あなたへ
今日のこちらは、初夏の陽気でした。
夕方には、爽やかな風が吹き、
気持ちの良い1日でした。
こんな季節になると、
あなたに淹れるコーヒーの温度が気になります。
あなたがこちらにいた頃のこの季節には、
ホットコーヒーとアイスコーヒー、
どっちにする?
なんて、よく聞いていましたね。
あなたの答えは、いつの頃からか、
ホットでも、アイスでもなく、
人肌でお願いします
でした。
そんなあなたのリクエストに、
幾つかの氷を入れ、
人肌くらいの温度のコーヒーが、
この時期、
あなたに淹れるコーヒーの温度になりました。
いつの頃から、人肌の温度のコーヒーを、
わたし肌と呼ぶようになりましたね。
今日は、わたし肌にする?
なんて聞いた私に、
あなたは、笑っていましたっけ。
笑いながら、
じゃぁ、それでお願いします って、
私に合わせてくれたあなたが、
なんだか可笑しくて、2人で笑いましたね。
今日は、あなたに、
わたし肌のコーヒーを淹れましたよ。
ふとした時に、
あなたと私だけが分かる言葉が生まれましたね。
あなたと離れ離れになったあの日から、
もう、その言葉を使うことも、
なくなってしまったけれど、
そんな言葉たちもまた、
あなたを探しているのかも知れません。
今日は、
あなたにあげるコーヒーの温度に迷いながら、
わたし肌
なんて言っていたあの頃を思い出し、
ちょっぴり、笑ってしまいました。