

これからの新しい思い出の作り方ともなるのかも知れません。

 

巣立ちの前のあの子の笑顔を見つめながら、

此処から先での新しい楽しみを見つけた私ですが、

あの頃よりも、随分と進化したプリクラの機能を知り、

またひとつ、

これからの楽しみを見つけることが出来ましたよ。

 

 

 

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認めてはならないこと

あなたへ

 

いや、これは違う

絶対に違う

気のせいだから!

 

こんなふうに自分に言い聞かせるのは、

この人生の中で何度目だろう。

 

こちらでは、随分と暖かくなり、

次の季節の訪れを感じられるようになりました。

 

暖かくて気持ちが良いな

 

ベランダに出て、穏やかな風に身を委ねてみれば、

なんだか、くしゃみが止まらずに、

ほんの少しだけ、頭がボーッとするような、

そして、ティッシュペーパーが手放せないような、

そんな気がしてならないのです。

 

それってさ・・・

こんなあなたの声が聞こえてきそうですが、それ以上、言ってはなりません。

 

だって、折角のこの時期に、

ほんの少しだけ憂鬱な気持ちになってしまうような気がするではありませんか。

 

だから、アレである可能性が極めて高いことは、

決して認めてはならないのです。

 

毎年ではないものの、数年に一度ほどのスパンで、

こうして自分に、絶対に違うのだと、

強く言い聞かせなければならない年がやって来ますが、

今年はどうやら、その年に当たってしまったようです。

 

こうして強く、気のせいだと自分に言い聞かせてみれば、

気のせいであるようにも思えてきますと、こう文字を綴りながらも、

またくしゃみをひとつ。

 

この春の我が家では、ここ数年の中で一番、

ティッシュペーパーの消費量が上がりそうな予感がしてなりません。

 

さて、くしゃみをしながらも、

暖かな風の心地よさには敵わずに、

負けずと外へ出て、柔らかな風を感じながら振り返っていたのは、

この冬の寒さについてでした。

 

この冬の私は、実は、

聞かなかったことにした言葉がありました。

 

「10年に一度の大寒波」

 

これは丁度、こちらで雪が降ったと、

こんな手紙を書いた頃に耳に入ってきた言葉でした。

 

寒さが苦手な私は、

毎年よりも、ほんの少しだけ寒いだけなのだと自分に言い聞かせなければ、

本当に、冬眠してしまいかねません。

だから、その言葉は聞かなかったことにして、

自分なりにこの冬の寒さと向き合おうと、

面白いものを見つけて過ごすことにしてみたのでした。

 

思えば、この冬の始まりの頃には、

寒さのあまり、きっと一度くらいは耳が取れてしまうだろうと、

あなたへのこんな手紙を書きましたが、

私の耳は無事、取れないままに、

この冬を越すことが出来たことも、報告しておこうと思います。

 

厳しい修行のような時期は、漸く過ぎ去り、

次は、暖かで、穏やかな風が吹く季節。

 

今はまだ桜の蕾が膨らむ手前ですが、

間も無くやって来るピンク色の景色がとても楽しみです。

 

 

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卒業式

あなたへ

 

あの子が専門学生として歩んできた、

この3年間を振り返っていました。

 

早く学校に行きたい!

 

こんなあの子の声が聞こえてきたのは、

専門学校への登校が始まった頃のことでした。

 

お母さんのお陰で、今の俺がいるんだよ

 

こんな言葉と共に、最高の笑顔を見せてくれた日は、

あの子の背中を押してあげることが出来て、本当に良かったなって、

こんな気持ちで、あの子の言葉を胸いっぱいに抱いたのでした。

 

何のために勉強をするのかが分からないと、

勉強に対して、あんなに後ろ向きだったあの子が、

懸命に勉強へと向き合うようになり、

深夜まで、或いは、明け方まで、

課題に向き合うあの子へと変わっていったのも、

専門学生になってからのことでした。

 

時には、見守るこちらが心配になってしまうほどに、

勉強へと打ち込んだあの子。

 

寝不足で、げっそりとしたあの子の姿を見た日には、

とても心配になりましたが、

それでも、しっかり前を見据えるあの子の姿に、

大きな成長を見つけたのでした。

 

あの子の課題を手伝うことになったのは、

2年生も間も無く終わりを迎える頃のこと。

 

半徹夜の日々が続く中、

眠さのあまりに、ハイテンションであの子と一緒に笑い合った時間は、

掛け替えのない大切な思い出です。

 

一旦、卒業式を迎え、

研究生としての一歩を踏み出したのは、昨年のあの子。

 

いつの頃からか、一度は県外へ出てみたいと、

こんなふうに夢見るようになったあの子と共に過ごすことが出来るのは、

きっと、この1年が最後なのだと、

あの頃の私は、密かに腹を括ったのでした。

 

これから過ごすあの子との1年間は、

きっと私への最後の贈り物のような時間なのだろうなって。

 

あの子が無事に卒業の日を迎えました。

 

これで、あの子の学校生活の全てが終わりを迎えました。

こちら側の事情から、保護者の参列は出来ませんでしたが、

あの子を会場まで送り届けた時間も、

卒業式での時間を楽しそうに話してくれたあの子の笑顔を見つめた時間も、

掛け替えのない大切な宝物。

 

楽しかった!

 

こんな声から始まったあの子の専門学校での生活は、

その終わりの瞬間までを、

楽しかったの声で埋め尽くされました。

 

今、私の胸の中に集まったのは、

専門学生としてのあの子が歩んだ日々の、

全ての笑顔です。

 

人生最後の学生生活でもある専門学校での日々は、

きっと、あの子の中で、

いつまでも鮮やかな記憶として残っていくのでしょう。

 

それらの大切な記憶はきっと、これからのあの子の支えとなり、

時に、背中を押してくれる記憶ともなってくれるのだと思います。

 

あの子の晴れ姿を、

側で見守ることが出来るのも、これで最後です。

 

卒業おめでとう。

 

こんな私の声を、笑顔で受け取ってくれたあの子の最高の笑顔を、

私は生涯、忘れることはないでしょう。

 

あの子の晴れ姿、

あなたも何処かで見ていてくれたでしょうか。

 

あの子は立派に、専門学校を卒業しましたよ。

 

大きくなりましたね。

本当に、立派に成長してくれましたね。

 

 

 

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